2022年6月のニューヨーク粗糖先物相場の推移を見ると(7
月限)、1日は原油価格の上昇を背景に
(注1)1ポンド当たり19.44セント
(注2)とわずかに値を上げた。6日は、原油の先物市場が高値を記録したことを受けて同19.56セントまで上昇した。7日は、レアル安
(注3)により同18.97セントまで下落した。9日は、原油価格の上昇を背景に同19.29セントまで値を戻した。10日は、米国の5月の経済指標(消費者物価指数)が40年ぶりの記録的な高水準となり、米国と世界経済に対する懸念が高まったことなどから同18.87セントまで下落した。14日は、レアル安により同18.70セントまで続落した。15日は、原油価格の下落を背景に同18.46セントまで値を下げた。16日は、ブラジルでの少雨を理由に同国の大手製糖企業が5月に公表した2022/23年度の国際砂糖需給を40万トンの余剰から140万トンの不足に修正したことなどから同18.58セントまで上昇した。17日は、10月以降にインドが砂糖の輸出を600万〜700万トンに制限との報道などを受けて同18.60セントを付けた。21日は、原油価格の上昇により同18.66セントに値を上げたが、ブラジルの大手製糖企業が同国のサトウキビ圧搾量を前年度比4.8%増と予測したことなどから、22日は同18.45セントまで下落した。23日以降は、原油価格の下落やレアル安により続落し、27日は同18.30セントまで下落した。28日は、ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)がブラジル中南部地域の6月前半の砂糖生産量を前年同期比24%減と発表したことなどにより同18.53セントまで上昇した。30日は同18.83セントまで上昇して7月限は納会した。
10月限に切り替わった7月に入ると、1日はレアル安を背景に同18.07セントまで下落した。5日は、原油価格の急落と継続するレアル安により同17.80セントと4カ月ぶりに18セント台を割り込んだ。7日は、中国が2200億米ドル(30兆2896億円:1米ドル=137.68円)
(注4)の景気刺激策を検討していることを受けて商品市場が幅広く反発し、同18.52セントまで急伸した。8日は、原油価格とレアルの堅調な推移により同19.02セントまで上昇した。11日は、商品市場の軟調な動きに押されたことや原油価格の下落により同18.86セントまで値を下げたが、13日は、原油価格の回復などにより同19.14セントまで値を戻した。
(注1)一般に、原油価格が上昇すると、石油の代替燃料であるバイオエタノールの需要も増加する。バイオエタノールの需要増加により、その原料作物(サトウキビ、てん菜など)のバイオエタノール生産への仕向けが増える一方、それらから生産される食品(サトウキビの場合は砂糖)の生産・供給が減ると想定される。食品用途仕向けの度合いが小さくなるほど需給がひっ迫し、当該食品の価格を押し上げる方向に作用する。
(注2)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
(注3)粗糖は米ドル建てで取引されるため、米ドルに対してレアルが下落すると、相対的にブラジル産粗糖の価格競争力が高まる。世界最大の砂糖輸出国ブラジルの輸出意欲が高まると、需給の緩和につながることから、価格を押し下げる方向に作用する。
(注4)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年6月末TTS相場。