世界各国における砂糖の消費動向および購買志向
最終更新日:2022年9月12日
世界各国における砂糖の消費動向および購買志向
2022年9月
【要約】
年間1人当たりの砂糖消費量は、消費者の健康意識やSDGsへの関心の高まりなどから、世界全体では微減傾向を維持している。しかし、その内容は、国や世代などによる差があり、今回のアンケート調査を通じ、健康志向の高い層ほど砂糖の消費量が多い傾向にあることが分かった。また、コロナ前後の消費変化については、おおむね半数が変化はないとする中で、以前より増加したとの回答が全体で3割弱、今後の増加が2割強とする結果となった。国産砂糖の消費については、8カ国でおおむね国産志向に高い結果が得られた一方、オーガニックシュガーに対する価格的評価は、国によって状況が異なることが分かった。
はじめに
気候変動や資源の枯渇、また、高齢化問題など、世界規模で生じるさまざまな課題や問題を通じ、健康やSDGs(持続可能な開発目標)に対する消費者の関心はますます高まりつつある。加えて、情報網の進化や人の動きが広がっていることで、消費者の志向も変貌を遂げつつある。このような中で、消費者の砂糖に対する関心の程度や消費状況、砂糖を含む食品に対する選択思考や購買動機などを分析し、国際的な傾向を把握することは、砂糖原料生産者や甘味商品製造業者などにとって参考に資すると考えられる。
そこで当機構では、砂糖の他、チョコレートおよび糖類を含む清涼飲料の消費状況やこれらの商品に対する購買志向などについて、全世界から地理的・文化的なバランスや砂糖消費量などを勘案して選定した図1に掲げる世界8カ国の一般消費者を対象に、インターネットによるアンケート調査を実施した。本稿では、それらのうち砂糖に関する調査結果の概要を報告する。
1 調査概要
(1)調査対象
世界8カ国(注1)の一般消費者を対象に、男女別×世代別に調査し、結果を回収。
(2)有効回答数(注2)
合計6400件(各国800件×8カ国)。各国については、男女それぞれ世代別(18歳〜29歳、30歳〜39歳、40歳〜49歳、50歳〜59歳および60歳以上の5カテゴリー)に80件ずつ調査した。
(3)調査期間
令和4年2〜3月
(4)調査手法
インターネットアンケート
(5)調査品目
(ア)砂糖
(イ)チョコレート(注3)
(ウ)清涼飲料水(注3)
(注1)日本、豪州、ブラジル、中国、フランス、インド、インドネシア、米国
(注2)対象年齢は日本の他、調査対象国の多くで採用する成人年齢(18歳)以上とした。なお、事前のスクリーニング調査で、甘さをおいしいと感じない消費者は調査対象から除外している。
(注3)(イ)および(ウ)については、『砂糖類・でん粉情報』の2022年10月号に掲載予定。
2 回答者の属性
本調査の回答者に係る属性は以下の通り(注4、注5)。
・図2 世帯構成
・図3 就業状況
・図4 世帯用食品を購入する際の関与度合い
・図5 世帯全体における直近の月収
・図6 居住地域
・図7 健康志向の度合い(健康であるために行動を起こしている)
・図8 1日当たりの体を動かす時間(通勤や立ち作業を含む)
・図9 運動の実施頻度
・図10 食事や食品を購入する際の優先項目
(参考)8カ国全体の平均的な属性を見ると、世帯構成では18歳以下の子供がいる世帯が5割弱であり(図2)、就業状況では会社勤務が4割弱、無職が1割強である(図3)。回答者の5割弱が世帯用食品の購入に10割の関与を有している(図4)。世帯月収は5万円以上50万円未満の層が6割弱であり(図5)、居住地域は都市部が7割弱を占める(図6)。8割強が一定程度健康への関心を持ち(図7)、6割強が一日当たり1時間以上体を動かし(図8)、8割弱が週に1回以上運動する(図9)。食事や食品を購入する際の優先項目は栄養、味、価格および安全の4項目で7割強を占める(図10)。
(注4)回答者は、男女別、世代別で均等に割り付けしていること、インターネットを利用できる環境下で生活していることなどに留意が必要(以下同じ)。
(注5)図表中のNは有効回答数(以下同じ)。
3 砂糖の摂取状況
(1)甘味商品の嗜好性
甘味商品の嗜好性の高さについて国別に見ると、甘いものが好きで、甘さをおいしいと感じると回答をした消費者の割合はすべての国で8割を超えた(図11)。特にインドでは、約5割が「甘いものが非常に好きで、甘さが強いものほどおいしい」と回答し、8カ国の中で最も高い割合となった
(注6)。日本は「甘いものがかなり好きで、甘いものはたいていおいしい」の回答数が最も多く、全体の約4割を占めた。
年齢別に見ると、30代の消費者が甘味商品を最も好み、40代以降は徐々に甘いものに対し控えめな回答をする割合が増加する傾向にあった(図12)。
また、日常的な運動量(立つ、歩くなど)が多い消費者や、運動の実施頻度が高い消費者ほど、甘味商品を好む傾向がみられ、運動量の多寡や運動に取り組む姿勢と甘味消費との間には、正の相関があるとうかがえる(図13、14)。
(注6)世界有数の砂糖生産・輸出国であるインドでは、白糖のほか、グルやカンサリといった伝統的な含みつ糖も広く利用されるなど、砂糖は生活に密着した甘味料である。詳細については『砂糖類・でん粉情報』2020年5月号「インドにおける砂糖の生産動向および余剰在庫解消への取り組み」(https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_002197.html)を参照されたい。
(2)砂糖の摂取頻度
次に、8カ国全体の砂糖(食事や飲み物に味の調整のために使用する砂糖そのものを指し、菓子や飲料などに添加されている砂糖は対象としない)の摂取頻度を見ると、ほぼ毎日砂糖を摂取する者は全体の4割弱、週に1回以上砂糖を摂取する者は7割強であった(図15)。各国の砂糖の摂取頻度を見ると、インド、インドネシア、ブラジルの3カ国では、半数以上がほぼ毎日砂糖を摂取すると回答した。特にインドは図1のとおり、年間1人当たりの砂糖消費量が比較的少量であるにも関わらず、図11のとおり甘味嗜好が強く、摂取頻度が多いことが分かった。一方、ほぼ毎日砂糖を摂取する者の割合が最も低かったのは2割弱の中国であるが、週1回まで範囲を広げると、上記3カ国に次ぐ摂取頻度であった。また、日本と豪州は、砂糖を「全く使用/食しない」および「年に1回以下」とした割合を見ると、両国とも2割弱の回答があったことは注目に値する。
年齢別に見ると、「ほぼ毎日」砂糖を摂取すると回答した者の割合は、3割強から4割弱程度と世代間での差異は軽微であった。一方、週に1回以上の摂取を見ると、その割合は30〜39歳で最も高く、40歳以降は年齢に比例してその割合が低下する傾向がみられ、60歳以上の1割は「全く使用/食しない」と回答した(図16)。
(3)健康志向の度合い別の砂糖摂取頻度
図7の健康志向の度合い(健康であるために行動を起こしている)別に砂糖の摂取頻度を見ると、健康志向が高い消費者ほど砂糖を頻繁に摂取する傾向にあり、図13、14で見られた運動志向との相関性もうかがえる(図17)。この背景として、運動時は主要エネルギー源として使われる砂糖など糖質の摂取が重要とされるため、健康志向の高い消費者ほど糖質を多く含む食事を意識していることがうかがえる。なお、健康志向が低い消費者(全くあてはまらない:健康であるための行動を起こしていない)では、ほぼ毎日摂取すると回答した割合が4割弱、週1回以上では7割以上を占め、健康意識の方向が相容れない層においても、相似性がうかがえることが注目される。
4 コロナ禍での砂糖摂取量の変化
(1)新型コロナウイルス感染症流行前後の変化
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行前後の砂糖摂取量の変化について世界全体で見ると、5割強が「変化はない」とし、3割弱は「増加した」と回答している。国別に見ると、インドを除く7カ国で「変化はない」とした回答が最も多く、特に日本では8割以上の回答となった(図18)。「変化はない」とする回答を除くと、すべての国で「かなり増えた・やや増えた」の回答数が「かなり減った・やや減った」の回答数を上回った。特にインドでは、「かなり増えた・やや増えた」の回答が全体の5割強を占めるなど、図11の甘味嗜好性や図15の摂取頻度との関連性がうかがえる結果となった。
(2)コロナ禍での増減理由
摂取量の増加理由について見ると、「在宅時間が増加し、家で食事などをする機会が増えたから」と回答した者が中国とインドを除く6カ国で最も多かった(表1)。一方で、図1にあるように年間1人当たりの砂糖消費量が比較的少ない中国とインドでは、「収入が増えたから」と回答した者が最も多く、またインドでは、在宅時間の増加が要因の上位に挙がっていない点が特徴的である。さらに、「外出や行楽の機会が減った代わりに、娯楽として甘いものを摂取する機会が増えたから」の回答数は8カ国中6カ国で2番目に多く、「生活習慣の変化により、手軽に摂取できる食品に魅力を感じるようになったから」の回答数は同5カ国で3番目に多かった。
一方で、摂取量の減少理由をみると、すべての国で「以前より健康に気を遣うようになったから」と回答した者が最も多かった。また、「生活習慣の変化により、嗜好性が変わったから」の回答数は8カ国中6カ国で2番目に多い要因となり、「生活習慣の変化により、日々の食事に手間をかけることができるようになったから」の回答数は同4カ国で3番目に多い要因となった。
これらの結果から、世界的な健康志向の高まりがみられる中で、手軽に摂取できる食品への需要と消費者の志向の変化が確認できた。
(3)年齢別の消費動向
年齢別に見ると、18〜29歳および30〜39歳の層では、4割弱が「かなり増えた・やや増えた」と回答するなど、60歳以上の層を除き、「かなり増えた・やや増えた」の回答数が、「かなり減った・やや減った」を上回った(図19)。そのうち、 砂糖摂取量が「かなり増えた」回答者の結果を属性別に見ると、「甘いものが非常に好き」な人や「ほぼ毎日砂糖を摂取している」人の割合が高く、先述のとおり運動志向の高い人の割合も高い結果となった(図20)。また、世帯構成別では、「18歳以下の子供がいる」世帯の回答割合が高い傾向にあり、子供を抱える世帯での砂糖消費の高さがうかがえる。
5 砂糖摂取量の今後の見通し
(1)今後の砂糖摂取量の変化
今後の砂糖摂取量がどの程度変化するかについて見ると、世界全体では、5割程度が「変化はない」と回答する中、2割強は「かなり増える・やや増える」と回答している(図21)。国別の回答結果を見ると、日本では約8割の消費者が「変化はない」と回答し、その割合は8カ国の中で最も高かった。「変化はない」と回答した理由として、日常的に使用していることを示唆する「調理に使用するため」が最も多く、コロナ禍で世界的に中食や外食が進む中で、日本の自炊文化の根強さが確認された。
「かなり増える・やや増える」の回答数が「かなり減る・やや減る」を上回ったのは中国とインドの2カ国であった。「かなり増える・やや増える」と回答した理由としては、「調理に使用するため」が最も多く、次いで「おいしいから」が多く挙げられた(表2)。そのうち中国は先述のとおり、年間1人当たりの砂糖消費量が少ない傾向にあり(図1)、図11のとおり甘味嗜好が比較的弱く、かつ図15のとおり摂取頻度が少ない状況であった。このような中で、COVID-19の流行を経て、食生活の変化がうかがえる結果となったことは、巨大消費市場である中国の動向として興味深い。また、インドは、甘味嗜好が強く摂取頻度が多い中で、図1のとおり年間1人当たりの砂糖消費量が20キログラム弱と世界平均である25キログラムを下回ることから、同国の人口の増加基調も踏まえ、潜在的な需要が大きいと推察される。
その他6カ国は、「かなり増える・やや増える」が「かなり減る・やや減る」を下回った。「かなり減る・やや減る」の回答数が特に多かったのは、図15にあるようにほぼ毎日砂糖を摂取するとの回答が半数以上を占めるインドネシアとブラジルで、その割合は4割程度と突出していた。また、6カ国の共通の回答として「病気や肥満の原因になりそうだから」「安全ではなさそうだから」などを消費減少の理由に挙げる消費者が多かった。これらには、科学的根拠に乏しい情報や俗説が含まれており、砂糖の多様な機能や正しい摂取のあり方など、正確な知識の伝達と啓蒙に対する更なる取り組みが、世界的な課題であることが浮き彫りとなった。
(2)年齢別の見通し
世代別で見ると「かなり増える・やや増える」と回答した者の割合は、30〜39歳が最も高かった(図22)。砂糖摂取量の増加は40歳以降を境にその割合が大きく低下する傾向となり、60歳以上では1割弱が「かなり減る」と回答した。
6 国産砂糖への価格的評価
国産志向(注7)の高さについて、全体としては10段階評価で8以上が5割程度、6以上で8割弱と、世界的にも国産に対し一定程度関心があることが分かった(図23)。国別に見ると、インド、インドネシア、ブラジルでは、回答から国産を重視する傾向がうかがえ、図15の砂糖の摂取頻度が多い国と符合している点が興味深い。なお、日本においては一般的には商品に対し品質を重視する傾向が強いとの評価がある中で、「非常に重要である」と回答した者の割合が8カ国の中で最も低くなった。この結果から、日本では、国産の訴求以外にも品質や安全性、価格といった他の要素も重要となることがうかがえた。
(注7)国産志向とは、普段食品を購入する際、原料が国産であることを重要視する志向。
国産志向の傾向は国産砂糖への評価に現れており、全体としては「国産ではない商品との価格差が10%以上50%未満であれば購入する」と回答した者の割合が最も高く、全体の3割弱を占めた(図24)。加えて、「国産ではない商品との価格差が10%未満であれば購入する」と回答した者の割合は、ほぼ同程度の約25%を占めるなど、国産砂糖に対する一定の価格差を容認する結果となった。国別に見ると、フランスでは「国産ではない商品との価格差が10%未満であれば購入する」との回答割合が5割弱と8カ国の中で最も高く、「国産ではない商品との価格差が10%以上50%未満であれば購入する」を加えると約7割が価格差を容認するとし、国産砂糖に対する高い評価が確認された。また、「いくら高くても国産品を購入する」割合が最も高かったのは豪州で、同国の国産志向の度合いに比べ、国産砂糖への評価が高い状況にあることも興味深い。
(参考)機構広報誌vol.62 2022年2月号「【REPORT】オーストラリアの畜産物のさまざまな表示 4.オーストラリア産表示の強調」(
https://www.alic.go.jp/koho/kikaku03_001327.html)を参照されたい。
なお、国産であることにこだわらない者の割合が最も低かったのはインドであるが、日本と米国はこの割合が高く、これらは国産志向の高さと符合する結果となった。
価格的評価別に見ると、「いくら高くても国産品を購入する」と国産砂糖を高く評価する回答者は、「栄養素」(30.7%)の回答割合が他と比較して最も高く、「おいしさ」(17.7%)の回答割合が低い(図25)。従って、国産砂糖に対し、風味や味覚といった感覚的なものよりも、栄養という効能を高く期待している人が多いことがうかがえる。一方で「国産品かそうではないかに強いこだわりはない」として原産国を重視しない回答者は、「おいしさ」(29.1%)と「価格の安さ」(18.1%)の回答割合が他と比較して最も高く、風味や味覚、価格帯といった実利を重視する傾向にあることがうかがえる。
7 オーガニックシュガーへの価格的評価
オーガニックシュガーは、各国の認証基準に多少の違いがあるものの、共通するのは、原料となるサトウキビが有機栽培であることはもちろんのこと、化学的に合成された添加物や薬剤を使用せず加工・精製したものを指す(写真)。昨今の消費者の健康志向を背景とした有機農産物および有機加工食品の需要の高まりを受けて、オーガニックシュガーの生産を開始する製糖業者はEUを中心に増加傾向にある。
(注8)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の
2022年2月末TTS相場1ユーロ=130.84円を使用。
オーガニックシュガーの価格的評価については、「オーガニック認証ではない商品との価格差が10%以上50%未満であれば購入する」と回答した者の割合が最も高く、全体の約24%を占めた(図26)。次いで「オーガニック認証商品かそうではないかに強いこだわりはない」が続き、全体の約23%を占めた。
各国の回答結果を見ると、インド、インドネシア、中国では、「いくら高くてもオーガニック認証商品を購入する」とする回答者の割合が高く、それぞれ22.7%、19.7%、17.2%となった。フランスでは国産砂糖の価格的評価と同様の傾向がみられ、「オーガニック認証ではない商品との価格差が10%未満であれば購入する」との回答割合が4割弱と8カ国の中で最も高かった。日本は、「オーガニック認証商品かそうでないかに強いこだわりがない」とする割合が最も高く、回答割合が5割弱を占めた。従来、有機食品への関心の高まりが話題となる中で、実状としては、他国に比べて有機食品への理解醸成は浸透されていないことがうかがえる。
また、価格的評価別に見ると、「いくら高くてもオーガニック認証商品を購入する」とオーガニックシュガーを高く評価する回答者は、「栄養素」(34.4%)、「安全性」(17.1%)および「環境への配慮」(11.5%)の回答割合が他と比較して最も高く、オーガニック志向の高い層における商品への付加価値的な多面性を要求しているとともに、特に栄養と安全については、「おいしさ」(14.1%)よりも重視していることがわかった(図27)。一方で「オーガニック認証商品かそうではないかに強いこだわりはない」「オーガニック認証を受けた商品を買わない、買うことがない」としてオーガニック認証を重視しない回答者は、「おいしさ」(29.6%)と「価格の安さ」(21.6%)の回答割合が他と比較して高く、風味や味覚、価格帯といった実利を重視する傾向にあることが確認できた。
おわりに
世界各国で健康志向が高まる中で、一般的には砂糖摂取に対し消極的な考えもあると認識されてきた。しかし、本アンケートの回答対象から砂糖への否認意識がある者が除外されているとはいえ、結果として健康志向の高い層では砂糖の消費量が多いことが確認されるなど、消費者の認識・意識の正確な把握の重要性が改めて確認できた。また、COVID-19の流行を経て食生活に変化が生じたとされる中国や人口が増加基調であるインドでは、今後、潜在的な需要から砂糖消費の拡大が推察される。一方で、日本、豪州、ブラジル、フランス、インドネシアおよび米国の6カ国では、今後、砂糖消費の減少がうかがえる結果となった。これらの国では、砂糖に対する健康や安全にまつわる科学的根拠に乏しい情報や俗説から、一部の消費者は砂糖摂取を避ける傾向があり、食生活になくてはならない砂糖の正しい知識の伝達が、世界的な課題であることが浮き彫りになった。
また、国産砂糖の消費については、8カ国でおおむね国産志向が高いとの結果が得られたが、価格的評価については各国で差があった。栄養的な観点やおいしさから国産を選択する傾向があるとともに、国産志向の低い層(国産品かそうでないかに強いこだわりはない層と国産品を一切買わない、買うことがない層)では、安価であることが重要な要素でもあり、今後の砂糖消費を見通す際の留意事項と考えられる。さらには、オーガニックシュガーを評価する層においては、おいしさもさることながら、栄養や安全といった付加価値的要素を評価する代替として、適正な対価を支払うことに対し理解・容認していることがうかがえる。
砂糖は、生産・消費ともに増加傾向で推移してきたが、引き続き多様化する消費者の認識・意識の正確な把握に努めることが、砂糖の需給安定に向けた重要な取り組みの一つであると考える。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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