2023年6月のニューヨーク粗糖先物相場(7
月限)の推移を見ると、1日は、ブラジルでの増産を受け、1ポンド当たり24.88セント
(注1)をつけた。2日以降は、インドでのモンスーンによる降雨期待などを背景にさらに値を下げ、5日は、同24.40セントをつけた。6日は、レアル高
(注2)により、同24.58セントと値を上げたものの、ブラジルの収穫が順調であることが弱気材料となり、7日は、同24.50セントと再び値を下げた。8日は、米国海洋大気庁がエルニーニョ現象の発生を公表したことで、同25.48セントと1セント近く急騰し、9日は、ドル高により値を下げたものの、12日は、天候不順への懸念から再び値を上げ、同25.47セントをつけた。13日は、ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)が同国の5月期までの砂糖生産量を前年同期比33.7%増と発表したことから、同25.16セントと下落したが、14日以降は、原油高
(注3)やレアル高を背景に上昇し、16日は、同26.43セントと5月中旬の水準にまで上昇した。20日以降は、中国海関総署が5月の砂糖輸入量を前年同月比87%減と発表したことやブラジルの好天が続いたことなどから続落し、26日は、同23.72セントと2カ月ぶりの安値をつけた。27日以降は、UNICAがブラジル中南部の6月中旬までの砂糖生産量を前年同期比32.1%増と発表したことから下落幅がさらに拡大し、29日は、同22.07セントまで値を下げた。30日は、3カ月弱ぶりの安値まで急落した後、若干のショートポジションをカバーするための買い戻し
(注4)が入ったことや大幅安を受け、中国の輸入業者が買いを強めるとした期待から反発し、同22.89セントと値を上げて納会した。
10月限に代わった7月3日は、堅調な需要の兆しがうかがえることから、同23.32セントをつけた。5日は、タイの乾燥気候の持続を受け、同23.53セントと上昇した。6日は、レアル安により、同23.25セントと値を下げたものの、7日は、タイの天候不順とドル安により、同23.53セントと再び値を上げた。10日以降は、ブラジルの好天やタイの天候不順などにより上下し、13日は、ドル安と堅調な原油価格の上昇により、6月23日以来となる同24セント台(同24.01セント)をつけた。
(注1)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
(注2)粗糖は米ドル建てで取引されるため、米ドルに対してレアルが上昇すると、相対的にブラジル産粗糖の価格競争力が弱まる。世界最大の砂糖輸出国ブラジルの輸出意欲が低下すると、需給のひっ迫につながることから、価格を押し上げる方向に作用する。
(注3)一般に、原油価格が上昇すると、石油の代替燃料であるバイオエタノールの需要も増加する。バイオエタノールの需要増加により、その原料作物(サトウキビ、てん菜など)のバイオエタノール生産への仕向けが増える一方、それらから生産される食品(サトウキビの場合は砂糖)の生産・供給が減ると想定される。食品用途仕向けの度合いが小さくなるほど需給がひっ迫し、当該食品の価格を押し上げる方向に作用する。
(注4)売買差益を狙い、将来の値下がりを期待して売りの持ち高を取っていた金融資産を、決済のために買い戻すこと。