エネルギー危機を背景にブラジル産エタノールの欧州向け輸出が加速
10月20日付けの現地報道によると、欧州各国はロシアのウクライナ侵攻に端を発したエネルギー危機に対処するため、安価なブラジル産エタノールの買い付けが進み、輸出が増えているとされている。欧州ではガスや電気などの光熱費が高騰し、9月までの同国の欧州向け輸出量は前年比で3倍に達し、特に政策変更によってブラジルのバイオ燃料価格が急落した7月以降、買い付けが活発化している
(注)。
(注)『砂糖類・でん粉情報』2022年9月号「世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2022年8月時点予測)」https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_002771.htmlを参照されたい。
同国の製糖企業は欧州での旺盛な需要に応えるべく、エタノールの増産を図っている。同国産エタノールの多くはサトウキビの搾り汁から製造されるが、搾汁後の
残渣であるバガスも原料として活用できる。残渣由来のエタノールは食料消費と競合せず、資源の有効活用と収益化に寄与するものである。ある大手製糖企業はバガス由来エタノール生産量を2024年までに現状の8倍とするため、現在三つのプラントの増設を進めており、この新プラントの生産量の8割がすでに契約済となっているとのことである。
これらの動きに対しある製糖企業は、現在、欧州ではわれわれが提供できる以上の需要があると語り、また別の企業は、今後同国でトウモロコシ由来バイオ燃料への投資が増加することで、欧州への輸出増加の動きは来年も続くだろうと述べた。