2022/23年度の砂糖生産量はやや増加し、輸入量はかなりの程度減少する見込み
2022/23年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、113万ヘクタール(前年度比1.0%増)とわずかに増加すると見込まれる(表4)。サトウキビ生産量は、主産地の広西チワン族自治区の一部で熱波の被害を受けたものの、その他の地域での被害は軽微であったことから、7185万トン(同0.4%減)とわずかな減少にとどまると予想される。一方で、同年度のてん菜の収穫面積は、トウモロコシ価格の高騰を背景に政府が3月に穀物の増産を呼びかけたことから、穀物などの他作物への転作が増加したものの、14万ヘクタール(前年度同)と見込まれる。てん菜生産量は、順調な生育により748万トン(前年度比5.9%増)とやや増加すると見込まれる。
砂糖生産量は、サトウキビ主産地の広西チワン族自治区で8月中旬から高温や乾燥が続いていたが、これまでの降水量が平年よりかなり多く、順調に生育していることから、1064万トン(同3.0%増)とやや増加すると見込まれる。輸入量は、2020年に引き続き21年も国内生産の不足分を上回る量が輸入され、国内在庫が積み増しされている中で、前月予測から砂糖の増産幅が拡大したことなどを受けて、669万トン(同6.2%減)とかなりの程度減少すると見込まれる。
雲南省でサトウキビの新品種を発表
11月18日に雲南省農業科学院サトウキビ研究所は、サトウキビの新品種に関する成果発表会を開催し、同所が独自に選抜・育成し、今後のサトウキビ生産を支えると期待される2品種(云蔗0551、云蔗081609)が発表された。
云蔗0551は干ばつに強い高収量品種で、雲南省での栽培実証では、主要地域で高収量性が確認され、平均収量は1ムー
(注1)当たり7.67トンを記録し、対照品種である新台糖22号より13.13%多い結果となった。
また、云蔗081609は、現状、中国で最も甘いサトウキビ品種とされ、栽培実証ではショ糖含有率は最大で20.3%と、新台糖22号より2〜3%程度高い結果が確認された。また、茎が太く、収量が非常に多いという特徴を併せ持つ品種であり、モザイク病やさび病などの主要病害に対する強さも確認された。さらに、同種は株出し栽培にも強みがあり、5年目の株出しの収量は1ムー当たり8.1トンを記録した。
同省は中国第2位の砂糖生産地であり、砂糖生産量は同国の2割以上を占めている
(注2)。同省は、「雲南省農業近代化3年行動計画(2022−2024年)」を公表し、その中で砂糖産業を主要産業に指定している。今後は、良質な品種の普及と産業全体の発展を目指しており、2024年までにサトウキビの栽培面積を約350万ムー、サトウキビ生産量を1700万トンおよび砂糖生産量を250万トンとする目標を設定している。
(注1)1ムー=0.0667ヘクタール。中国のサトウキビの平均単収は、1ヘクタール当たり67.8トン(2020/21年度)。詳細については2022年6月23日付海外情報「中国農業展望報告(2022−2031)を発表(砂糖編)」https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003284.htmlを参照されたい。
(注2)同国第1位の砂糖生産地域は広西チワン族自治区であり、砂糖生産量は同国の6割弱を占める。詳細については2022年6月29日付海外情報「広西チワン族自治区でサトウキビ生産者向けの新保険制度を開始(中国)」https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003286.htmlを参照されたい。