鹿児島県における令和4年産のサトウキビについては、収穫面積は9566ヘクタール、単収は10アール当たり5.6トン、生産量は約53万3000トンであった。台風などの大きな気象災害がなかったこともあり、生産量は平年比103%、買入糖度は平年より0.37度高い14.16度となった。
このうち、徳之島については、収穫面積は3206ヘクタール(県全体の約33%)、単収は県平均をやや下回る10アール当たり5.3トン、生産量は約17万1000トン(同約32%)であった。
徳之島におけるサトウキビ収穫面積、生産量ともに平成元年頃から減少傾向にあったが、さとうきび増産計画に基づく取り組みなどにより、近年では減少傾向にやや歯止めがかかっている。
一方、図2の農家戸数の推移を見ると、生産者の高齢化などに伴い減少傾向が続いており、こうした中で収穫面積が維持されている要因の一つとして、大規模農家の規模拡大が考えられる。
図3は、過去10年間の鹿児島県におけるサトウキビ農家一戸当たりの収穫面積および生産量の推移をまとめたものである。一戸当たりの収穫面積の増加に伴い、一戸当たりの生産量もおおむね増加傾向で推移している。この背景には、作業の機械化が進んだことで単位面積当たりの労働時間が削減されたことが挙げられる。
サトウキビ生産において、最も労働力、労働時間が必要となるのは収穫作業であったが、補助事業などで導入したハーベスターの利用が進み、令和4年産における鹿児島県のハーベスター収穫率(面積比)は96.5%となって労働負担が軽減されている。
このように、ハーベスターの利用は、サトウキビ生産体系の中で定着しており、農家戸数が減少傾向にある中で収穫面積の維持に寄与しているものの、現場では適期作業に必要な労働力の不足を指摘する声も多い。収穫後の株出し管理や、施肥、防除といったさまざまな作業をそれぞれ適期に行うことは単収向上につながるが、農家一戸当たりの収穫面積は拡大していることから、特定の時期の労働力不足が生じている(表)。
特に収穫期の後半にあたる2〜3月には、新植作業や株出し管理作業を収穫作業と並行して行う必要がある。このため、収穫作業の受託を行うと自身の圃場の管理作業に手が回らなくなるジレンマが生じている。
こういった労働力不足の解消方法としては雇用労働力の活用が挙げられるが、労働力が不足する時期が限定されているため、雇用を行った場合、サトウキビ生産だけでは年間雇用が難しくなる。