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4.世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2023年3月時点予測)

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最終更新日:2023年4月10日

4.世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2023年3月時点予測)

2023年4月



2022/23年度の砂糖生産量はやや、輸出量はかなりの程度増加する見込み
 2022/23年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は、前年度の不作による苗不足や、大豆やトウモロコシなどほかの作物との競合から859万ヘクタール(前年度比1.0%減)とわずかに減少すると見込まれる(表2)。一方でサトウキビ生産量は、主産地である中南部地域が生育初期に平年より乾燥した気候となり、9月以降は降雨が続いて収穫作業が遅れたものの、その他の地域も含めサトウキビの生育に良好な条件が続いたことから6億850万トン(同5.5%増)とやや増加すると見込まれる。

 砂糖生産量は、中南部地域の良好な気候に加え、雨季が始まる前に予想よりも多くのサトウキビが収穫されたことや、砂糖価格の上昇などを背景とした増産機運の高まりから、3977万トン(同5.7%増)とやや増加すると見込まれる。輸出量は、インドの輸出量が予想を下回ったことなどを背景に2921万トン(同7.8%増)とかなりの程度増加すると見込まれる。

ブラジル政府、燃料への連邦課税を再開
 ブラジル経済省は2月28日、ガソリンとエタノールに課される連邦税の課税を3月1日から再開すると発表した。この度の措置は6月末までの暫定的な措置とされ、ガソリンが1リットル当たり0.47レアル(約12.48円)(注)、エタノールで同0.02レアル(約0.53円)が徴収される。この措置が7月以降も有効であるためには、議会で可決される必要があり、今後の動向によっては、連邦税免除前の税率が再び適用される可能性がある。その場合ガソリンは同0.69レアル(約18.32円)、エタノールは同0.24レアル(約6.37円)となる。なお、この度の動きに合わせ、政府と国営石油企業のペドロブラスが協力し、販売店へのガソリン価格を同0.13レアル(約3.45円)引き下げたことから、結果的には、ガソリンの上昇は同0.34レアル(約9.03円)になるとしている。

 ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)は2月28日に発出した声明で、この度の課税再開に対し歓迎の意を表明し、政府は化石燃料への免税の廃止という財政面だけでなく、社会的にも環境的にも責任を負う選択することで、低炭素経済の強化に向けた政策を実現し、国として責任を持って関与することを約束したものであると述べた。また、本件はグリーン経済への今後の投資にも配慮したものであり、同国財相は本決定について、同国の環境経済資産、特にエタノールの重要性とバイオ燃料と化石燃料の税制差を明示したことを強調した。
 
(注)1レアル=26.56円(ブラジル中央銀行の2月末TTS相場1レアル=5.17米ドル、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2月末TTS相場1米ドル=137.33円を使用して算出)。
 

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2022/23年度の砂糖生産量はやや減少し、輸出量は大幅に減少する見込み
 2022/23年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、国内の高いサトウキビ需要を背景に価格上昇が加速するとの予測から、557万ヘクタール(前年度比5.4%増)とやや増加すると見込まれる(表3)。サトウキビ生産量は、主産地であるウッタル・プラデーシュ州では増産が見込まれているものの、マハラシュトラ州やカルナータカ州では降水量の偏りや雨期後半に続いた曇天に伴う日照時間の短さなどから収穫量の減少が予測され、4億6426万トン(同1.6%減)とわずかに減少すると見込まれる。

 一方で、砂糖生産量は、続く曇天によりサトウキビの出穂が早まったことによるCCS(注)の低下や同国におけるエタノールの増産などから、3643万トン(同5.5%減)とやや減少すると見込まれる。輸出量は、同国政府が昨年11月上旬に22/23年度の砂糖輸出枠を600万トンと発表したのち、輸出枠の追加の可能性があるとしたものの、21/22年度ほどの増加は見込まれず、774万トン(同37.9%減)と大幅な減少が予想される。なお、業界関係者は砂糖生産量が3400万トン以上になることが見込まれ、4月にも十分な在庫が確認できれば、政府が最大100万トンの追加輸出を承認する可能性もあると述べている。同国では、輸出よりも国内への安定供給とエタノールの生産を優先させており、22/23年度は約450万トンの砂糖をエタノールの製造に転用する予定である。
 
(注)可製糖率:サトウキビのショ糖含有率、繊維含有率および搾汁液の純度から算出される回収可能な糖分の割合。

ISMAとトヨタ・インド子会社がエタノール燃料を推進
 トヨタの現地子会社であるトヨタ・キルロスカ・モーター(TKM)は2月17日、インド製糖協会(ISMA)と、インドにおける持続可能なバイオ燃料としてのエタノールの認知度向上と利用促進を目的とした覚書を交わしたことを発表した。本覚書はウッタル・プラデーシュ州で最初の製糖工場が設立されてから120年を記念するイベントで、同州首相や政府関係者の立ち会いの下で執り行われた。

 TKMとISMAは、本覚書を通じてエタノールを国産のクリーンな代替燃料として普及させ、化石燃料への依存やCO2排出量を低減させる政府目標に貢献することを目指すとしている。また同社役員は、地域全体で持続可能なモビリティソリューションとしてのエタノール導入を促進しようと常に努力する中で、カーボンニュートラルという目標を達成しながら、技術的に優れた解決法を世に提供する以上に、CO2の排出削減手段そのものについての理解を深めることが重要であると述べている。

 なお同国政府は、2025年までにガソリンへのエタノール混合率を20%にするという目標を掲げるなど、バイオ燃料としてのエタノールの利用を積極的に推進している。
 

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2022/23年度の砂糖生産量はわずかに、輸入量はやや減少する見込み
 2022/23年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、113万へクタール(前年度比1.2%増)とわずかに増加すると見込まれる(表4)。サトウキビ生産量は、主産地の広西チワン族自治区で7月から11月の間で続いた干ばつの影響により、6853万トン(同5.0%減)と、7000万トンを割るものと予想される。なお、中国気象局によると、広西チワン族自治区では2月から再び干ばつに見舞われているとした報告もあり、春植えの生育への影響が懸念される。一方で、同年度のてん菜の収穫面積は、トウモロコシ価格の高騰を背景に政府が昨年3月に穀物の増産を呼びかけたことを受け、他作物への転作が増加したものの、15万ヘクタール(同1.2%増)とわずかに増加が見込まれる。てん菜生産量は、順調な生育により799万トン(同13.0%増)とかなり大きく増加すると見込まれる。

 砂糖生産量は、サトウキビの減産予測から1019万トン(同1.4%減)とわずかに減少すると見込まれる。輸入量は、これまで国内生産の不足分を上回る量が輸入されてきたが、世界的な砂糖供給のひっ迫懸念を理由とした価格の高騰から、輸入需要が減退しており、687万トン(同3.7%減)とやや減少すると見込まれる。しかし、ゼロコロナ政策の緩和から外食需要が急増し、家庭外での消費増加も見込まれているため、消費の回復が予想以上であれば、在庫を維持するために同国の輸入量は増加する可能性がある。
 

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2022/23年度の砂糖生産量は、かなりの程度減少し、輸出量は、依然として100万トン割れの見込み
 2022/23年度(10月〜翌9月)のてん菜の収穫面積は、ロシアによるウクライナ侵攻の影響により、世界的な規模で深刻な食糧不足や食糧価格の高騰に対する懸念が広がる中、収益性が高く、価格が高騰しているトウモロコシなどの穀物への転作が進んだことなどから、140万ヘクタール(前年度比3.8%減)とやや減少すると見込まれる(表5)。てん菜生産量は、今夏の記録的な熱波や干ばつの影響のほか、肥料価格高騰による施肥の減少やEU域内でのネオニコチノイド系農薬の緊急的使用の禁止などから収量が平年を下回るものと予測され、9814万トン(同11.9%減)とかなり大きく減少すると見込まれる。

 砂糖生産量は、フランスなどでエタノールに転用される砂糖が減少したものの、てん菜の減産のほか、干ばつなどの影響を受けたてん菜が12月中旬の急激な冷え込みと霜により含糖量が低下したことや、一部のEU加盟国でてん菜をすべて収穫することができなかったことなどから、1554万トン(同9.7%減)とかなりの程度減少すると予想される。輸出量は、砂糖の減産などを背景に98万トン(同25.0%減)と前月予測と同様に100万トンを下回り、大幅に減少すると見込まれる。
 

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