砂糖類の国内需給

　農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」（昭和40年法律第109号）により、四半期ごとに砂糖および異性化糖の需給見通しを公表している。令和4年3月に「令和3砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し（第3回）」を公表した。

　令和3砂糖年度（10月〜翌9月）の砂糖の消費量は、175万6000トン（前年度比0.6％増）と見通している（表1）。内訳を見ると、引き続き新型コロナウイルス感染症（COVID-19）への警戒感などにより、依然消費行動に慎重さが見られる一方、高齢者などを中心とした3回目のワクチン接種の進展や、まん延防止等重点措置の解除などにより、本格的な回復とまではいかないものの、緩やかな経済活動の回復が見込まれることから、分みつ糖の消費量は172万トン（同0.6％増）と見通している。含みつ糖の消費量は近年の消費動向などを勘案し、3万6000トン（同2.9％増）と見通している。

　令和3砂糖年度の砂糖の供給量は、178万3000トン（前年度比1.8％減）と見通している。内訳を見ると、分みつ糖の供給量は176万4000トン（同1.8％減）、含みつ糖は1万9000トン（同5.6％増）と見通している。国内産糖（分みつ糖）の供給量は、てん菜糖については、てん菜の作付面積が前年産と比べ1.3％（約760ヘクタール）増加した。作柄については6月下旬以降降水量が少ない状態が続き、生育への影響が懸念されたものの、8月のまとまった降雨以降、おおむね順調な生育となったことから、産糖量は64万トン（前年産比1.4％増）、供給量は63万9000トン（精製糖換算〈以下同じ〉。前年度比1.4％増）と見通している。甘しゃ糖については、サトウキビの収穫面積が前年産に比べ4.9％（約1099ヘクタール）増加した。作柄については、一部の島において生育初期や夏場に小雨の影響が懸念されたものの、全体としては台風被害などの大きな自然災害もなく、一年を通じて気象条件に恵まれたことから、おおむね順調な生育となり、産糖量は15万4000トン（前年産比3.5％増）と前年を上回ると見通している。供給量については14万7000トン（前年度比3.4％増）と見通している。

　令和3砂糖年度の加糖調製品の消費量は近年、大きく消費が減少している動向にあるとともに、引き続きCOVID-19への警戒感などにより、依然消費行動に慎重さが見られる一方、高齢者などを中心とした3回目のワクチン接種の進展や、まん延防止等重点措置の解除などにより、本格的な回復とまではいかないものの、緩やかな経済活動の回復が見込まれることを勘案し、46万トン（前年度同）と見通している（表2）。また、供給量は、消費量に見合った量が供給されると見通している。

　令和3砂糖年度の異性化糖の消費量は、引き続きCOVID-19への警戒感などにより、依然消費行動に慎重さが見られる一方、高齢者などを中心とした3回目のワクチン接種の進展や、まん延防止等重点措置の解除などにより、本格的な回復とまではいかないものの、緩やかな経済活動の回復が見込まれることから、77万1000トン（前年度比2.8％増）と見通している（表3）。また、供給量は、消費量に見合った量が供給されると見通している。

【粗糖の輸入動向】
2月の輸入量は前年同月から大幅に増加
　財務省「貿易統計」によると、2022年2月の甘しゃ糖・分みつ糖（HSコード 1701.14-110）および甘しゃ糖・その他（同1701.14−200の豪州）の輸入量は、6万5979トン（前年同月比83.3％増、前月比2.1倍）であった（図1）。

　輸入先は甘しゃ糖・分みつ糖については米国、甘しゃ糖・その他については豪州で、国・地域別の輸入量は次の通りであった（図2）。

　米国  　　  　　  19トン
　（前年同月および前月輸入実績なし）
　豪州  　　6万5960トン
　（前年同月比83.2％増、前月比2.1倍）
 

　2022年2月の甘しゃ糖・分みつ糖の1トン当たりの輸入価格は、15万2737円（前年同月および前月輸入実績なし）であった（図3）。

　国・地域別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

　米国  　　　15万2737円
　（前年同月および前月輸入実績なし）

　また、同月における甘しゃ糖・その他の豪州からの高糖度原料糖の1トン当たりの輸入価格は、6万2029円（前年同月比36.2％高、前月比2.3％高）であった（図4）。
 

【含みつ糖の輸入動向】
2月の輸入量は前年同月から大幅に減少
　財務省「貿易統計」によると、2022年2月の含みつ糖（HSコード 1701.13-000、1701.14-190）の輸入量は、371トン（前年同月比78.8％減、前月比35.4％減）であった（図5）。

　輸入先はタイ、中国、ボリビアおよびフィリピンで、国・地域別の輸入量は次の通りであった（図6）。

　タイ　　　　　　 129トン
　（前年同月比89.5％減、前月比45.6％減）
　中国　　　　　　114トン
　（同65.9％減、同35.2％減）
　ボリビア　　　　103トン
　（同37.3％増、同2.0倍）
　フィリピン　 　　25トン
　（同70.2％減、同73.4％減）

　2022年2月の1トン当たりの輸入価格は、14万2049円（前年同月比19.3％高、前月比3.4％高）であった（図7）。

　国・地域別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

　タイ　　　　　   12万9713円
　（前年同月比10.1％高、前月比0.5％安）
　中国 　　　　　 14万2728円
　（同19.8％高、同6.3％高）
　ボリビア　　　　13万7340円
　（同5.9％高、同0.2％高）
　フィリピン　　　22万2000円
　（同2.0倍、同60.0％高）

【加糖調製品の輸入動向】
2月の加糖調製品の輸入量は前年同月からやや増加
　財務省「貿易統計」によると、2022年2月の加糖調製品の輸入量は、3万4043トン（前年同月比3.3％増、前月比14.7％減）であった（図8）。

　品目別の輸入量は、表4の通りであった。

3月の移出量は前年同月からやや減少
　2022年3月の異性化糖の移出量は、7万1211トン（前年同月比4.5％減、前月比28.2％増）であった（図9）。

　同月の規格別の移出量は、次の通りであった（図10）。

　果糖含有率40％未満　　　　 525トン
　（前年同月比18.2％増、前月比55.3％増）
　同40％以上50％未満　 1万9588トン
　（同2.4％減、同26.2％増）
　同50％以上60％未満　　5万644トン
　（同4.5％減、同28.7％増）
　同60％以上　　　　　　　　    455トン
　（同55.1％減、同44.6％増）

【市場価格】
砂糖、異性化糖ともに前月と同水準で推移
　3月の糖種別・地域別の砂糖価格（日経相場）は、次の通りであった。

上白糖（大袋）
東京　　　　　　　　　   1キログラム当たり204〜205円
大阪　　　　　　　　　　　　　　　　　　　   同204〜205円
名古屋　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　  同208円
関門　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　    同208円

上白糖（小袋）
東京　　　　　　　　　　 1キログラム当たり216〜219円
大阪　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　   　　  同219円

本グラニュー糖（大袋）
東京　　　　　　　 　　　1キログラム当たり209〜210円
大阪　　　　　　　　　　　　　　　　　   　　同209〜210円
名古屋　　　　　　　　　　　　　　　　　　   　　　 同213円

ビート・グラニュー糖（大袋）
東京　　　　　　　　　　 1キログラム当たり204〜205円
大阪　　　　　　　　　　　　　　　　　　     同204〜205円
名古屋　　　　　　　　　　　　　  　　　　　　      同206円

　3月の異性化糖の価格（日経相場、大口需要家向け価格、東京、タンクローリーもの、JAS規格品、水分25％）は、次の通りであった。

果糖分42％もの　　　 1キログラム当たり146〜147円
果糖分55％もの　　　　　　　　　　　　　 同152〜153円

【小売価格】
3月の上白糖小袋の地域間の価格差は最大で37.7円
　マーチャンダイジング・オンRDSPOS（全国1243店舗）によると、スーパーにおける3月の上白糖小袋（1キログラム）の平均小売価格は、207.2円（前年同月差13.7円高、前月差1.9円高）であった。最も高かったのは北海道で、最も安かった関東などとの価格差は37.7円であった。

　同月の地域別^（注）の平均小売価格は、次の通りであった（表5）。

（注）地域の内訳は、次の通りである（以下同じ）。
　　　関東など：茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県
　　　首都圏：東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県
　　　中　部：新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、三重県、愛知県
　　　関　西：大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、和歌山県、奈良県

3月のグラニュー糖小袋の地域間の価格差は最大で75.3円
　マーチャンダイジング・オンRDSPOS（全国1243店舗）によると、スーパーにおける3月のグラニュー糖小袋（1キログラム）の平均小売価格は、254.0円（前年同月差11.1円高、前月差1.4円高）であった。最も高かったのは東北で、最も安かった北海道との価格差は75.3円であった。

　同月の地域別の平均小売価格は、次の通りであった（表6）。

3月の三温糖小袋の地域間の価格差は最大で45.8円
　マーチャンダイジング・オンRDSPOS（全国1243店舗）によると、スーパーにおける3月の三温糖小袋（1キログラム）の平均小売価格は、244.7円（前年同月差13.9円高、前月差1.9円高）であった。最も高かったのは北海道で、最も安かった首都圏との価格差は45.8円であった。

　同月の地域別の平均小売価格は、次の通りであった（表7）。

【支出金額および購入量】
2月の砂糖の支出金額は前年同月からわずかに下落
　総務省「家計調査」によると、2022年2月における100世帯当たりの砂糖の購入頻度は33、1世帯（二人以上）当たりの支出金額は84円（前年同月比1.2％安、前月比12.0％高）であった（図11）。また、同月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は、295グラム（同19.2％減、同11.3％増）であった（図12）。