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最終更新日:2023年11月10日
ニューヨーク粗糖先物相場の動き(9/1〜10/13)
〜世界の砂糖供給懸念から、12年ぶりに27セント台まで上昇〜
2023年9月のニューヨーク粗糖先物相場(10月限)の推移を見ると、1日は、インドの8月の降雨量が1901年以来、最も少なかったことを受け、1ポンド当たり25.81セント(注1)まで上昇した(図2)。5日は、インドでの砂糖輸出の抑制とタイでのキャッサバへの作付けの転換加速などを受けて、世界最大級の砂糖トレーダーが同年度の世界の砂糖需給を6年ぶりの不足となる540万トンの不足と見通したことから、同26.65セントと急騰した。6日は、8月後半からの相場上昇を受け、一部でロングポジション(注2)の清算が行われたことで、同26.22セントと値を落とした。7日は、タイの製糖企業が深刻な干ばつにより、同年度の同国の砂糖生産量を前年度比18%減と見込んだことなどを受け、同26.68セントと上昇し、その後も、世界的な砂糖減産の懸念から高止まりが続き、12日は、同26.83セントをつけた。13日は、ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)が8月までのブラジル中南部の砂糖生産量を前年同期比20%増と報告したことなどから、同26.54セントと値を下げた。14日は、10カ月ぶりの原油高(注3)により、同26.98セントと反発した。15日以降は、生産が好調と見込まれていたブラジルで猛暑と乾燥が予測されたことなどから上昇し、19日は、同27.44セントと12年ぶりの高値をつけた。20日は、原油安がロングポジション清算のきっかけとなったことや中国の8月の砂糖輸入量が前年同月比46.4%減と発表されたことが弱気材料となり、同26.79セントと値を下げた。21日以降は、ロンドンを拠点とするトレーダーが23/24年度のインド産砂糖の輸出可能性は低いと発表したことが価格の下支えとなり、22日は、同26.97セントと高止まりとなった。25日は、10月限の先物相場の建玉(注4)数量が前年同期の約2倍となり十分な砂糖供給が見込まれると予測されたことから、1週間ぶりに安値に転じ、同26.31セントと下落した。26日以降は、UNICAによるブラジルの増産報告が価格上昇を抑えたものの、ドル安(注5)が砂糖先物のショートポジションをカバーするための買い戻し(注6)に拍車をかけ、28日は、同26.73セントと値を上げたものの、29日は、同26.27セントの小幅安で納会した。
期近が3月限に切り替わった10月2日は、10月限の流れを引きずり、同26.35セントをつけた。3日は、レアル安により、同25.67セントと1カ月ぶりに25セント台に下落した。4日以降は、ブラジル主産地での10月の降雨予測による圧搾作業の遅延への懸念や米国農務省がタイの砂糖生産見通しを下方修正したことなどから、6日は、同26.74セントと上昇した。9日は、原油価格の高騰もあって、同27.18セントと再び27セント台に乗り上げた。10日以降は、UNICAが9月までのブラジル中南部の砂糖生産量を前年同期比23.8%増と報告したことなどから、12日は、同26.35セントと下落したが、13日は、原油高を受け、同27.03セントと上昇した。
(注1)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
(注2)将来の値上がりを期待して買いの持ち高を取っている状態。
(注3)一般に、原油価格が上昇すると、石油の代替燃料であるバイオエタノールの需要も増加する。バイオエタノールの需要増加により、その原料作物(サトウキビ、てん菜など)のバイオエタノール生産への仕向けが増える一方、それらから生産される食品(サトウキビの場合は砂糖)の生産・供給が減ると想定される。食品用途仕向けの度合いが小さくなるほど需給がひっ迫し、当該食品の価格を押し上げる方向に作用する。
(注4)先物相場において、未決済になっている契約総数。
(注5)粗糖は米ドル建てで取引されるため、米ドルに対してレアルが上昇すると、相対的にブラジル産粗糖の価格競争力が弱まる。世界最大の砂糖輸出国ブラジルの輸出意欲が低下すると、需給のひっ迫につながることから、価格を押し上げる方向に作用する。
(注6)将来の値下がりを期待して売りの持ち高を取っていた金融資産を、決済のために買い戻すこと。