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4.日本の主要輸入先国の動向(2023年4月時点予測)

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最終更新日:2023年5月10日

4.日本の主要輸入先国の動向(2023年4月時点予測)

 近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14−110〉および甘しゃ糖・その他〈同 1701.14−200〉の合計)の主要輸入先は、豪州およびタイであり、2022年の主要輸入先ごとの割合を見ると、豪州が90.7%(前年比4.1ポイント増)、タイが9.3%(同4.1ポイント減)と、両国が大勢を占めている(財務省「貿易統計」)。


2023/24年度の輸出量は、やや増加する見込み
 2023/24年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、34万ヘクタール(前年度比0.3%減)と横ばいで推移すると見込まれる(表6)。サトウキビ生産量は、クイーンズランド州南部などの地域で乾燥した天候が続き、通常の収穫時期に戻ることが予想されることから、3082万トン(同5.4%減)とやや減少すると予想される。

 砂糖生産量は、CCSの回復が見込まれるものの、クイーンズランド州とニューサウスウェールズ州北部では3月から5月の降水量が平年を下回ると予想されることから、418万トン(同1.1%減)とわずかに減少すると予想される。一方で輸出量は、世界的な経済回復の進行によりインドネシアや日本、韓国などの砂糖消費需要によってけん引されることが予想され、318万トン(同3.5%増)とやや増加が見込まれる。

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2022/23年度の輸出量は前月予測から上方修正され、800万トン台半ばの見込み
 2022/23年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、競合するキャッサバの生産に転換した農家の増加などから、前回予想から下方修正されたものの、前年が豊作で収穫が良好であったことなどから、167万ヘクタール(前年度比9.5%増)とかなりの程度増加すると見込まれる(表7)。サトウキビ生産量は、昨年は東北地域の低地帯で洪水が発生したものの、洪水被害に見舞われなかった他の地域で収量が増加し、前月予測に引き続き下方修正され1億トンを下回ったが、9430万トン(同4.5%増)と依然として高水準となることが予想される。

 砂糖生産量は、今期のサトウキビ生産量が当初1億トンを超える見通しだったが下回り、また、製糖業者も操業を早く終えたことから、前回予測から下方修正されたものの、1164万トン(同8.3%増)とかなりの程度増加し、21/22年度に引き続き1000万トン超えが見込まれる。輸出量は、生産量が下方修正されたものの、844万トン(同4.6%増)と、前回予測から上方修正され、倍増した前年度からやや増加が見込まれる。
バイオプラスチック生産量で世界首位が視野に入る
 2月24日付け現地報道によると、タイのバイオプラスチック産業団体(The Thai Bioplastics Industry Association)は、同国はバイオプラスチック製品に必要な原料が豊富にあることから、海外の需要拡大に貢献していると述べている。

 同団体の会長によると、同国のバイオプラスチック生産能力は現状、年間9万5000トンと世界第2位であるが、同国では現在、年間7万5000トンの増産計画があり、実現すれば世界第1位である米国の年間15万トンを上回る規模となる。また、同国ではバイオプラスチックの主要原料であるサトウキビやキャッサバが豊富にあり、バイオプラスチックの製造はタイの農産物の付加価値を高めるだけでなく、CO2排出削減に寄与し、使い捨てプラスチックをめぐるさまざまな問題に対処するための一つの選択肢になると述べている。タイで生産されるバイオプラスチック製品の9割は輸出されており、今後の増産により、海外での旺盛な需要に応えることが可能となる見込みである。

 同会長は、タイはASEANのバイオプラスチック製造・販売のリーダーとなることを目指しており、その目標はバイオ経済(注)の発展にも合致するとしている。さらに、環境に影響を及ぼさない技術の導入を通じ、環境に優しいプラスチックを製造することは、同国のプラスチック産業にとって望ましいものであり、他の川下産業を支える重要な役割も担っていると述べた。

(注)再生可能な資源を原料として、エネルギーや食料、その他の付加価値の高い製品を生産することを指し、同国の国家的課題であるBCG経済モデルの一部となっている。このBCG経済モデルは、同国の経済施策の一つで、「バイオ(Bio)経済」「循環(Circular)経済」および「グリーン(Green)経済」の概念を統合したもの。生物資源の活用、資源の再利用とリサイクル、社会経済と環境のバランスによる持続可能な開発などを主眼としている。

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