2023年1月のニューヨーク粗糖先物相場(3
月限)の推移を見ると、12月下旬からの下落傾向の流れを引き継いで、1月3日は、インド製糖協会(ISMA)が同国の砂糖生産量(22/23年度10〜12月)を前年同期比3.7%増と公表したことから、1ポンド当たり19.70セント
(注1)に下落した。4日以降も原油安
(注2)やレアル安
(注3)により引き続き値を下げ、6日は、同18.96セントと2カ月ぶりに同19セントを下回った。9日以降は原油高などにより緩やかに伸び、10日は、同19.64セントまで上昇した。17日は、原油価格が高値となったことを受けて同20.14セントまで上昇して20セント台に乗せたが、18日には、原油が下落に転じたことから、同19.82セントと下落した。24日は、ブラジルの国営石油会社ペトロブラスがガソリンの卸売価格を7%以上引き上げるとの報道を受け、ガソリン需要が高まるとの期待から、同19.88セントと上昇した。25日は、レアル高により20.11セントと、再び20セント台に乗せた。その後、インドでの砂糖生産量の減少見込みや、EUでのてん菜種子へのネオニコチノイド系農薬のコーティング剤の例外的利用が禁止されるとの報道など、砂糖生産量の先行きの不透明感から続伸した。31日には、ISMAが22/23年の砂糖生産量の予想を下方修正するとともに、輸出量の予測を引き下げたことなどから、同21.76セントと高騰した。
2月に入って、1日は、原油安から同21.37セントと下落したが、2日は、同21.66セントとやや値を戻した。3日は、原油安から同21.24セントと値を下げ、6日は、ドル高などが加わり、さらに同20.66セントまで下落して、21セント台を割り込んだ。8日は、原油高などから上昇に転じて、同21.20セントと、再び21セント台を付けた。10日は、ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)が1月後半のブラジル中南部地域のサトウキビ生産量が前年同期を上回ったと発表した一方で、EU第2位の生産国であるフランスと、インドの両国で砂糖生産が減るとの懸念から、同21.58セントと続伸した。13日は、世界第2位の砂糖輸出国であるタイで、2月上旬時点の累計の収穫量が昨年度より10%増加し、糖度が過去最高を記録したとの報道などから、同21.20セントと値を下げた。
(注1)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
(注2)一般に、原油価格が下落すると、石油の代替燃料であるバイオエタノールの需要も減少する。バイオエタノールの需要減少により、その原料作物(サトウキビ、てん菜など)のバイオエタノール生産への仕向けが減る一方、それらから生産される食品(サトウキビの場合は砂糖)の生産・供給が増えると想定される。食品用途仕向けの度合いが大きくなるほど需給が緩和し、当該食品の価格を押し下げる方向に作用する。
(注3)粗糖は米ドル建てで取引されるため、米ドルに対してレアルが下落すると、相対的にブラジル産粗糖の価格競争力が高まる。世界最大の砂糖輸出国ブラジルの輸出意欲が高まると、需給の緩和につながることから、価格を押し下げる方向に作用する。