3. 国際価格の動向
最終更新日:2023年7月10日
3. 国際価格の動向
2023年7月
ニューヨーク粗糖先物相場の動き(5/1〜6/14)
∼ブラジルの増産から24セント台に下落も、天候不順の懸念から26セントをうかがう展開∼
2023年5月のニューヨーク粗糖先物相場(7月限)の推移を見ると、1日は、5月限の流れを引きずり、1ポンド当たり25.54セントをつけた(注1)。2日は、ブラジル国家食糧供給公社が22/23年度の同国砂糖生産量を過去2番目の豊作見込み(前年度比4.7%増)と報告したことから、同25.14セントと値を落とした。3日以降は、レアル高(注2)や国際砂糖機関(ISO)が22/23年度の余剰在庫量を下方修正したことなどから上昇し、5日は、同26.32セントと高値をつけたものの、8日は、ドル高により、同26.09セントと値を下げた。9日以降は、原油高(注3)やドル安などにより上昇し、10日は、同26.66セントと高値をつけた。11日は、ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)が同国のサトウキビの順調な収穫を受けて、4月までの砂糖生産量を前年同期比43.7%増と報告したことから、同26.02セントと下落した。12日は、米国海洋大気局(NOAA)が8〜10月期のエルニーニョ現象の発生可能性を75%から94%に引き上げたことから、主産地での天候不順が懸念され、同26.22セントと値を上げた。15日は、レアル高により、同26.29セントと上昇した。16日は、米国農務省(USDA)が学校給食で砂糖の使用を制限することを発表したことが砂糖需要の弱気材料となり、同26.07セントと値を下げた。17日以降は、ドル高やブラジルでの乾燥気候がサトウキビ収穫を早めるとの懸念から続落し、18日は、同25.61セントを付けた。19日は、ドル安を背景としたショートポジションをカバーするための買い戻し(注4)が入ったことなどから、同25.78セントと上昇した。22日は、ISOが22/23年度の砂糖生産量と余剰在庫量を下方修正したことから、同25.99セントとさらに値を上げた。23日以降は、UNICAがブラジルのサトウキビ収穫が好調との報告を行ったことなどから値を下げ、25日は、同24.83セントと1カ月ぶりに同25セントを下回った。26日は、USDAが23/24年度の世界の期末在庫量を5年ぶりの低水準になると予測したことから反転し、同25.37セントと上昇した。30日以降は、原油安やレアル安により下落し、31日は、同25.06セントを付けた。
6月に入ると、1日以降は、ブラジルでの増産やインドでのモンスーンによる降雨期待などを背景に値を下げ、5日は、同24.40セントをつけた。6日は、レアル高により、同24.58セントと値を上げたものの、ブラジルの収穫が順調であることが弱気材料となり、7日は、同24.50セントと再び値を下げた。8日は、NOAAがエルニーニョ現象の発生を公表したことから、同25.48セントと1セント近く急騰し、9日は、ドル高により値を下げたものの、12日は、天候不順への懸念から再び値を上げ、同25.47セントをつけた。13日は、UNICAがブラジルの5月期までの砂糖生産量が前年同期比33.7%増と報告したことから、同25.16セントと下落したが、14日は、レアル高を背景に、同25.84セントと5月中旬の水準にまで上昇した。
(注1)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
(注2)粗糖は米ドル建てで取引されるため、米ドルに対してレアルが上昇すると、相対的にブラジル産粗糖の価格競争力が弱まる。世界最大の砂糖輸出国ブラジルの輸出意欲が低下すると、需給のひっ迫につながることから、価格を押し上げる方向に作用する。
(注3)一般に、原油価格が上昇すると、石油の代替燃料であるバイオエタノールの需要も増加する。バイオエタノールの需要増加により、その原料作物(サトウキビ、てん菜など)のバイオエタノール生産への仕向けが増える一方、それらから生産される食品(サトウキビの場合は砂糖)の生産・供給が減ると想定される。食品用途仕向けの度合いが小さくなるほど需給がひっ迫し、当該食品の価格を押し上げる方向に作用する。
(注4)売買差益を狙い、将来の値下がりを期待して売りの持ち高を取っていた金融資産を、決済のために買い戻すこと。
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