砂糖 砂糖分野の各種業務の情報、情報誌「砂糖類情報」の記事、統計資料など

ホーム > 砂糖 > 砂糖・異性化糖の国内需給 > 砂糖類の国内需給

砂糖類の国内需給

印刷ページ

最終更新日:2023年11月10日

砂糖類の国内需給

2023年11月

調査情報部

1 需給見通し

 農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、四半期ごとに砂糖および異性化糖の需給見通しを公表している。令和5年9月に「令和5砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第1回)」を公表した。
 
1

(1)砂糖の消費量

 令和5砂糖年度(10月〜翌9月)の砂糖の消費量は、179万4000トン(前年度比0.7%増)と見通している(表1)。内訳を見ると、引き続き物価高の影響などは見込まれるものの、インバウンド需要の増加など人流増に伴う経済活動の回復が想定されることから、分みつ糖の消費量は176万トン(同0.6%増)と見通している。含みつ糖の消費量は近年の消費動向などを勘案し、3万4000トン(同3.0%増)と見通している。
 
2

(2)砂糖の供給量

 令和5砂糖年度の砂糖の供給量は、175万9000トン(前年度比0.2%減)と見通している。内訳を見ると、分みつ糖の供給量は174万4000トン(同0.2%減)、含みつ糖は1万5000トン(同7.1%増)と見通している。国内産糖(分みつ糖)の供給量は、てん菜糖については、てん菜の作付面積が前年産と比べ7.4%(4101ヘクタール)減少した。作柄については、生育期間中の気温が総じて平年よりも高く推移し、1ヘクタール当たりの収量は平年以上が見込まれる一方、褐斑病の発生が多く、根中糖分の低下が見られることから、産糖量は57万9000トン(前年産比2.9%増)、供給量は57万8000トン(精製糖換算〈以下同じ〉。前年度比2.9%増)と見通している。甘しゃ糖については、サトウキビの収穫面積が前年産に比べ3.0%(703ヘクタール)減少した。作柄については、一部の島において、年明けからの干ばつによる生育不良や台風6号の被害の影響が見られることから、産糖量は13万6000トン(前年産比1.6%減)、供給量は13万トン(前年度比1.6%減)と見通している。
 

(3)加糖調製品の需給

 令和5砂糖年度の加糖調製品の消費量は、引き続き物価高の影響などは見込まれるものの、インバウンド需要の増加など人流増に伴う経済活動の回復が想定されることから、41万8000トン(前年度比2.7%増)と見通している(表2)。また、供給量は、消費量に見合った量が供給されると見通している。
 
3

(4)異性化糖の需給

 令和5砂糖年度の異性化糖の消費量は、外出機会の増加による需要の回復が見込まれることから、近年の消費動向を踏まえ、77万8000トン(前年度比2.0%増)と見通している(表3)。また、供給量は、消費量に見合った量が供給されると見通している。
 
4

2 輸入動向

【粗糖の輸入動向】
8月の輸入量は前年同月から大幅に減少
 
財務省「貿易統計」によると、2023年8月の甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード 1701.14-110)および甘しゃ糖・その他(同1701.14−200の豪州)の輸入量は、3万9742トン(前年同月比50.9%減、前月比67.1%減)であった(図1)。

 輸入先は甘しゃ糖・分みつ糖についてはタイおよび英国、甘しゃ糖・その他については豪州で、国・地域別の輸入量は次の通りであった(図2)。

 タイ      1万1874トン
  (前年同月比64.6%減、前月比62.9%増)
 英国                 1トン
  (前年同月および前月輸入実績なし)
 豪州     2万7867トン
  (前年同月比41.3%減、前月比75.5%減)








 2023年8月の甘しゃ糖・分みつ糖の1トン当たりの輸入価格は、10万5058円(前年同月比32.1%高、前月比13.5%高)であった(図3)。





 国・地域別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

 タイ      10万5001円
  (前年同月比32.0%高、前月比13.5%高)
 英国     78万1000円
  (前年同月および前月輸入実績なし)

 また、同月における甘しゃ糖・その他の豪州からの高糖度原料糖の1トン当たりの輸入価格は、10万1488円(前年同月比36.2%高、前月比1.8%高)であった(図4)。
 

5

【含みつ糖の輸入動向】
8月の輸入量は前年同月から大幅に減少
 
財務省「貿易統計」によると、2023年8月の含みつ糖(HSコード 1701.13-000、1701.14-190)の輸入量は、51トン(前年同月比83.7%減、前月比90.4%減)であった(図5)。

 輸入先は中国およびフィリピンで、国・地域別の輸入量は次の通りであった(図6)。

 中国               38トン
  (前年同月比71.4%減、前月比89.8%減)
 フィリピン      13トン
  (同92.8%減、同7.1%減)








 2023年8月の1トン当たりの輸入価格は、24万8235円(前年同月比41.9%高、前月比61.1%高)であった(図7)。

 国・地域別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

 中国             20万7868円
  (前年同月比25.6%高、前月比31.8%高)
 フィリピン       36万6231円
  (同2.0倍、同10.4%高)
 

6

【加糖調製品の輸入動向】
8月の加糖調製品の輸入量は前年同月からかなり大きく減少

 財務省「貿易統計」によると、2023年8月の加糖調製品の輸入量は、3万2006トン(前年同月比15.4%減、前月比2.5%減)であった(図8)。

 品目別の輸入量は、表4の通りであった。




 

7

3 異性化糖の移出動向

9月の移出量は前年同月からかなり大きく増加
 2023年9月の異性化糖の移出量は、6万5249トン(前年同月比11.8%増、前月比7.8%減)であった(図9)。

 同月の規格別の移出量は、次の通りであった(図10)。

 果糖含有率40%未満         382トン
  (前年同月比5.7%増、前月比4.6%増)
 同40%以上50%未満   1万6204トン
  (同1.4%増、同8.4%減)
 同50%以上60%未満   4万7636トン
  (同14.6%増、同8.4%減)
 同60%以上                  1026トン
  (同2.3倍、同40.6%増)




 

 

8

4 価格動向

【市場価格】
砂糖、異性化糖ともに前月と同水準で推移

 9月の糖種別・地域別の砂糖価格(日経相場)は、次の通りであった。

 上白糖(大袋)
 東京 1キログラム当たり239〜241円
 大阪                   同239〜241円
 名古屋                         同242円
 関門                           同244円

 上白糖(小袋)
 東京 1キログラム当たり251〜255円
 大阪                   同254〜255円

 本グラニュー糖(大袋)
 東京 1キログラム当たり244〜246円
 大阪                   同244〜246円
 名古屋                        同247円

 ビート・グラニュー糖(大袋)
 東京 1キログラム当たり239〜241円
 大阪                   同239〜241円
 名古屋                        同240円

 9月の異性化糖の価格(日経相場、大口需要家向け価格、東京、タンクローリーもの、JAS規格品、水分25%)は、次の通りであった。

 果糖分42%もの
   1キログラム当たり    166〜167円
 果糖分55%もの        同172〜173円
 

【小売価格】
9月の上白糖小袋の地域間の価格差は最大で41.0円
 
KSP-POSデータ(全国501店舗)によると、スーパーにおける9月の上白糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、238.5円(前年同月差29.6円高、前月差5.0円高)であった。最も高かったのは中国・四国で、最も安かった関東などとの価格差は41.0円であった。

 同月の地域別(注)の平均小売価格は、次の通りであった(表5)。


(注)地域の内訳は、次の通りである(以下同じ)。
関東など:茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県
首都圏:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県
中部:新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、三重県、愛知県
関西:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、和歌山県、奈良県

 

9

9月のグラニュー糖小袋の地域間の価格差は最大で74.6円
 
KSP-POSデータ(全国501店舗)によると、スーパーにおける9月のグラニュー糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、292.8円(前年同月差30.5円高、前月差2.2円高)であった。最も高かったのは東北で、最も安かった北海道との価格差は74.6円であった。

 同月の地域別の平均小売価格は、次の通りであった(表6)。
 

10

9月の三温糖小袋の地域間の価格差は最大で57.8円
 
KSP-POSデータ(全国501店舗)によると、スーパーにおける9月の三温糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、280.0円(前年同月差33.5円高、前月差5.7円高)であった。最も高かったのは中国・四国で、最も安かった関東などとの価格差は57.8円であった。

 同月の地域別の平均小売価格は、次の通りであった(表7)。

11

【支出金額および購入数量】
8月の砂糖の支出金額は前年同月からわずかに上昇
 
総務省「家計調査」によると、2023年8月における100世帯当たりの砂糖の購入頻度は26、1世帯(二人以上)当たりの支出金額は75円(前年同月比1.4%高、前月比15.7%安)であった(図11)。また、同月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は、246グラム(同16.3%減、同7.5%減)であった(図12)。




 

12
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272