2. 国際価格の動向
最終更新日:2022年5月10日
2. 国際価格の動向
2022年5月
ニューヨーク粗糖先物相場の動き(3/1〜4/12)
〜3月中旬に18セント台まで下落するも、4月は20セント越え〜
ニューヨーク粗糖先物相場の2022年3月の推移を見ると(5月限)、1日は、ロシアのウクライナへの軍事侵攻を背景に原油価格が急上昇(注1)する中、1ポンド当たり18.34セント(注2)を付けた。原油価格の急上昇を受けて、砂糖相場も上昇し、4日は同19.35セントと3日間で1セントの上昇となった。7日は、原油価格が上昇する中、2月末時点の砂糖生産量が前年同期を上回ったとするインド製糖協会(ISMA)の前週末の発表を受けて、同19.27セントと反転した。8日は、原油価格の上昇を背景に、同19.43セントまで再び上昇したものの、翌9日は、原油価格の下落や、来年度のブラジル産砂糖生産量の増加を米国大手金融企業が予測したことにより、同18.94セントまで急落した。10日は、ブラジルの国営石油公社による燃料価格の引き上げが同国の製糖業者でのエタノールの増産を喚起させるとの思惑から、同19.10セントまで上昇し、翌11日は、原油価格の上昇に伴い、同19.24セントまで値を上げた。15日は、原油価格の落ち込みを受けて、同18.73セントまで下落し、16日は、続落して同18.56セントまで値を下げた。17日は、原油価格が上昇したことを受けて、同18.69セントと反転し、21日は、原油価格の上昇に加え、レアル高(注3)も後押しして同19.28セントと続伸した。25日は、インド政府が砂糖の国内価格の高騰を防ぐために、インド産砂糖の輸出に制限を設けることを検討しているとの報道などにより、同19.61セントまで上昇した。29日は、原油価格が下落したことを受け、同19.11セントまで値を下げるも、30日は、レアル高により価格が支えられ、同19.47セントと値を戻した。
4月1日は、原油価格に追随し緩やかに下落して、同19.37セントで引けた。4日は、ISMAが発表したインドの10月〜翌3月期の砂糖生産量が前年同期比11%増の3099万トンだったが、レアル高や原油上昇が支えとなり、同19.61セントと上昇した。7日は、民間コンサルタント会社の予測として、砂糖と比べてエタノール生産の収益性が高く、ブラジルの製糖工場がサトウキビの7割をエタノール生産に振り向けるとの発表を受けて、同19.84セントと上昇し、さらに8日は、続伸して同20.41セントと急騰し、4カ月半ぶりに20セント台を付けた。12日は、原油価格の下落によりやや値を戻し、同20.22セントとなった。
(注1)一般に、原油価格が上昇すると、石油の代替燃料であるバイオエタノールの需要も増加する。バイオエタノールの需要増加により、その原料作物(サトウキビ、てん菜など)のバイオエタノール生産への仕向けが増える一方、それらから生産される食品(サトウキビの場合は砂糖)の生産・供給が減ると想定される。食品用途仕向けの度合いが小さくなるほど需給がひっ迫し、当該食品の価格を押し上げる方向に作用する。
(注2)1ポンドは約453.6グラム、セントは1米ドルの100分の1。
(注3)粗糖は米ドル建てで取引されるため、米ドルに対してレアルが上昇すると、相対的にブラジル産粗糖の価格競争力が低下する。世界最大の砂糖輸出国ブラジルの輸出意欲が低下すると、需給のひっ迫につながることから、価格を押し上げる方向に作用する。
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