3. 国際価格の動向
最終更新日:2023年1月10日
3. 国際価格の動向
2023年1月
ニューヨーク粗糖先物相場の動き(11/1〜12/12)
〜11月半ばに20セント台まで急上昇し、その後は19セント台を維持〜
2022年11月のニューヨーク粗糖先物相場(3月限)の推移を見ると、11月1日は、ブラジル産砂糖の供給不足への懸念から上昇し、1ポンド当たり18.43セント(注1)を付けた。4日は、中国のゼロコロナ政策の転換期待が原油相場を押し上げたことから(注2)、同18.71セントまで上昇した。8日は、ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)がブラジル中南部地域の10月中旬までの砂糖生産量を前年同期比7.3%減としたことから、同19.00セントまで押し上げられた。9日以降は、米ドル安(注3)とブラジルの減産見込みから上昇し、11日は、ここ数日の相場の上昇によりショートポジションをカバーするための買い戻し(注4)が入ったことなどから、同19.64セントと続伸した。14日は、インド政府が2022/23年度の輸出割当を発表した後、一部の製糖工場がより高い価格での再交渉に応じない場合に出荷を停止するとした報道があったことから、同19.83セントまで上昇した。15日は、前日の報告を受け、アジアの砂糖供給に対する懸念が広がったことやインド製糖協会(ISMA)が10月から11月半ばまでのインドの砂糖生産量が前年同期比の4.8%減であると報告したことから、同20.29セントと急騰した。17日は、原油価格の下落とレアル安により、同19.73セントまで値を下げた。18日は、アジアの供給懸念が再度高まったことから、同20.05セントに値を戻した。21日以降は、ブラジルの増産見込みや原油安などから下降基調で推移し、25日は、同19.33セントまで下落した。一方、28日以降は、原油高やレアル高によって緩やかに上昇し、30日は、同19.63セントまで値を上げた。
12月に入ると、1日は、前日までの流れを受けて続伸し、同19.92セントをつけたが、2日は、米国大手金融企業が22/23年度の世界の砂糖余剰在庫量予測を390万トンから520万トンに引き上げたことから、同19.48セントと値を下げた。なお、当該企業は、2023/24年度のブラジル中南部の砂糖生産量を前年度比で5.2%の増加を見込んでいる。5日は、インドの減産見通しとタイの大雨による収穫の遅れから、同19.55セントと上昇した。6日は、原油価格が11カ月ぶりの安値となったことから、同19.39セントと下落した。8日は、欧州砂糖製造者協会(CEFS)が22/23年度のEUの砂糖生産量を前年度比7%減と予測したことから、同19.68セントと上昇した。12日は、ブラジルの砂糖生産増加見込みから、同19.38セントまで値を下げた。
(注1)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
(注2)一般に、原油価格が上昇すると、石油の代替燃料であるバイオエタノールの需要も増加する。バイオエタノールの需要増加により、その原料作物(サトウキビ、てん菜など)のバイオエタノール生産への仕向けが増える一方、それらから生産される食品(サトウキビの場合は砂糖)の生産・供給が減ると想定される。食品用途仕向けの度合いが小さくなるほど需給がひっ迫し、当該食品の価格を押し上げる方向に作用する。
(注3)粗糖は米ドル建てで取引されるため、米ドルに対してレアルが上昇すると、相対的にブラジル産粗糖の価格競争力が低下する。世界最大の砂糖輸出国ブラジルの輸出意欲が低下すると、需給のひっ迫につながることから、価格を押し上げる方向に作用する。
(注4)売買差益を狙い、将来の値下がりを期待して売りの持ち高を取っていた金融資産を、決済のために買い戻すこと。
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