3. 国際価格の動向
最終更新日:2023年4月10日
3. 国際価格の動向
2023年4月
ニューヨーク粗糖先物相場の動き(2/1〜3/13)
〜3月限は22セント台の高値で終え、世界的な供給不足懸念により5月限は20セント台から開始〜
2023年2月のニューヨーク粗糖先物相場(3月限)の推移を見ると、1日は、1ポンド当たり21.37セント(注1)と高かった1月末日からは下落したものの、2日は、同21.66セントとやや値を戻した。3日は、原油安(注2)から同21.24セントと値を下げ、6日は、ドル高(注3)などが加わり、さらに同20.66セントまで下落して、21セント台を割り込んだ。8日は、原油高などから上昇に転じて、同21.20セントと、再び21セント台となった。10日は、ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)が1月後半のブラジル中南部地域のサトウキビ生産量が前年同期を上回ったと発表した一方で、EU最大の生産国であるフランスと、インドの両国で砂糖生産が減るとの懸念から、同21.58セントと続伸した。13日は、世界第2位の砂糖輸出国であるタイで、2月上旬時点の累計の収穫量が昨年度より10%増加し、糖度が過去最高を記録したとの報道などから、同21.20セントと値を下げた。その一方、14日は、砂糖の現物需要の高まりから、同21.57セントと値を上げた。15日は、ドル高により同21.38セントまで値を下げるも、16日以降は、17日にインド政府が22/23年度の追加輸出割当を認めない方針を示唆したことや、20日にはインド製糖協会(ISMA)が22/23年度の砂糖生産量の増加を発表したことなどから、価格は横ばいで推移し、22日は、同21.29セントを付けた。23日は、レアル高と原油高により、同21.58セントと上昇した。24日は、ドル高に伴う利食いにより、同21.28セントと下落したが、国際砂糖機関(ISO)が22/23年度の砂糖生産量と余剰在庫量を下方修正したことから、世界的な供給不足への懸念が広がり、27日は、同22.09セントと高騰し、28日は、同22.08セントで3月限の納会を迎えた。
期近が5月限を迎えた3月1日は、引き続き世界的な供給不足への懸念から、同20.57セントと高値を付けた。2日は、ドル高により、同20.31セントまで値を落とすも、3日は、原油高により、同20.92セントと上昇した。6日は、インドにおける22/23年度の砂糖生産量が目標とする3360万トンに達した場合、100万トン追加輸出枠を許可する可能性があることを同国政府が発表したことから、同20.87セントと下落した。7日以降は、インドでの減産やブラジルでの増産見通しなどから上下したものの、9日は、米国海洋大気庁がラニーニャ現象の終息を宣言し、今年後半にはエルニーニョ現象が約6割の確率で発生することを発表したことから、同21.15セントと上昇した。エルニーニョ現象が発生した場合、ブラジルでの大雨やインドでの干ばつなど、砂糖生産の世界的な被害が懸念される。13日は、原油安により、同20.80セントと値を下げた。
(注1)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
(注2)一般に、原油価格が下落すると、石油の代替燃料であるバイオエタノールの需要も減少する。バイオエタノールの需要減少により、その原料作物(サトウキビ、てん菜など)のバイオエタノール生産への仕向けが減る一方、それらから生産される食品(サトウキビの場合は砂糖)の生産・供給が増えると想定される。食品用途仕向けの度合いが大きくなるほど需給が緩和し、当該食品の価格を押し下げる方向に作用する。
(注3)粗糖は米ドル建てで取引されるため、米ドルに対してレアルが下落すると、相対的にブラジル産粗糖の価格競争力が高まる。世界最大の砂糖輸出国ブラジルの輸出意欲が高まると、需給の緩和につながることから、価格を押し下げる方向に作用する。
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