2022/23年度の砂糖生産量および輸出量は減反ながらも増加を維持する見込み
2022/23年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は、前年度の不作による苗不足や大豆やトウモロコシなど他の作物との競合から855万ヘクタール(前年度比1.5%減)とわずかに減少すると見込まれる(表2)。一方でサトウキビ生産量は、中南部地域が平年より乾燥した後、9月以降は降雨が続いて収穫作業が遅れたものの、その他の地域ではサトウキビの生育に良好な条件が続いたことから6億600万トン(同5.1%増)とやや増加すると見込まれる。砂糖生産量は、7月から相次ぐガソリン卸売価格の引き下げやガソリンに対する連邦税の免税措置延長を受けて、相対的に同国内でのバイオエタノール需要減少から砂糖仕向けの増加が見込まれることや、中南部地域の気候が良好で、雨季開始前に予想以上のサトウキビが粉砕されたことなどから、3968万トン(同5.5%増)とやや増加すると見込まれる。輸出量は、インドの輸出量が予想を下回ったことや、砂糖への仕向け増を背景に2917万トン(同7.7%増)とかなりの程度増加すると見込まれる。
ブラジルサトウキビ産業協会、ガソリンの免税延長による損失を試算
2023年1月3日付けの現地報道によると、ブラジルのルーラ新大統領は、22年12月末で期限を迎えたガソリンに対する連邦税の免税措置延長を発表した。これを受けてブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)は、新たな期限となる2月28日までの60日間で、エタノール産業界全体で30億レアル(約786億6000万円
(注))の損失が生じるとの試算を発表した。また、この免税措置延長によりガソリンとエタノールが同じ税体系になることに対し、環境保護の観点から異なる製品をあたかも同等に取り扱っているとの不満を示している。
ボルソナロ前大統領は、22年10月の大統領選での再選を目指すべく、同年7月にガソリンの連邦税を引き下げたのに対し、ルーラ新大統領は、同年11月に行った就任前の演説で免税措置の見直しを表明していた。免税はガソリン消費を刺激する一方で、競合燃料であるエタノールは価格競争力を失い、影響を受けることとなる。また、エタノールの供給量の減少は、エタノールの製造残渣(ざんさ)を原料とするバイオガスやバイオメタン分野にも影響が及び、この分野で2億レアル(51億2400万円)規模の投資計画があったもの、免税措置延長により停止される可能性が生じているとされている。
(注)1レアル=25.62円(ブラジル中央銀行の12月末TTS相場:1レアル=5.22米ドル、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の12月末TTS相場:1米ドル=133.70円を使用して算出)。