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砂糖の価格調整業務実績について (令和3砂糖年度)

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最終更新日:2023年1月10日

砂糖の価格調整業務実績について (令和3砂糖年度)

2023年1月

特産調整部、特産業務部
 

はじめに

 当機構では「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」に基づき、輸入糖、異性化糖および輸入加糖調製品の買入れ・売戻しにより調整金を徴収し、それらを財源として国内のサトウキビ生産者やてん菜糖・甘しゃ糖の製造事業者に交付金を交付して支援を行うことで内外価格差を調整し、国内の砂糖の安定的な供給の確保を図っている。

 本稿では、令和3砂糖年度(令和3年10月1日〜令和4年9月30日<以下「3SY」という>)における砂糖の価格調整業務実績について取りまとめたので、報告する。

1.調整金徴収業務

(1)3SYの指標価格など

 3SYの指標価格などは表1の通り。

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(2)砂糖の需要と供給

 令和4年9月に農林水産省が公表した砂糖及び異性化糖の需給見通し(以下「需給見通し」という)によると、3SYの砂糖の需給の実績見込みは表2、3の通り。

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(3)国際相場などの動き

 ニューヨーク粗糖先物相場の3SYの動きは、SY当初の令和3年10月は原油価格の上昇により20.33米セントまで値を上げたものの、その後、ブラジルやインド、タイなどの主要生産国の関係団体からサトウキビの増産見込みが示されたことから、令和4年2月には、1ポンド当たりの月平均価格は18米セント台前半まで下落した(図1)。令和4年2月24日のロシアによるウクライナへの軍事侵攻以降、原油価格が急上昇したことを受け、4月には19米セント台後半まで上昇した。5月以降は、原油価格の下落や中国税関が公表した砂糖輸入量の大幅な減少などを受けて相場は下落傾向で推移し、9月の月平均価格は18米セント台前半で3SYを終えた。

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(4)粗糖、加糖調製品糖および異性化糖の平均輸入価格など

 3SYにおける粗糖、加糖調製品糖および異性化糖の平均輸入価格は表4〜6の通り。粗糖の国際相場の変動幅は比較的小さかったものの為替相場がSYを通じて上昇傾向で推移したこともあり、粗糖の平均輸入価格も上昇傾向で推移した。

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(5)売買実績

ア.輸入糖
 3SYの輸入糖の売買数量は前SY比6.9%減の99万1000トンとなった(表7)。これは前SYから引き続きコロナ禍による外出自粛や、インバウンド需要をはじめとした国内需要の減退などの影響によるところが大きく、売買数量はコロナ禍以前の30SYの水準まで回復するには至っていない状況にある。

イ.輸入加糖調製品
 3SYの輸入加糖調製品の売買数量は前SY比2.0%減の41万8000トンとなった。
 
  これは、輸入糖と同様、コロナ禍による外出自粛や、インバウンド需要をはじめとした国内需要の減退などの影響によるところが大きい。しかしながら、円安傾向が続いたことからCIF価格(課税標準価額)が上昇したため、売買差額は大幅に増加し前SY比26.2%増の84億1700万円となった。

ウ.異性化糖
 3SYの異性化糖の売買は、全期間を通じて異性化糖の平均供給価格(機構の買入価格)が異性化糖標準価格(機構の実質的な売戻価格)を上回ったことから、売買は行われなかった。

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2.交付金交付業務など

(1)甘味資源作物および国内産糖の生産動向

ア.てん菜・てん菜糖
 3SYのてん菜は、需給見通しによると、当初は降水量が少ない状態が続き生育への影響が懸念されたものの、令和3年8月のまとまった降雨以降、おおむね順調な生育となった。その結果、てん菜の生産量は前SY比3.8%増の406万1000トン、産糖量も同1.4%増の64万トンとなった(表8)。
 

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イ.サトウキビ・甘しゃ糖
 3SYの鹿児島県および沖縄県のサトウキビは、需給見通しによると、島によっては生育初期や夏場の小雨の影響が懸念されたものの、全体としては台風被害などの大きな自然災害もなく、一年を通じて気象条件に恵まれたことから、おおむね順調な生育となった。その結果、両県を合わせた生産量は前SY比1.7%増の135万8000トン、産糖量は同1.4%増の15万1000トンとなった(表9、表10)。
 

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(2)交付金の交付状況など

ア.甘味資源作物交付金(サトウキビのみ)
 サトウキビの収穫期はおおむね12月から翌年5月ごろまでであり、製造事業者への売渡し数量に応じて生産者に交付金を交付している。3SYは、交付決定数量がサトウキビ生産量の増加を受け、前SY比0.9%増の127万トンとなり、交付決定金額は、同3.9%増の225億2800万円となった(表11)。
 

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イ.国内産糖交付金
(ア)てん菜糖の交付状況

 てん菜糖製造事業者の販売は年間を通じて行われ、販売数量に応じて交付金を交付している。3SYは、交付決定数量が前SY比3.2%増の約64万トンとなった。また、交付決定金額は、交付金単価の低下を受けて同10.0%減の141億3500万円となった(表12)。
 

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(イ)甘しゃ糖の交付状況
 甘しゃ糖製造事業者が製造した粗糖は、製糖後それほど期間を置かずに精製糖メーカーに販売されるため、操業時期に対応して交付金を交付している。

 3SYは、サトウキビの生育が順調だったことから産糖量も増加し、交付決定数量は前SY比2.4%増の15万2000トンとなった。また、交付決定金額は、交付金単価の低下を受けて同2.7%減の95億3100万円となった(表13)。
 

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(3)国庫納付金納付業務(てん菜)

 てん菜生産者への農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に要する経費の財源に充てるため、農林水産大臣からの通知に従い、3SY(発生ベース)分として、調整金収入などから132億1600万円を国庫に納付する予定である。

 3SYは前SYと比較し調整金収入が減少したため、国庫への納付金額も減少する見込みである(表14)。

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(4)砂糖の価格調整業務における収支(見込み)

 3SYの収入については、輸入糖は、前SYから続くコロナ禍の影響により、砂糖需要の低迷に伴う輸入糖の売買数量が前SYに引き続き低水準となったことや、砂糖の国際相場の上昇により調整金単価が低下したことから、前SYより86億円減の293億円となった(表15)。

 一方、輸入加糖調製品については、前SYより17億円増の84億円の収入となり、国費の増加も含む収入全体では前SYより66億円減の486億円となった。

 支出については、てん菜糖および甘しゃ糖の交付単価の低下、てん菜の国庫納付金額が減少したことなどから、全体としては前SYより28億円減の595億円と見込まれる。

 これらの結果、3SYの収支は、109億円の赤字(前SYは71億円の赤字)となり、前SYに引き続き、大幅な単年度赤字となるとともに、マイナス400億円を超える期末残高(3SY期末:▲445億円)となることが見込まれる(図2)。

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