2022/23年度の砂糖生産量は大幅に、輸出量はかなりの程度増加する見込み
2022/23年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、前年が豊作であったことや、競合するキャッサバに比べて収益が高い状況にあるといった理由から、168万ヘクタール(前年度比10.1%増)とかなりの程度増加すると見込まれる(表7)。サトウキビ生産量は、東北地域の低地帯で洪水が発生したものの、洪水の被害がなかった他の地域で収量の増加がみられ、1億1000万トン(同19.5%増)と大幅に増加すると見込まれる。
砂糖生産量は、グリーンハーベスト
(注1)の普及を背景とした
梢頭部や葉などの混入が歩留まりを低下させるものの、1247万トン(同16.7%増)と大幅な増加が見込まれる。輸出量は、大幅な増産を受けて875万トン(同8.4%増)と倍増した前年度から更なる増加が見込まれる。
(注1)サトウキビを燃やさず、そのまま収穫する方法。従来、同国ではサトウキビを燃やした後に収穫するのが一般的であったが、大気汚染を引き起こすとの批判の高まりを受け、近年はグリーンハーベストが推進されている。
サトウキビの葉などの農業副産物から代替石炭を開発
タイ大手のセメントメーカーは、燃料用の石炭から排出されるCO2の削減に向け、サトウキビの葉など農業副産物を原料とした「バイオコール(Bio-Coal)」を製造する技術を開発した。
同メーカーのセメント工場は、石炭をはじめとした化石燃料に依存してきたが、試算では、年間5万トンの石炭をバイオコールに置き換えることで、最大10万トンのCO2排出を削減できるとしている。
また、この技術の導入により、サトウキビの葉の売却先が確保されることで、農家の増収に寄与するだけではなく、サトウキビ農場から発生するCO2のほか、PM2.5の削減も期待できるとしている。従来、同国では焼き畑による収穫(不要な葉などを
圃場で燃やした後に、茎を収穫する)が展開され、サトウキビ農場由来のCO2やPM2.5の有害物質の発生が問題となっていたが、近年、焼き畑が禁止されたことで、葉など副産物の有効活用が課題となっていた。グループ関係者は、バイオコールの導入が進むことで、35万ライ(5万6000ヘクタール)
(注2)のサトウキビ畑を焼き畑から救うことができるとしている。
なお、本技術は、従来、同国が推進しているBCG経済モデル
(注3)に沿った取り組みで、本年11月に同国で開催されたアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議の会場にて紹介展示がなされたものである。
(注2)1ライは0.16ヘクタール。
(注3)BCG経済モデルとは、同国の経済施策の一つで、
「バイオ(Bio)経済」「循環(Circular)経済」および「グリーン(Green)経済」の概念を統合したもの。生物資源の活用、資源の再利用とリサイクル、社会経済と環境のバランスによる持続可能な開発などを主眼とし、次の4産業が注力分野として掲げられている。
(1)農業・食品 (2)医療・健康、(3)エネルギー、素材およびバイオ化学 (4)観光・クリエイティブ経済