砂糖 砂糖分野の各種業務の情報、情報誌「砂糖類情報」の記事、統計資料など

ホーム > 砂糖 > 砂糖・異性化糖の国内需給 > 砂糖類の国内需給

砂糖類の国内需給

印刷ページ

最終更新日:2023年5月10日

砂糖類の国内需給

2023年5月

調査情報部

1.需給見通し

 農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、四半期ごとに砂糖および異性化糖の需給見通しを公表している。令和5年3月に「令和4砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第3回)」を公表した。

181

(1)砂糖の消費量

 令和4砂糖年度(10月〜翌9月)の砂糖の消費量は、179万5000トン(前年度比0.8%増)と見通している(表1)。内訳を見ると、引き続き物価高の影響などは見込まれるものの、直近の消費量は前年同期を上回って推移するとともに、インバウンド需要の増加など人流増に伴う経済活動の回復が想定されることから、分みつ糖の消費量は176万トン(同0.8%増)と見通している。含みつ糖の消費量は近年の消費動向などを勘案し、3万5000トン(同2.9%増)と見通している。

182

(2)砂糖の供給量

 令和4砂糖年度の砂糖の供給量は、177万3000トン(前年度比1.2%増)と見通している。内訳を見ると、分みつ糖の供給量は175万6000トン(同1.2%増)、含みつ糖は1万6000トン(前年度同)と見通している。国内産糖(分みつ糖)の供給量は、てん菜糖については、てん菜の作付面積が前年産と比べ4.0%(約2327ヘクタール)減少した。作柄については8月の降水量が平年よりもかなり多かった影響などにより、1ヘクタール当たりの収量および根中糖分の低下が見られることから、産糖量は56万2000トン(前年産比12.2%減)、供給量は56万1000トン(精製糖換算〈以下同じ〉。前年度比12.1%減)と見通している。甘しゃ糖については、サトウキビの収穫面積が前年産に比べ0.5%(約113ヘクタール)増加した。作柄は、一部の島において台風11号および12号の被害、春先の長雨、梅雨明け後の干ばつの影響がみられたことから、産糖量は13万9000トン(前年産比7.9%減)、供給量は13万3000トン(前年度比8.0%減)と見通している。

(3)加糖調製品の需給

 令和4砂糖年度の加糖調製品の消費量は、物価高の影響などにより、42万4000トン(前年度比6.4%減)と見通している(表2)。また、供給量は、消費量に見合った量が供給されると見通している。

191

(4)異性化糖の需給

 令和4砂糖年度の異性化糖の消費量は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が5類感染症に引き下げ予定であり、人流の増加による需要の回復が見込まれ、近年の消費動向を踏まえ、77万8000トン(前年度比2.4%増)と見通している(表3)。また、供給量は、消費量に見合った量が供給されると見通している。

192

2.輸入動向

【粗糖の輸入動向】
2月の輸入量は前年同月から大幅に増加

 財務省「貿易統計」によると、2023年2月の甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード 1701.14-110)および甘しゃ糖・その他(同1701.14-200の豪州)の輸入量は、7万8844トン(前年同月比19.5%増、前月比5.1倍)であった(図1)。

 輸入先は甘しゃ糖・分みつ糖については米国、甘しゃ糖・その他については豪州で、国・地域別の輸入量は次の通りであった(図2)。

 米国        21トン
  (前年同月比10.5%増、前月輸入実績なし)
 豪州   7万8823トン
  (同19.5%増、前月比5.1倍)

201

202

 2023年2月の甘しゃ糖・分みつ糖の1トン当たりの輸入価格は、21万2143円(前年同月比38.9%高、前月輸入実績なし)であった(図3)。

 国・地域別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

 米国 21万2143円
  (前年同月および前月輸入実績なし)
 
 また、同月における甘しゃ糖・その他の豪州からの高糖度原料糖の1トン当たりの輸入価格は、7万4483円(前年同月比32.8%高、前月比4.3%高)であった(図4)。
 

203

211

【含みつ糖の輸入動向】
2月の輸入量は前年同月から大幅に増加

 財務省「貿易統計」によると、2023年2月の含みつ糖(HSコード 1701.13-000、1701.14-190)の輸入量は、654トン(前年同月比76.3%増、前月比60.3%増)であった(図5)。

 輸入先国はタイ、中国、ボリビアおよびフィリピンの4カ国で、国・地域別の輸入量は次の通りであった(図6)。

 タイ     393トン
  (前年同月比3.0倍、前月比5.5倍)
 中国     172トン
  (同50.9%増、同10.3%増)
 ボリビア    76トン
  (同26.2%減、同26.2%減)
 フィリピン   13トン
  (同48.0%減、前月輸入実績なし)

212

213

 2023年2月の1トン当たりの輸入価格は、15万1916円(前年同月比6.9%高、前月比14.5%安)であった(図7)。

 国・地域別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

 タイ     13万8107円
  (前年同月比6.5%高、前月比6.6%安)
 中国     15万4198円
  (同8.0%高、同1.8%高)
 ボリビア   18万4145円
  (同34.1%高、同4.1%高)
 フィリピン  33万5077円
  (同50.9%高、前月輸入実績なし)

221

【加糖調製品の輸入動向】
2月の加糖調製品の輸入量は前年同月からかなりの程度減少

 財務省「貿易統計」によると、2023年2月の加糖調製品の輸入量は、3万1225トン(前年同月比8.3%減、前月比11.8%減)であった(図8)。

 品目別の輸入量は、表4の通りであった。

222

223

3.異性化糖の移出動向

3月の移出量は前年同月からやや増加
 2023年3月の異性化糖の移出量は、7万4260トン(前年同月比4.3%増、前月比28.2%増)であった(図9)。

 同月の規格別の移出量は、次の通りであった(図10)。

 果糖含有率40%未満        468トン
  (前年同月比10.8%減、前月比16.6%増)
 同40%以上50%未満   1万9026トン
  (同2.9%減、同17.8%増)
 同50%以上60%未満   5万3750トン
  (同6.1%増、同31.5%増)
 同60%以上            1016トン
 (同2.2倍、同2.1倍)

231

232

4.価格動向

【市場価格】
砂糖、異性化糖ともに前月と同水準で推移

 3月の糖種別・地域別の砂糖価格(日経相場)は、次の通りであった。

 上白糖(大袋)
 東京          1キログラム当たり228円
 大阪                    同228円
 名古屋                   同230円
 関門                    同232円

 上白糖(小袋)
 東京          1キログラム当たり241円
 大阪                 同242〜243円

 本グラニュー糖(大袋)
 東京          1キログラム当たり233円
 大阪                    同233円
 名古屋                   同235円

 ビート・グラニュー糖(大袋)
 東京          1キログラム当たり228円
 大阪                    同228円
 名古屋                   同228円

 3月の異性化糖の価格(日経相場、大口需要家向け価格、東京、タンクローリーもの、JAS規格品、水分25%)は、次の通りであった。

 果糖分42%もの  1キログラム当たり166〜167円
 果糖分55%もの            同172〜173円
 
【小売価格】
3月の上白糖小袋の地域間の価格差は最大で47.6円

 KSP-POSデータ(全国501店舗)(注1)によると、スーパーにおける3月の上白糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、222.4円(前年同月差19.4円高、前月差1.8円高)であった。最も高かったのは中国・四国で、最も安かった首都圏との価格差は47.6円であった。

 同月の地域別(注2)の平均小売価格は、次の通りであった(表5)。

(注1)今号より、原典がマーチャンダイジング・オンRDSPOS(全国1243店舗)から、KSP-POSデータ(全国501店舗)に変更となった。
(注2)地域の内訳は、次の通りである(以下同じ)。
関東など:茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県
首都圏:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県
中部:新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、三重県、愛知県
関西:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、和歌山県、奈良県

 

241

3月のグラニュー糖小袋の地域間の価格差は最大で81.8円
 KSP-POSデータ(全国501店舗)によると、スーパーにおける3月のグラニュー糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、274.5円(前年同月差18.4円高、前月差0.8円高)であった。最も高かったのは東北で、最も安かった北海道との価格差は81.8円であった。

 同月の地域別の平均小売価格は、次の通りであった(表6)。

242

3月の三温糖小袋の地域間の価格差は最大で55.2円
 KSP-POSデータ(全国501店舗)によると、スーパーにおける3月の三温糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、260.8円(前年同月差19.6円高、前月差0.2円安)であった。最も高かったのは中国・四国で、最も安かった九州・沖縄との価格差は55.2円であった。

 同月の地域別の平均小売価格は、次の通りであった(表7)。

251

【購入金額および購入数量】
2月の砂糖の支出金額は前年同月からわずかに下落

 総務省「家計調査」によると、2023年2月における100世帯当たりの砂糖の購入頻度は32、1世帯(二人以上)当たりの支出金額は82円(前年同月比2.4%安、前月比12.3%高)であった(図11)。また、同月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は、297グラム(同0.7%増、同17.9%増)であった(図12)。

252

253

このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272