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4.日本の主要輸入先の動向(2023年8月時点予測)

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最終更新日:2023年9月11日

4.日本の主要輸入先の動向(2023年8月時点予測)

2023年9月

 近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14−110〉および甘しゃ糖・その他〈同 1701.14−200〉の合計)の主要輸入先は、豪州およびタイであり、2022年の主要輸入先ごとの割合を見ると、豪州が90.7%(前年比4.1ポイント増)、タイが9.3%(同4.1ポイント減)と、両国がほぼ全量を占めている(財務省「貿易統計」)。
 
2023/24年度の輸出量は、砂糖の増産を背景にかなり大きく増加する見込み
 2023/24年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、34万ヘクタール(前年度比2.5%増)とわずかな増加が見込まれる(表6)。サトウキビ生産量は、主産地の一つであるクイーンズランド州北部での季節外れの降雨の影響を受けて3176万トン(同2.5%減)と、前年度からわずかに減少が見込まれる。

 砂糖生産量は、サトウキビの生産量が微減となる中、433万トン(同2.6%増)とわずかに増加すると見込まれる。輸出量は、世界的な経済回復により同国の主要輸出先である韓国、インドネシアおよび日本などの砂糖消費需要によってけん引されることに加え、世界的に砂糖の供給懸念により豪州産砂糖需要の高まりが見込まれることから、333万トン(同13.2%増)とかなり大きく増加すると見込まれる。
 
 
2022/23年度の砂糖生産量は前年度比増、輸出量も800万トン半ばと前年度を上回る見込み
 2022/23年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、競合作物であるキャッサバ生産からの一部回帰などから、162万ヘクタール(前年度比6.0%増)とかなりの程度増加すると見込まれる(表7)。なお現地では、23/24年度に向けた作付けが始まっているが、エルニーニョなどによる乾燥気候を考慮して、より乾燥に強いキャッサバに転換する農家が増加しているとされる。サトウキビ生産量は、収穫面積の増加に加え、昨年の雨期の長雨により東北地域の低地帯で洪水が発生したものの、他の地域で収量が増加し、9389万トン(同3.0%増)と依然として高水準が見込まれる。

 砂糖生産量は、サトウキビの増産に加え生育期の好天を受け、含糖量が前年度を大きく上回ったことから、1158万トン(同7.7%増)とかなりの程度増加し、21/22年度に引き続き1000万トン超えが見込まれる。輸出量は、砂糖の増産や輸出先国の景気回復などを背景に、855万トン(同5.7%増)と依然として倍増した前年度を上回ると見込まれる。
 
サトウキビ農家連盟、減産要因について言及
 7月28日付け現地報道によると、タイサトウキビ農家連盟の事務局長は同国の2022/23年度のサトウキビ生産量について、9300万トンと前年をわずかに上回ると見込まれると発表した。一方で23/24年度は7400万〜7700万トンの生産が見込まれ、不作であった20/21年度の6600万トンまでにはならないものの、過去最高となった17/18年度の1億3490万トンには及ばないとしている。

 同事務局長は減産理由に以下の6項目を挙げ、これらはサトウキビ生産に影響を与え、生産者の作付け意欲の減損要因であると指摘している。
 
1. 生産コストに見合わないサトウキビの価格
2. 競合作物の価格高騰と転作による生産者数の減少
3. 人手不足や賃金高など経営上の問題
4. 工場へのサトウキビ輸送における制限事項の増加
5. 収穫コストの上昇と自然災害への対応
6. 長く続く干ばつによるサトウキビへの影響
 
 現在、同国ではサトウキビ生産に関係する世帯は約22万戸で、そのうちの約8割が小規模農家とされ、過去10年に比べて減少している状況にあるが、同事務局長は競合作物への転作回避に向け、生産者に資金援助することで安心して生産に取り組んでもらうことが必要であると述べている。
 
 
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