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豪州の砂糖産業とその動向

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最終更新日:2024年4月10日

豪州の砂糖産業とその動向

2024年4月

調査情報部 高田 勇一、山ア 博之

【要約】

 豪州のサトウキビ生産は、輸出に大きく依存しているため国際相場の影響を大きく受ける。近年は、国際相場の下落などの影響により競合作物への転作が一部発生しており、これ以上の作付面積の拡大は難しい状況にある。一方で2023年から始まった豪英FTAによる英国へのアクセス解禁による輸出は需要拡大の追い風となっており、日本、韓国およびインドネシアといった主要輸出先に加えて、注目が集まっている。

はじめに

 2024年3月現在、豪州は世界10位の砂糖生産国でありながら、粗糖の輸出量では4位に位置する。同国では東部のクイーンズランド(QLD)州とニューサウスウェールズ(NSW)州がサトウキビの主産地であり、特にQLD州のサトウキビ産業は地域経済を支える重要な役割を担っている。日本は日豪FTAが始まってから、豪州からの粗糖輸入量が増加しており、23年は豪州からの輸入割合が9割となっている。そのため、同国のサトウキビ生産や粗糖の輸出動向が日本の砂糖需給に大きく影響する状況にある。

 このため、本稿では日本の砂糖の主要輸入先である豪州の砂糖産業とその需給動向について報告する。

 なお、本稿中の為替レートは、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中の平均為替相場」2024年2月末日TTS相場の1豪ドル=99.88円、100インドネシアルピア=1.08円を使用した。

1 豪州の農業概況

 豪州は日本から南へ約7000キロメートルに位置し、どの地域でも年間を通じて日差しが強いという特色があり、国土の大半は砂漠や乾燥した草原である。そのため降雨量の少ない地域では、灌漑(かん がい)設備の確保が農畜産物の生産において重要となっている。また、農地の状況を見ると、国土面積は日本の約20倍と広大であり、日本は農用地が国土面積の1割強であるのに対し、豪州は5割に達している。ただし、乾燥地帯が多く、採草・放牧地が大きな割合を占めているのが特徴と言える(表1)。



 

 主要農産物の生産状況を見ると、小麦、サトウキビ、大麦、生乳(牛)、菜種の順となる(表2)。しかし、同国の人口は2600万人程度と小さいため、生産される農産物のほとんどが輸出に向けられる。近年は、これら農産物需要の高まりから輸出量、輸出額ともに増加傾向にある(表3)。サトウキビについては、畜産業の拡大や収益性の高い作物への転換などから生産量は減少傾向にあるが、生産量は2位を維持している。

 一方、砂糖の輸出額を見ると、粗糖国際相場の上昇により2023/24年度(7月〜翌6月)は約30億豪ドル(2996億円)まで増加すると見込まれており、サトウキビ減産に歯止めがかかるとの期待感も出ている。
 


 
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2 世界の砂糖需給

 世界の砂糖生産量を見ると、近年は年間1億9000万トン台で推移しており、23/24年度は1億9512万トンと見込まれている。生産地別では、ブラジル、インドおよびEUで過半を占める状況にあり、豪州は10位(415万トン)となっている(図1)。

 一方で、世界の輸出量を見ると、23/24年度は世界の生産量全体の4割弱に当たる7561万トンの輸出が見込まれ、その半数はブラジルが占め、豪州はタイ、インドに次ぐ4位となっている。
 
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3 豪州のサトウキビ生産

(1)主要生産地域

 前述の通り、豪州のサトウキビ生産はQLD州およびNSW州の北東部沿岸から東部沿岸地域の2100キロメートルの広域で行われており、その豪州で生産される粗糖の95%はQLD州が占めている(図2)。QLD州の地域別のサトウキビ生産量(2021年産)を見ると、ハーバート・バーデキン地域が全体の4割を占め、中央部地域と北部地域で5割を占める状況となっている(図3)。また、栽培・収穫時期を見ると、生産地域によって平均気温や日照時間などが異なるが、豪州の一般的な作型は、3月〜6月に作付けされ、降雨の少ない翌年の6月〜12月に収穫される形態が中心となる。ただし、温暖で日照量が比較的多いQLD州では作付けから収穫までに9〜12カ月間を要し、QLD州に比べて冷涼な気候のNSW州では、18〜24カ月を要する地域もあるとされている。



 
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(2)生産概要

 豪州では、サトウキビ生産についても灌漑設備が重要であり、QLD州ではサトウキビ生産地の5割以上で導入されている。主産地である中央部地域や南部地域では灌漑設備の導入率が低く、雨水に頼る側面が強い状況にあるが、サトウキビ生産量が最も多いハーバート・バーデキン地域では、降雨量が少ないため灌漑設備の導入率は100%になっている。同地域には約8万ヘクタールのサトウキビ圃場(ほ じょう)のうち、95%が(うね)と畝の間に水を流す畝間灌漑(Furrow irrigation)となっている。また、ピボット灌漑やホースリールを利用した散水灌漑なども導入されている(写真1、2)。豪州のサトウキビ農家1戸当たりの平均作付面積は136ヘクタールと広大であることから、効率的な作業が求められる。畝間灌漑は初期費用が最も安価なことで主流になっているが、水の利用が効率的でないため、圃場の傾斜、土壌の種類、溝の幅および流水速度などを把握して設計する必要がある。一方、ピボット灌漑は、効率的な水の利用が可能であるものの、初期費用が約25万豪ドル(約2500万円)と高価であり、稼働時にはエネルギーコストも発生する。灌漑設備の導入は、農家の経営状況が強く反映され、長期的な視点が必要となる。



 
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(3)競合作物と生産向上への取り組み

 豪州のサトウキビ収穫面積は33万〜38万ヘクタールで推移しており、近年は減少傾向にあるが23/24年度は持ち直すことが予想されている(表4)。従来、サトウキビの作付面積は、畜産業の拡大や都市化の進展などで減少しつつあった。これに加えて近年は、これまでの粗糖国際相場の低迷や農地代上昇の負担が影響し、より収益性の高いアボカドやマカダミアナッツなどの生産に転換する生産者が増えているとされる(写真3)。






 

 また、単収を見ると、豪州は1ヘクタール当たり80トンを超えており、輸出量1位のブラジル(同75トン)を上回り世界的にも比較的高水準にあるが、長年にわたって横ばいで推移している状況にある。これは、近年の病虫害の発生増加や栽培品種の単収が限界に達していることが挙げられる。これまで、豪州のサトウキビはFiji leaf gall(注1)、さび病(注2)や黒穂病(注3)などの発生で数億豪ドルの被害が生じてきた。豪州砂糖研究センター(SRA)(注4)によると、かつて同国で作付けされていたQ124と呼ばれる高収量品種は、さび病や黒穂病への抵抗性が低かったことで、これらが発生した際に甚大な被害を受け、特に中央部地域では同品種の約9割が全滅したとされている。


(注1)QLD州南部とNSW州で流行した病虫害で、葉裏に白い虫こぶができ、株出しの場合は枯死してしまう植物ウイルス病。QLD州の植物防疫上の報告対象であり、発見者は24時間以内に植物防疫検査官に報告義務がある。
(注2)葉にすじ状の鉄さびのような褐色が現れる病害。感染し、病斑密度が高くなると葉が枯れ、収量が減少する。
(注3)感染すると茎の先端から胞子を飛散させる。感染した株は枯死し、収量が減少する。

(注4)2013年に設立された研究機関で、サトウキビ生産者や製糖業者が納める賦課金(生産者と製糖業者の折半でサトウキビ1トン当たり70豪セント〈70円〉)のほか、豪州政府やQLD州政府からの補助金で運営されている。


 QLD州では、栽培地域が広範囲であるため、地域の特性によって選ばれる品種は異なるが、最も多く作付けされている品種はQ208とQ240の両品種であり、総生産量の約47%を占めている(図4)。両品種はさび病や黒穂病に対し高い抵抗性を有し、株出し栽培に適しているなど安定した収量が見込めるという特長がある。各地域では、徐々に地域に適合した品種に移行傾向があるものの、全体としてサトウキビ増産には至っていない。このためSRAは、2021〜26年の5カ年計画で、世界最高水準のサトウキビ品種の開発を事業戦略の一つとして掲げている。品種改良に要する時間やコストを削減しながら、安定した生産が期待できる多収量品種を開発するためにDNAマーカーを用いた選抜育種技術に投資している。
 

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(4)持続可能なサトウキビ生産

 QLD州のサトウキビ生産者団体であるCANEGROWERSは、生産者段階で生産性の向上を図り、持続可能なサトウキビ栽培を推進するため、2014年から健全なサトウキビ栽培による環境負荷を低減することを目標に、「Smartcane Best Management Practice」(通称Smartcane BMP)というプログラムを導入している。生産者は同プログラムに従い、土壌管理、病虫害、雑草および灌漑・排水の管理を行い、これらの実施状況について第三者機関による監査に合格するとSmartcane BMPの認定を受けることができる(表5)。




 CANEGROWERSよると、24年3月現在、QLD州のサトウキビ栽培面積の約4割がこのプログラムの認定を受けており、認定率が8割程度に達すれば、業界団体による任意の取り組みによって生産方法を改善し、環境への負荷低減を証明できるとしている。

 また、豪州のサトウキビ産業でも、効率性などの観点からICT技術の導入が進んでおり、中でもGPSを搭載した収穫機の利用が多いとされる。CANEGROWERSによると、QLD州全体の5割に当たる生産者は、GPS搭載収穫機を使用しているとされている。同様にトラクターにもGPSの搭載が進んでおり、作業の効率化に加え、作業データを蓄積することで経営改善への寄与が期待できる(写真4)。
 
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〜コラム バンダバーグ市のラム酒〜

 サトウキビを原料に生産されるラム酒は、通称「バンディ」の愛称で知られている。このバンディの製造は、1888年にサトウキビ生産地であるバンダバーグ市で開始された。同市では69年以降からサトウキビの栽培が盛んになり、現在でもサトウキビの産地として有名である。ラム酒は製糖工程で生じる副産物の糖(みつ)(以下「モラセス」という)から作られる。このモラセスは糖分50%、無機塩15%、他有機物10%および水分25%を含んでいる。バンダバーグ市の製糖期間は7月〜11月の5カ月間のみであるため、1年を通じてバンディが製造できるよう、製糖工程で発生したモラセスは貯蔵タンク(最大1000万リットル=オリンピックのプールサイズ四つ相当)に保管される。バンディの製造工程は大きく4段階あり、浄化、発酵、蒸留、熟成に分けられる。まず、浄化工程では蒸留工程で発生した液体と水を使用してモラセスを薄める。その後、熱を加えながら薬品を加え、不純物を沈殿させ、遠心分離機で取り除く。次の発酵工程では、酵母菌を使用して約36時間発酵させる。この酵母菌がモラセス内の糖分を分解し、アルコール度数8%のエタノールを作る。発酵を終えたモラセスは次の蒸留工程で8%から78%までアルコール濃度を上昇させる。その後、シラカシの木材6トンを用いて作られた一つ6万リットルの容量をもつ大樽で熟成される。この熟成期間は最低2年間となり、熟成中にカラメルが加えられる。最後に純水と混ぜ、瓶に詰めて出荷される。

 豪州版の地酒ともいうべきバンディは、ワインと並び豪州を代表するお酒とされている。




 

4 豪州の砂糖需給と輸出状況

 豪州は砂糖生産のうち、国内消費量の約3倍を輸出しており、輸出に大きく依存している。そのため、豊作が続き輸出が好調な状況であっても、世界の砂糖需給や国際相場の変動の影響を大きく受ける状況にある(表6)。近年の粗糖輸出量は約300万トンを超え、主要輸出先は韓国、日本、インドネシアとなっている(表7)。







 また、同国と英国の間では、2023年に豪英FTAが発効(注5)され、粗糖については初年度の23年に8万トンの関税割当(無税枠)が設けられた。その後は、毎年2万トンずつ割当枠が拡大し、7年後となる30年の22万トンを最後に、翌年の31年から関税が撤廃される予定となっている(表8)。


 

(注5)詳細については、2023年5月24日付海外情報「豪英FTAおよびNZ英FTAが5月31日に発効(豪州、NZ)」〈https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003537.html〉を参照されたい。


 これらの主要輸出先の輸入状況を見ると、韓国は、豪州およびタイからの輸入が主流となっている(図5)。14年12月に豪韓FTAが発効され、粗糖の関税が3%から無税となったことを機に輸入が増加し、一時的に豪州からの輸入が150万トンと輸入量全体の9割を超過した。その後、タイの増産を受けて同国からの輸入も再び増加傾向にあり、23年には豪州とタイの両国から同等の数量が輸入されている。

 日本は、かつてタイが主要輸入先であったが、日豪EPA(15年1月発効)およびCPTPP(18年12月発効)により、高糖度粗糖(糖度98.5度以上99.3度未満。以下「ハイポール」という)への関税および調整金の条件が緩和されたことで、豪州からの輸入が増加し、23年は豪州産が輸入量全体の92%に拡大している。

 インドネシアは、国内の需要拡大とともに輸入数量が増加傾向にあり、23年には480万トンに拡大している。また、かつてはタイおよびブラジルが主要輸入先であったが、18年にブラジルと交渉した3年間の免税アクセスが終了し、2年間ブラジルの輸入が止まっていた。その後、タイで発生した干ばつにより収量が減少したため、2年ぶりにブラジルからの輸入が再開された。一方で20年に豪州との包括的経済連携協定(IA−CEPA)が発効したことで、関税率は1キログラム当たり550インドネシアルピア(5.4円)から5%に削減された。この結果、21年はタイ、ブラジル、豪州から平均的に輸入しており、22年、23年は豪州産がブラジル産に次ぐ輸入状況にある。

 英国は、ブラジルおよびガイアナが主要輸入先であるが、豪英FTAの発効を受けて約50年ぶりに約7万トンの粗糖が豪州から無税で輸入された。QLD砂糖公社によると、順調な出荷状況を踏まえ24年は関税割当(10万トン)はすべて消化する見込みとされている。

 また、豪州の主要輸出先3カ国(韓国、日本、インドネシア)の輸入(CIF)価格を見ると、それぞれ国際相場と連動しており、近年は国際相場の高騰に伴い、右肩上がりで上昇している(図6)。英国の輸入価格は、輸入が再開された23年9月からのデータのみであるが、主要3カ国に比べて高く、また、英国は1973年にEUの前身であるEEC(European Economic Community)に加盟する前は豪州の主要な砂糖輸出先であり、英国は豪州の砂糖輸出量の約3分の1を輸入していた。このような背景からも、今後の主要輸入国および英国の価格動向が注目される。








 豪州の砂糖輸出港を見ると、主に六つに集約され、それらの湾岸施設はサトウキビ生産者と製糖工場とで所有するシュガー・ターミナル株式会社(STL)が管理しており、砂糖以外にも木材ペレットや石こう、けい砂なども取り扱っている(図7)。日本向け粗糖(ハイポール)は、他国向けと糖度が異なるため倉庫内で分別する必要がある。現地での聞き取りでは、日本向けに対して製糖工程では特段の追加費用は発生しないものの、倉庫での仕分けや区分管理などの追加作業が加わることで、1トン当たりおよそ3〜5豪ドル(300〜500円)程度の追加負担が発生しているとのことであった(写真5、6)。








 

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5 豪州のエタノール事情

 世界では現在、持続可能な開発目標(SDGs)の取り組みが進められる中で、脱化石燃料や農業振興の観点から、主要農産物などを活用したエタノールなどのバイオ燃料の製造・消費が増えている。特に、エタノール分野については、米国がトウモロコシ、ブラジルがサトウキビを原料としたエタノールを製造しており、世界全体を見てもおおむね増産傾向にある。一方で、豪州のエタノール生産量は、世界全体のわずか0.3%程度となっている(図8、9)。







 豪州最大の糖蜜由来のエタノール製造企業であるWilmar Sugar Australiaは、年間約6000万リットルのエタノールをQLD州のサリーナ市で製造している。このうち約3分の2は、E10およびE85といったエタノール混合燃料として販売されている(写真7)。

 


 QLD州とNSW州では、2017年に液体燃料供給法(The Liquid Fuel Supply Act 1984)で、一定規模(注6)のガソリンスタンドなどの小売業者は、販売燃料総量の4%(NSW州では6%)は混合燃料でなければならないとする混合燃料の販売に関する最低要件が定められた。これにより、エタノール製造・消費の拡大が期待されたが、法律が施行されて以降、この要件が達成されたことは一度もなく、QLD州では19年10〜12月の3.0%が最高値となっている(図10)。


(注6)10店舗以上の販売店を運営、または四半期で50万リットル以上を販売する業者が対象となり、対象業者は四半期ごとに各州に報告する必要がある。
 



 これは、同法で小売業者の目標数値達成に向けた助成制度や罰則に関する規定が定められていないことで、小売業者のインセンティブが働かない状況にあることが挙げられる。このため、混合燃料の利用は実質上、消費者の判断に委ねられている。小売段階では混合燃料が非混合燃料に比べて安価で販売されているが、すべてのスタンドで混合燃料を取り扱っておらず、また、現地では約20年前に同国内の自動車団体が、混合燃料の利用はエンジンにダメージを与えるといったネガティブ・キャンペーンを行ったことがあり、消費者の一部ではそのイメージが残ってしまっているという意見も聞かれた。そのため、豪州では、世界的な流れとは一線を画し、バイオエタノールの製造・消費に関する意欲は比較的低く、新たに状況の変化が生じない限り、今後のバイオエタノールの増産はあっても限定的なものにとどまると考えられる。

おわりに

 豪州のサトウキビ栽培は、競合作物などとの兼ね合いから現時点での作付面積拡大は見込めない状況にあると考えられる。そのため、現地では限られた栽培面積の中で、単収の増加に向け品種改良に力を入れているが、現時点では大きな成果は見えていない。また、製造した砂糖の大半が輸出に向けられるため、生産者の手取りや製糖企業の収入は国際相場によって大きく左右される性質があり、長期的な相場の低迷は豪州のサトウキビ産業の低迷にも直結する。

 しかし、近年の国際相場の高騰と英国という新たな市場アクセスが拡大したことで、豪州のサトウキビ産業にとっても追い風が吹いている環境にある。豪州産砂糖の輸入比率が高い日本は、英国の輸入動向をはじめとして、豪州を主要輸入先としている韓国やインドネシアの需給動向についても、注視することが重要である。特にインドネシアは、2億7000万人以上の人口を擁する世界第2位の砂糖輸入国でありながら、韓国や日本の関税が撤廃されている状況と異なり5%の関税を継続している。このため、関税が撤廃された場合、豪州の輸出割合を大きく変化させることも想定され、今後の豪州とインドネシア間の政策などの把握も重要となる。

 豪州国内の状況を見ると、Smartcane BMPなど生産者による任意の取り組みを通じた持続可能なサトウキビ栽培を発信している一方で、エタノールの製造や消費は、ブラジルなどに比べて発展の可能性を残している状態にある。現在、日本の砂糖輸入は豪州への一国依存となっており、安定した砂糖需給の観点からも、引き続き同国の砂糖を取り巻く情勢を注目する必要がある。
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272