4. 日本の主要輸入先の動向(2022年8月時点予測)
最終更新日:2022年9月12日
4. 日本の主要輸入先の動向(2022年8月時点予測)
2022年9月
近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14−110〉および甘しゃ糖・その他〈同1701.14−200〉の合計)の主要輸入先は、豪州およびタイであり、2021年の主要輸入先ごとの割合を見ると、豪州が86.6%(前年比0.03ポイント増)、タイが13.4%(同2.9ポイント増)と、これら2カ国でほとんどを占めている(財務省「貿易統計」)。
2022/23年度の砂糖輸出量は、かなり大きく減少する見込み
2022/23年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、34万ヘクタール(前年度同)と前年度並みと見込まれる(表6)。サトウキビ生産量は、夏の終わりからから秋にかけて主産地であるクイーンズランド州での降雨が予想されることから、3173万トン(前年度比5.4%増)とやや増加すると見込まれる。
砂糖生産量は、前月予測から上方修正され、418万トン(同1.4%増)とわずかな増加が見込まれる。輸出量は、317万トン(同13.8%減)とかなり大きく減少すると見込まれる。
2021/22年度の輸出量は、前年度から大幅に増加し、回復する見込み
2021/22年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、149万ヘクタール(前年度比0.2%増)と前年並みで推移すると見込まれる(表7)。サトウキビ生産量は、前年度が干ばつの影響を大きく受けた中で、主産地の降雨量が平年を上回り、単収が大きく改善することで9207万トン(同38.1%増)と大幅に増加すると見込まれる。
砂糖生産量は、グリーンハーベスト(注1)の普及を背景とした梢頭部や葉などの混入が製糖効率を低下させるものの、1070万トン(同34.3%増)と大幅な増加が見込まれる。輸出量は、サトウキビが記録的不作となった前年度からの反動を受けて773万トン(同95.6%増)と前年比で倍増が見込まれる。
(注1)サトウキビを燃やさず、そのまま収穫する方法。従来、同国ではサトウキビを燃やした後に収穫するのが一般的であったが、大気汚染を引き起こすとの批判が国内で高まったため、近年はグリーンハーベストが推進されている。
57製糖工場が副産物に「バガス」を追加する法改正案に反対
タイ製糖協会(TSMC)会長は、上院議会で審議中の「サトウキビおよび砂糖法(注2)」の改正案に対し、全国の57製糖工場が反対する共同声明を決議し、書面を上院議長に提出したことを明らかにした。7月21日の現地報道によると、反対の理由として、業界の主要利害関係者である製糖工場が同法改正案の検討委員会への参加を許可されないのは、立法プロセスにおいて必要な検討者が欠けており、法の原則に反していると主張している。
また、同法制定当初からの合意に基づき、バガスの所有権は製糖工場にあり、多くの燃料が必要な製糖工場では、これまでボイラー燃料としてバガスを利用してきたが、改正案により従来産業廃棄物に分類されていたバガスが副産物と規定されると、バガス利用に対して新たな経費が発生することを問題視している。
なお、上院で承認され法案が成立した場合、製糖工場は同法で規定する委員会には参加しないことも合わせて表明し、法案成立をけん制した。
(注2)「サトウキビおよび砂糖法」は1984年に制定され、サトウキビや砂糖関連産業から得られる収益の関係者間での分配方式やサトウキビの買入価格、国内砂糖販売価格などについて定める。
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