4.日本の主要輸入先の動向(2023年5月時点予測)
最終更新日:2023年6月9日
近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14−110〉および甘しゃ糖・その他〈同 1701.14−200〉の合計)の主要輸入先は、豪州およびタイであり、2022年の主要輸入先ごとの割合を見ると、豪州が90.7%(前年比4.1ポイント増)、タイが9.3%(同4.1ポイント減)と、両国が大勢を占めている(財務省「貿易統計」)。
2023/24年度の輸出量は、砂糖の増産を背景にかなりの程度増加する見込み
2023/24年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、35万ヘクタール(前年度比1.7%増)とわずかな増加が見込まれる(表6)。サトウキビ生産量は、クイーンズランド州南部などで乾燥した気候が続いたものの、育成期間中にその他地域の多くで降雨があったことなどから、3145万トン(同3.5%減)と前回予測から上方修正されたものの、前年度からはやや減少が予想される。
砂糖生産量は、441万トン(同4.3%増)とやや増加すると予想される。一方で輸出量は、世界的な経済回復により韓国、インドネシアおよび日本などの砂糖消費需要によってけん引されることが予想され、砂糖の増産を背景に、340万トン(同10.6%増)とかなりの程度の増加が見込まれる。
5月末に豪英自由貿易協定が発効
5月9日付け現地報道によると、5月31日に発効される豪英自由貿易協定(豪英FTA)に向け、豪州産砂糖貿易拡大への期待が示された。本FTAでは、豪州産砂糖に対し8万トンの関税割当(無税)が設定され、8年目に22万トンにまで引き上げられた後に、関税が撤廃される予定となっている。
かつて英国は豪州にとって最大の輸出国であったものの、70年代初頭の英国の欧州連合への加盟を機に輸出は途絶え、豪州は東南アジアに輸出の軸足を移してきた。このような中、クイーンズランド州のサトウキビ生産者団体であるCANEGROWERSの最高経営責任者は、70年代以降、英国市場に意味のある参入が可能となったのは初めてのことで、現在、砂糖の国際価格が30年、40年来の高値で推移する中、このタイミングでの発効は、豪州砂糖業界にとっては大変有益なものであると述べている。
現在、豪州では砂糖生産量の8割が輸出され、韓国、インドネシアおよび日本などを主要輸出先としているが、約半世紀ぶりに英国市場への有効な参入機会を手にした豪州砂糖生産者はこの度の発効を歓迎しており、今後、同国の砂糖生産や輸出への影響が注目される。本FTAでは、砂糖のほかに牛肉、羊肉、乳製品などの畜産物に対する関税も撤廃され、2年後には、豪州から英国への輸出品目の99%(約92億豪ドル相当:8370億円(注))が無関税となる。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の4月末TTS相場(1豪ドル=90.98円)を使用。
2022/23年度の砂糖生産量は前年度比増、輸出量も800万トン前半と増加の見込み
2022/23年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、競合するキャッサバの生産に転換した農家の回帰などから、162万ヘクタール(前年度比6.0%増)とかなりの程度増加すると見込まれる(表7)。サトウキビ生産量は、東北地域の低地帯で洪水が発生したものの、洪水被害に見舞われなかった他の地域で収量が増加し、9388万トン(同3.0%増)と依然として高水準となることが予想される。
砂糖生産量は、今期のサトウキビ生産量が1億トンを超える見通しから下回り、また、製糖業者も操業を早く終えたことから、前回予測から下方修正されたものの、1159万トン(同7.8%増)とかなりの程度増加し、21/22年度に引き続き1000万トン超えが見込まれる。輸出量は、砂糖の減産や国内消費の増加を背景に834万トン(同3.3%増)と、前回予測から下方修正されたものの、依然として倍増した前年度を上回ることが見込まれる。
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