てん菜に関しては、輪作体系の維持を図るべく省力化技術の開発や作業を外部委託できる組織を作ることにより、生産現場での省力化に重点を置いた取り組みを図ってきた。
まず、労働力不足に対応するため、出荷先である日本甜菜製糖株式会社(以下「ニッテン」という)と連携し、
直播に力点を置いた
播種(移植含む)、収穫体系の見直しを行った。
次に平成28年度「革新的技術開発・緊急展開事業(うち地域戦略プロジェクト<次年度からの3年間は、経営体強化プロジェクト>)」に参画し、JAつべつでは、「高効率大型収穫機の性能実証とマシーネンリング(MR)
(注2)の設立手法を確立するための現地実証試験」を実施した(図4)。この実証試験では、移植作業と収穫作業を受託する支援組織の設立により生産者の作業時間を削減することに加え、大型機械化体系に対応した
狭畦栽培法の開発を行った
1)。各種手順の確認・検討を進めるとともに、大型機械導入による適正な運用面積などの試算と必要なルールの設定に関する検討を進めるといった取り組みを、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、サークル機工株式会社、有限会社すばる、ニッテンとともに推進してきたところである。
その結果、MRの概念を取り入れ、津別町営農支援センター設立までには至っていないが、営農部が中心となって、現在は、播種から収穫まで労働力確保を含め効率的な機械運用ができるようコントロールしており、特に実証地域ではてん菜作付面積の約2割がコントラクターを利用している(表2)。
(注2)マシーネンリングはドイツを中心に発展している組織で、農作業機械を所有せず、農業者が所有する農作業機械を計画的に運用して最大効率化を図るためのスケジュール管理をしたり、農作業の受託者と委託者をつなぎ、受委託を成立させる仲介組織としての役割を担う。
このような各種実証事業などを取り入れるためには、どの品目にテコ入れが必要かを品目の動向などとともに、生産者目線で選定することが必要である。津別町の場合、C社の協力もありばれいしょでいち早くコントラクターを進めてきた経緯があった。そのため、労働時間が10アール当たりで一番長い(移植栽培の場合)てん菜に焦点を当て、欧州農業を目指すJAつべつとして、欧州でのてん菜の取り組みを導入するべく、研究機関に話を持ち掛け実証事業に参画することができた。
この際、ただ話を持ち掛けるだけではなく将来像も含め提示し、実証中に組織化も含め検証を行うことが肝要である。現在では、他地区においても大型収穫機械(テラドス)(写真4)の導入が図られるなど、一定程度、先進的な取り組みとなった。