2. 国際価格の動向
最終更新日:2022年6月10日
2. 国際価格の動向
2022年6月
ニューヨーク粗糖先物相場の動き(4/1〜5/13)
〜4月中旬に20セント台まで上昇するも、その後は下落基調で推移〜
ニューヨーク粗糖先物相場の2022年4月の推移を見ると(5月限)、1日は、原油価格に追随し前日から下落して(注1)、1ポンド当たり19.37セント(注2)で引けた。4日は、インド製糖協会(ISMA)が発表したインドの10月〜翌3月の砂糖生産量が前年同期比11%増の3099万トンだったが、レアル高(注3)や原油価格の上昇が支えとなり、同19.61セントと上昇した。7日は、民間コンサルタント会社の予測として、砂糖と比べてエタノール生産の収益性が高く、ブラジルの製糖工場がサトウキビの7割をエタノール生産に振り向けるとの発表を受けて、同19.84セントと上昇した。8日は、続伸して同20.41セントと急騰し、4カ月半ぶりに20セント台を付けた。18日は、原油価格の上昇に伴い、同20.26セントまで値を上げた。20日は、ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)が2021/22年度の砂糖生産量を前回予測から引き上げたことで、同19.62セントまで値を下げた。21日は、原油価格の上昇によって同19.87セントまで値を戻したが、22日は、米国農務省(USDA)がブラジルの22/23年度の砂糖生産量を前年度比3%増と予測したことなどから、同19.24セントまで下落した。25日は続落し、同18.95セントと19セントを割り込んだ。28日は、製糖工場の稼働遅滞を理由に、同国中南部地域における4月前半の砂糖生産実績が前年同期比8割減となったとブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)が発表したことにより、同19.42セントまで上昇した。納会日の29日は、同19.35セントを付けた。
7月限に代わった5月に入ると、2日は、レアル安を背景に同18.85セントを付けた。3日以降は、原油相場の動きに追随する形となり、9日は、同18.66セントまで下落した。10日は、22/23年度の世界の砂糖供給量は消費量を400万トン上回ると大手金融企業が予測したことで、同18.54セントまで下落した。13日は、原油価格の上昇を受けて、同19.17セントまで急上昇した。
(注1)一般に、原油価格が下落すると、石油の代替燃料であるバイオエタノールの需要も減少する。バイオエタノールの需要減少により、その原料作物(サトウキビ、てん菜など)のバイオエタノール生産への仕向けが減る一方、それらから生産される食品(サトウキビの場合は砂糖)の生産・供給が増えると想定される。食品用途仕向けの度合いが大きくなるほど需給が緩和し、当該食品の価格を押し下げる方向に作用する。
(注2)1ポンドは約453.6グラム、セントは1米ドルの100分の1。
(注3)粗糖は米ドル建てで取引されるため、米ドルに対してレアルが上昇すると、相対的にブラジル産粗糖の価格競争力が低下する。世界最大の砂糖輸出国ブラジルの輸出意欲が低下すると、需給のひっ迫につながることから、価格を押し上げる方向に作用する。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8678