2022年9月のニューヨーク粗糖先物相場の推移を見ると(10
月限)、2日は、今夏の欧州の熱波や干ばつの影響で砂糖生産量の減少が予測されたことから、1ポンド当たり18.15
(注1)セントと値を上げた。6日は、原油価格の下落
(注2)を受け、同17.98セントと値下がりした。9日は、タイ政府がバイオ燃料に対する国庫補助金の拠出を発表したことにより、同18.22セントと上昇した。この度の財政支援により、タイの製糖会社でのエタノールの増産と砂糖の減産が想定され、同国の砂糖輸出量が減少する可能性がある。13日は、さらに値を上げ、同18.38セントとしたが、14日は、同18.27セントと反転した。15日は、レアル安
(注3)などにより同18.18セントに値を下げ、レアル安の進展から、16日は、同17.88セントまで下落した。19日は、米国大手金融企業が2023/24年度のブラジル中南部地域での砂糖の増産(前年度比5.7%増:3520万トン)を予測したことなどから、同17.69セントまで値を下げた(なお、当該企業はブラジル、インド、タイなどの主産地からの供給増加により、2023/24年度の世界の砂糖生産量は前年度比3%増の1億9440万トンと予測している)。20日は、タイ政府が近時の物価高騰を受け、砂糖を含む飲料に対する物品税の引き上げを来年3月末まで延期するとした報道を受け、同18.19セントまで急上昇した。22日は、原油価格の上昇により、同18.49セントまで値を上げたものの、以後下落基調をたどり、27日は、同18.19セントまで下落した。その後は、ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)が9月中旬までのブラジル中南部地域の砂糖生産量を前年同期比8.4%減と予測したことを受けて反転し、30日は、同18.42セントの値を付けて納会した。
期近が3月限に切り替わった10月3日は、同17.42セントを付けた。4日以降は原油価格が堅調に推移し、7日は、同18.68セントまで上昇した。10日は、ドル高に反発して、同18.61セントまで落ち込んだ。11日は、UNICAがブラジル中南部地域の9月までの砂糖生産量を前年同期比9.9%減と下方修正したことから、同18.74セントまで押し上げられた。12日は、ドル高と原油価格の下落により、同18.68セントへと値を下げた。
(注1)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
(注2)一般に、原油価格が下落すると、石油の代替燃料であるバイオエタノールの需要も減少する。バイオエタノールの需要減少により、その原料作物(サトウキビ、てん菜など)のバイオエタノール生産への仕向けが減る一方、それらから生産される食品(サトウキビの場合は砂糖)の生産・供給が増えると想定される。食品用途仕向けの度合いが大きくなるほど需給が緩和し、当該食品の価格を押し下げる方向に作用する。
(注3)粗糖は米ドル建てで取引されるため、米ドルに対してレアルが下落すると、相対的にブラジル産粗糖の価格競争力が高まる。世界最大の砂糖輸出国ブラジルの輸出意欲が高まると、需給の緩和につながることから、価格を押し下げる方向に作用する。