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4.日本の主要輸入先国の動向(2022年2月時点予測)

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最終更新日:2022年3月10日

4.日本の主要輸入先国の動向(2022年2月時点予測)

2022年3月

 近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14-110〉および甘しゃ糖・その他〈同 1701.14-200〉の合計)の主要輸入先国は、豪州およびタイで、2021年の主要輸入先国ごとの割合を見ると、豪州が86.6%(前年比0.03ポイント増)、タイが13.4%(同2.9ポイント増)となっており、2カ国でほとんどを占めている(財務省「貿易統計」)。

豪州

2021/22年度の砂糖生産量は、やや減少する見込み
 2021/22年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、35万ヘクタール(前年度比1.2%減)とわずかに減少すると見込まれる(表6)。サトウキビ生産量は、3011万トン(同3.1%減)とやや減少すると見込まれる。

 砂糖生産量は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による都市封鎖や主力製糖工場での機械故障などによる稼働率の低下、収穫期終盤の豪雨による収穫作業の遅れなどが影響し、415万トン(同5.3%減)とやや減少すると見込まれる。輸出量は、生産量の減少を受けて、310万トン(同7.6%減)と減少傾向が続くと見込まれている。

 

タイ

2021/22年度の輸出量は、前年度から大幅に回復する見込み
 2021/22年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、149万ヘクタール(前年度比0.2%増)と横ばいで推移すると見込まれる(表7)。サトウキビ生産量は、前年度が干ばつの影響を大きく受けた中、主産地の降雨量が平年並みまで回復し、単収が大きく改善することで、9250万トン(同38.8%増)と平年を下回るものの、大幅に増加すると見込まれる。

 砂糖生産量は、サトウキビ生産量の大幅な回復を受けて1097万トン(同37.6%増)と大幅に増加すると見込まれ、輸出量もサトウキビが記録的不作となった前年度からの反動を受けて、797万トン(同2.0倍)と大幅な回復が見込まれる。なお、期末在庫量は、増産見込みながらも、輸出量の大幅な回復から452万トンと前年度よりも減少し(同10.3%減)、期末在庫率も39.4%(同27.5ポイント減)と19/20年度に近い水準にまで大幅に低下すると見込まれる。

製糖団体がサトウキビ確保に向け、取引価格の引き上げを政府に要請
 2月8日付けの現地報道によると、タイ製糖協会(TSMC)は生産者の作付け意欲の向上を目的に、サトウキビの最低取引価格の期首価格(注1)の引き上げを政府に要請するとしている。

 2021/22年度(10月〜翌9月)のサトウキビの期首価格は、同国工業省内に設置されるサトウキビ・砂糖委員会(TCSB)(注2)によって1トン当たり1070バーツ(3777円)(注3)、また、生産者への支払額算定に使用する基準糖度(納入時の糖度により生産者への支払額が算定される)は10CCS(注4)と定められている。このうち期首価格については、生産者が要請した同1100バーツ(3883円)には届かなかったものの、当初案の同1040バーツ(3671円)からは引き上げられていた。

 この状況を踏まえTSMCは、22/23年度および23/24年度の期首価格を、同1200バーツ(4236円)まで引き上げる案を掲げ、本引き上げにより、作付品目の選択におけるサトウキビの競争性が向上し、他作物からの転作が期待できるとした。また、併せて基準糖度の12.63CCSへの引き上げも政府に要請するとし、焼き畑によらない方法で収穫される、高品質なサトウキビの納入を生産者に促したいとしている。

(注1)同国では、サトウキビ・砂糖委員会(TCSB)が当該年度の砂糖産業の収益とサトウキビの生産量を推定し、圧搾が始まる前にサトウキビの最低取引価格の期首価格を公表する。その後、年度終了時の実績に基づき砂糖産業の収益を再計算し、翌10月ごろに期末価格を決定する。製糖企業は、期首価格に基づきサトウキビ生産者に概算払を行い、期末価格に基づき精算する仕組みとなっている。
(注2)TCSBは、サトウキビおよび砂糖関連政策の執行機関であるタイ政府の3省(工業省:製糖関係、農業協同組合省:原料作物関係、商務省:砂糖の売買関係)とサトウキビ生産者および製糖企業の代表で構成されている。
(注3)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の1月末TTS相場である1タイバーツ=3.53円を使用。
(注4)可製糖率(CCS)とは、サトウキビのショ糖含有率、繊維含有率および搾汁液の純度から算出される回収可能な糖分の割合を指す。

表7 タイの砂糖需給の推移

(参考) タイの砂糖(粗糖・精製糖別)の輸出量および輸出単価の推移

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