近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14−110〉および甘しゃ糖・その他〈同 1701.14−200〉の合計)の主要輸入先は、豪州およびタイであり、2022年の主要輸入先ごとの割合を見ると、豪州が90.7%(前年比4.1ポイント増)、タイが9.3%(同4.1ポイント減)と、両国が大勢を占めている(財務省「貿易統計」)。
2022/23年度の輸出量は、かなりの程度減少する見込み
2022/23年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、34万ヘクタール(前年度同)と横ばいで推移すると見込まれる(表6)。サトウキビ生産量は、昨年3月と7月に主産地クイーンズランド州で洪水をもたらした降雨が収量には良い影響を与え、前年より良好な生育が予想されることから、3221万トン(前年度比6.9%増)とかなりの程度増加すると予想される。
砂糖生産量は、天候不順によるCCSの低下が見込まれ、また、ラニーニャ現象による降雨の影響で収穫作業が停滞し、多くの製糖工場で処理作業が前年に比べ遅滞した。このため、未処理のサトウキビが100万トン程度発生すると見込まれているものの、製糖工場での操業期間を1月下旬まで延長したことなどから、結果的には420万トン(同2.3%増)とわずかに増加すると見込まれている。また、輸出量は、砂糖生産量は、321万トン(同8.9%減)とかなりの程度の減少が見込まれる。
クイーンズランド州政府が資金援助を決定
現地報道によると、クイーンズランド(QLD)州政府は2月14日、サトウキビ栽培の生産性や収益性、持続可能性の向上のための取り組みとして、QLD州のサトウキビ生産者団体CANEGROWERSを主体に実施される「Smartcane Best Management Practice(BMP)」に対し、今後3年間にわたり、447万豪ドル(4億1973万円)
(注)の資金提供を決定したとされている。
この取り組みでは、システムなどのツールを活用して、化学肥料や農薬の使用量を低減して環境への負荷軽減を図るとともに、かんがい用水の最適化により水利用効率を高めることで、土壌の海洋流出の抑制が期待されている。豪州最大のサトウキビ産地である同州では、砂糖の安定生産が課題である一方で、同州の沿岸部には世界最大のサンゴ礁である世界遺産のグレートバリアリーフが広がっており、これを保護する目的もあるとされている。
CANEGROWERSによると、過去数年間で、約500の生産者がサトウキビの栽培方法を変更してこの取り組みによる認定を受けており、同州で認定を受けた
圃場の栽培面積は全体の4割に及ぶとしている。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2月末TTS相場(1豪ドル=93.90円)。