2022/23年度の砂糖生産量はやや減少し、輸出量は大幅に減少する見込み
2022/23年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、国内の高いサトウキビ需要を背景に価格上昇が加速するとの予測から、557万ヘクタール(前年度比5.4%増)とやや増加すると見込まれる(表3)。サトウキビ生産量は、主産地であるウッタル・プラデーシュ州では増産が見込まれているものの、マハラシュトラ州やカルナータカ州では降水量の偏りや雨期後半に続いた曇天に伴う日照時間の短さなどから収穫量の減少が予測され、4億6426万トン(同1.6%減)とわずかに減少すると見込まれる。
一方で、砂糖生産量は、続く曇天によりサトウキビの出穂が早まったことによるCCS
(注)の低下や同国におけるエタノールの増産などから、3643万トン(同5.5%減)とやや減少すると見込まれる。輸出量は、同国政府が昨年11月上旬に22/23年度の砂糖輸出枠を600万トンと発表したのち、輸出枠の追加の可能性があるとしたものの、21/22年度ほどの増加は見込まれず、774万トン(同37.9%減)と大幅な減少が予想される。なお、業界関係者は砂糖生産量が3400万トン以上になることが見込まれ、4月にも十分な在庫が確認できれば、政府が最大100万トンの追加輸出を承認する可能性もあると述べている。同国では、輸出よりも国内への安定供給とエタノールの生産を優先させており、22/23年度は約450万トンの砂糖をエタノールの製造に転用する予定である。
(注)可製糖率:サトウキビのショ糖含有率、繊維含有率および搾汁液の純度から算出される回収可能な糖分の割合。
ISMAとトヨタ・インド子会社がエタノール燃料を推進
トヨタの現地子会社であるトヨタ・キルロスカ・モーター(TKM)は2月17日、インド製糖協会(ISMA)と、インドにおける持続可能なバイオ燃料としてのエタノールの認知度向上と利用促進を目的とした覚書を交わしたことを発表した。本覚書はウッタル・プラデーシュ州で最初の製糖工場が設立されてから120年を記念するイベントで、同州首相や政府関係者の立ち会いの下で執り行われた。
TKMとISMAは、本覚書を通じてエタノールを国産のクリーンな代替燃料として普及させ、化石燃料への依存やCO2排出量を低減させる政府目標に貢献することを目指すとしている。また同社役員は、地域全体で持続可能なモビリティソリューションとしてのエタノール導入を促進しようと常に努力する中で、カーボンニュートラルという目標を達成しながら、技術的に優れた解決法を世に提供する以上に、CO2の排出削減手段そのものについての理解を深めることが重要であると述べている。
なお同国政府は、2025年までにガソリンへのエタノール混合率を20%にするという目標を掲げるなど、バイオ燃料としてのエタノールの利用を積極的に推進している。