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2.国際価格の動向

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最終更新日:2023年5月10日

2.国際価格の動向

2023年5月

ニューヨーク粗糖先物相場の動き(3/1〜4/11)
〜世界の砂糖供給不足の懸念から、11年ぶりに24セント台を突破〜

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 2023年3月のニューヨーク粗糖先物相場(5月限(がつ ぎり))の推移を見ると、1日は、2月末に国際砂糖機関(ISO)が2022/23年度の砂糖生産量と余剰在庫量を下方修正し、世界的な供給ひっ迫の懸念が生じたことで、1ポンド当たり20.57セント(注1)と高値を付けた。2日は、ドル高(注2)により、同20.31セントまで値を落とすも、3日は、原油高(注3)により、同20.92セントと上昇した。6日は、インドで減産が見通される中、同国政府が22/23年度の砂糖生産量が3360万トンに達した場合には、輸出枠を100万トン追加で許可する可能性があることを発表したことから、同20.87セントと下落した。7日以降は、インドの減産のほかブラジルでは増産の見通しなどからもみあいとなったものの、9日は、米国海洋大気庁が今年後半にエルニーニョ現象が約6割の確率で発生することを発表したことから、同21.15セントと上昇した。エルニーニョ現象はブラジルでの大雨やインドでの干ばつなどを引き起こす可能性があり、サトウキビ生産量への世界的な被害が懸念される。13日以降は、原油安やレアル安により値を下げ、15日は、同20.50セントを付けたものの、16日は反発し、同20.76セントと上昇した。17日以降は、原油安などにより値を下げ、不落傾向で推移したものの、インド製糖協会(ISMA)が22/23年度の10月から翌3月中旬の同国砂糖生産量を前年度比1.1%減と予測したことや、米国大手金融機関がインドでの減産を要因に同年度の世界の砂糖余剰在庫量予測を500万トンから250万トンに引き下げたことなどから、21日は、同20.80セントと上昇し、22日は、同21.14セントと続伸した。23日以降は、ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)が22/23年度の10月から翌3月中旬の同国砂糖生産量を前年度比4.7%増と予測したことなどから下落したが、27日は、米国大手情報配信企業が同年度の世界砂糖余剰量予測を昨年11月予測の500万トンから60万トンに引き下げたことから上昇し、28日は、同21.31セントを付けた。29日は、原油安により値を下げたものの、30日は、引き続き世界的な供給不足への懸念が広がり、同21.96セントと高騰し、31日は、原油高とレアル高が後押しし、同22.25セントと22セント台に突入した。

 4月に入ると、3日は、原油高も相まって引き続き上昇し、同22.40セントと6年半ぶりの高値を記録した。4日以降も上昇は続き、5日は、ISMAが22/23年度の10月から翌3月中旬のインドの砂糖生産量を前年度比3.3%減と下方修正したことから、同22.95セントと急騰し、6日は、インド政府が砂糖生産量の減少見通しを理由に追加輸出を承認する可能性が低いと発言したことが引き金となり、同23.61セントとさらに価格を押し上げる結果となった。10日は、ドル高によりロングポジションのものが売られたことから、同23.56セントと値を下げたものの、11日は、再び上昇し、同24.37セントと11年ぶりの高値を記録した。
 
(注1)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
(注2)粗糖は米ドル建てで取引されるため、米ドルに対してレアルが下落すると、相対的にブラジル産粗糖の価格競争力が高まる。世界最大の砂糖輸出国ブラジルの輸出意欲が高まると、需給の緩和につながることから、価格を押し下げる方向に作用する。
(注3)一般に、原油価格が上昇すると、石油の代替燃料であるバイオエタノールの需要も増加する。バイオエタノールの需要増加により、その原料作物(サトウキビ、てん菜など)のバイオエタノール生産への仕向けが増える一方、それらから生産される食品(サトウキビの場合は砂糖)の生産・供給が減ると想定される。食品用途仕向けの度合いが小さくなるほど需給がひっ迫し、当該食品の価格を押し上げる方向に作用する。

 
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