2021/22年度の砂糖生産量はかなりの程度減少し、輸入量は大幅に減少する見込み
2021/22年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、112万ヘクタール(前年度比3.6%減)とやや減少が見込まれる(表4)。サトウキビ生産量は、主産地である広西チワン族自治区や雲南省の天候が良好であるため、7389万トン(同0.4%増)とわずかに増加すると見込まれる。一方、同年度のてん菜の収穫面積は、トウモロコシへ転作する農家の増加により
(注1)、14万ヘクタール(同37.8%減)と大幅に減少すると見込まれる。てん菜生産量も、810万トン(同34.6%減)と大幅な減少が見込まれており、2021年11月末時点ですでに今期の操業を終了した工場数が前年度よりも多い
(注2)ことから、さらなる減少の可能性も考えられる。
砂糖生産量は、てん菜糖生産量の減少を受けて1084万トン(同6.0%減)とかなりの程度減少すると見込まれる。輸入量は、2021年の砂糖輸入が前年を上回るペースで推移し、国内の在庫の積み増しが想定されることから、605万トン(同26.9%減)と大幅に減少すると見込まれる。
(注1)同国では、アフリカ豚熱からの回復による豚飼養頭数の増加を受けて、飼料用トウモロコシなどの需要が高まりを見せている。詳細は、2021年6月17日付海外情報「中国農業展望報告(2021–2030)を発表(飼料編)(中国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002967.html)を参照されたい。
(注2)操業を終了した製糖工場数は7(前年度は2)。なお、てん菜収穫期間中に発生した大規模停電による製糖工場の操業停滞や新型コロナウイルス感染症(COVID–19)の感染抑制策の実施、相次ぐ寒波の到来などが重なり、一部のてん菜は収穫されずに凍ったまま圃場に放置されている状況となっている。
広西チワン族自治区のサトウキビ産地、「三品一標」産地に選出
中国農業農村部は2021年12月28日付のプレスリリースで、各省の推薦と専門家による審査を経て、この度、国内の100拠点が「三品一標」産地として選出されたと発表した。砂糖の原料作物については、広西チワン族自治区
来賓市興賓区のサトウキビ産地が選ばれた。三品一標とは、中国政府が定めた安全かつ高品質な農産物のことを指し、有機農産品、緑色農産品、無公害農産品
(注1)の三品と農産物の地理的表示を総称して三品一標と呼ばれている。
農業農村部によると、今回選出された100拠点は四つの特徴を有するとしている。
・高い生産管理レベル (優良品種の栽培や、節水や肥料、農薬のコスト低減に優れた最先端の環境 配慮型生産技術モデルの普及)
・大規模圃場での生産 (砂糖の原料作物や野菜、果物などは5000ムー〈334ヘクタール
(注2)〉以上)
・農産物の地理的表示または農産物の原産地認定といったブランド力のある認証の取得
・大手企業や専門協同組合、大規模農家などによる生産や経営の標準化
(注1)有機農産品とは、生産過程において化学合成農薬、化学肥料などを使用しないことで環境負荷の低減を図り、政府機関がその品質を認証したものを指す。緑色農産品とは、国立緑色食品発展センターによって認証された高品質かつ栄養価の高い農産品のことを指す。無公害農産品とは、政府の安全管理基準に基づき生産、加工されており、人の健康に害を及ぼすことのない農産品のことを指す。
(注2)1ムー=0.0667ヘクタール。