砂糖類の国内需給
最終更新日:2022年8月10日
砂糖類の国内需給
2022年8月
1. 需給見通し
農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、四半期ごとに砂糖および異性化糖の需給見通しを公表している。令和4年6月に「令和3砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第4回)」を公表した。
(1)砂糖の消費量
令和3砂糖年度(10月〜翌9月)の砂糖の消費量は、174万5000トン(前年度同)と見通している(表1)。内訳を見ると、まん延防止等重点措置の解除などに伴い緩やかに経済活動の回復が見込まれるものの、引き続き新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への警戒感や物価高の影響などにより、消費行動に慎重となることも想定されることから、分みつ糖の消費量は171万トン(前年度同)と見通している。含みつ糖の消費量は近年の消費動向などを勘案し、3万5000トン(前年度同)と見通している。
(2)砂糖の供給量
令和3砂糖年度の砂糖の供給量は、175万トン(前年度比3.6%減)と見通している。内訳を見ると、分みつ糖の供給量は173万2000トン(同3.6%減)、含みつ糖は1万8000トン(前年度同)と見通している。国内産糖(分みつ糖)の供給量は、てん菜糖については、てん菜の作付面積が前年産と比べ1.3%(約760ヘクタール)増加した。作柄については6月下旬以降降水量が少ない状態が続き、生育への影響が懸念されたものの、8月のまとまった降雨以降、おおむね順調な生育となっていることから、産糖量は64万トン(前年産比1.4%増)、供給量は63万9000トン(精製糖換算〈以下同じ〉。前年度比1.4%増)と見通している。甘しゃ糖については、サトウキビの収穫面積が前年産に比べ4.9%(約1099ヘクタール)増加した。作柄については、一部の島において生育初期や夏場に小雨の影響があったが、全体としては台風被害などの大きな自然災害もなく、一年を通じて気象条件に恵まれたことから、おおむね順調な生育となり、産糖量は15万2000トン(前年産比2.0%増)と前年を上回ると見通している。供給量については14万5000トン(前年度比2.1%増)と見通している。
(3)加糖調製品の需給
令和3砂糖年度の加糖調製品の消費量は近年、大きく消費が減少している状況にあることから、44万6000トン(前年度比3.0%減)と見通している(表2)。また、供給量は、消費量に見合った量が供給されると見通している。
(4)異性化糖の需給
令和3砂糖年度の異性化糖の消費量は、まん延防止等重点措置の解除などに伴い緩やかに経済活動および人流の回復が見込まれることから、76万4000トン(前年度比1.9%増)と見通している(表3)。また、供給量は、消費量に見合った量が供給されると見通している。
2.輸入動向
【粗糖の輸入動向】
5月の輸入量は前年同月から大幅に増加
財務省「貿易統計」によると、2022年5月の甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード 1701.14-110)および甘しゃ糖・その他(同1701.14-200の豪州)の輸入量は、8万5286トン(前年同月比2.5倍、前月比7.2%減)であった(図1)。
輸入先は甘しゃ糖・分みつ糖については輸入実績が無く、甘しゃ糖・その他については豪州で、輸入量は次の通りであった(図2)。
豪州 8万5286トン
(前年同月比4.8倍、前月比1.6%増)
2022年5月の甘しゃ糖・その他の豪州からの高糖度原料糖の1トン当たりの輸入価格は、7万1342円(前年同月比30.8%高、前月比8.5%高)であった(図4)。
【含みつ糖の輸入動向】
5月の輸入量は前年同月から大幅に増加
財務省「貿易統計」によると、2022年5月の含みつ糖(HSコード 1701.13-000、1701.14-190)の輸入量は、688トン(前年同月比26.7%増、前月比43.6%減)であった(図5)。
輸入先は中国、タイ、フィリピン、コスタリカで、国・地域別の輸入量は次の通りであった(図6)。
中国 509トン
(前年同月比2.4倍、前月比4.3倍)
タイ 105トン
(同28.6%減、同90.0%減)
フィリピン 55トン
(同69.6%減、同1.9%増)
コスタリカ 19トン
(前年同月および前月輸入実績なし)
2022年5月の1トン当たりの輸入価格は、14万9456円(前年同月比28.0%高、前月比12.8%高)であった(図7)。
国・地域別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。
中国 15万986円
(前年同月比21.5%高、前月比2.9%高)
タイ 11万8562円
(同25.0%高、同8.4%安)
フィリピン 16万1709円
(同28.7%高、同6.3%高)
コスタリカ 24万3737円
(前年同月および前月輸入実績なし)
【加糖調製品の輸入動向】
5月の加糖調製品の輸入量は前年同月からかなり大きく増加
財務省「貿易統計」によると、2022年5月の加糖調製品の輸入量は、4万1400トン(前年同月比11.9%増、前月比3.5%増)であった(図8)。
品目別の輸入量は、表4の通りであった。
3.異性化糖の移出動向
6月の移出量は前年同月からやや増加
2022年6月の異性化糖の移出量は、8万836トン(前年同月比8.3%増、前月比7.3%増)であった(図9)。
同月の規格別の移出量は、次の通りであった(図10)。
果糖含有率40%未満 384トン
(前年同月比34.5%増、前月比18.8%増)
同40%以上50%未満 1万9948トン
(同0.9%増、同7.5%増)
同50%以上60%未満 5万9676トン
(同10.2%増、同7.1%増)
同60%以上 827トン
(同89.3%減、同20.1%増)
4.価格動向
【市場価格】
砂糖、異性化糖ともに前月と同水準で推移
6月の糖種別・地域別の砂糖価格(日経相場)は、次の通りであった。
上白糖(大袋)
東京 1キログラム当たり204〜205円
大阪 同204〜205円
名古屋 同208円
関門 同208円
上白糖(小袋)
東京 1キログラム当たり216〜219円
大阪 同219円
本グラニュー糖(大袋)
東京 1キログラム当たり209〜210円
大阪 同209〜210円
名古屋 同213円
ビート・グラニュー糖(大袋)
東京 1キログラム当たり204〜205円
大阪 同204〜205円
名古屋 同206円
6月の異性化糖の価格(日経相場、大口需要家向け価格、東京、タンクローリーもの、JAS規格品、水分25%)は、次の通りであった。
果糖分42%もの 1キログラム当たり146〜147円
果糖分55%もの 同152〜153円
【小売価格】
6月の上白糖小袋の地域間の価格差は最大で28.1円
マーチャンダイジング・オンRDSPOS(全国1243店舗)によると、スーパーにおける6月の上白糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、212.9円(前年同月差15.4円高、前月差2.2円高)であった。最も高かったのは北海道で、最も安かった首都圏との価格差は28.1円であった。
同月の地域別(注)の平均小売価格は、次の通りであった(表5)。
(注)地域の内訳は、次の通りである(以下同じ)。
関東など:茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県
首都圏:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県
中 部:新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、三重県、愛知県
関 西:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、和歌山県、奈良県
6月のグラニュー糖小袋の地域間の価格差は最大で71.9円
マーチャンダイジング・オンRDSPOS(全国1243店舗)によると、スーパーにおける6月のグラニュー糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、259.3円(前年同月差11.4円高、前月差1.3円高)であった。最も高かったのは東北で、最も安かった北海道との価格差は71.9円であった。
同月の地域別の平均小売価格は、次の通りであった(表6)。
6月の三温糖小袋の地域間の価格差は最大で49.8円
マーチャンダイジング・オンRDSPOS(全国1243店舗)によると、スーパーにおける6月の三温糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、245.8円(前年同月差12.1円高、前月差1.1円高)であった。最も高かったのは北海道で、最も安かった首都圏との価格差は49.8円であった。
同月の地域別の平均小売価格は、次の通りであった(表7)。
【支出金額および購入数量】
5月の砂糖の支出金額は前年同月からやや低下
総務省「家計調査」によると、2022年5月における100世帯当たりの砂糖の購入頻度は34、1世帯(二人以上)当たりの支出金額は102円(前年同月比5.6%安、前月比30.8%高)であった(図11)。また、同月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は、348グラム(同5.7%減、同10.1%高)であった(図12)。
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