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砂糖類の国内需給

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最終更新日:2024年5月10日

砂糖類の国内需給

2024年5月

調査情報部

1 需給見通し

 農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、四半期ごとに砂糖および異性化糖の需給見通しを公表している。令和6年3月に「令和5砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第3回)」を公表した。
 
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(1)砂糖の消費量

 令和5砂糖年度(10月〜翌9月)の砂糖の消費量は、179万3000トン(前年度比0.7%増)と見通している(表1)。内訳を見ると、引き続き物価高の影響などは見込まれるものの、インバウンド需要の増加など人流増に伴う経済活動の回復が想定されることから、分みつ糖の消費量は176万トン(同0.7%増)と見通している。含みつ糖の消費量は近年の消費動向などを勘案し、3万3000トン(同3.1%増)と見通している。
 
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(2)砂糖の供給量

 令和5砂糖年度の砂糖の供給量は、175万トン(前年度比0.7%減)と見通している。内訳を見ると、分みつ糖の供給量は173万6000トン(同0.7%減)、含みつ糖は1万5000トン(同7.1%増)と見通している。国内産糖(分みつ糖)の供給量は、てん菜糖については、てん菜の作付面積が前年産と比べ7.4%(4101ヘクタール)減少した。作柄については、生育期間中の気温が総じて平年よりも高く推移し、1ヘクタール当たりの収量は平年並みとなる一方、褐斑(かっぱん)病が多発し、根中糖分が著しく低下したことから、産糖量は44万8000トン(前年産比20.4%減)、供給量は44万8000トン(精製糖換算〈以下同じ〉。前年度比20.3%減)と見通している。甘しゃ糖については、サトウキビの収穫面積が前年産に比べ2.0%(475ヘクタール)減少した。現在の作柄については、一部の島において、春から夏にかけて干ばつがあったことなどに伴い、産糖量は前年を下回る13万5000トン(前年産比2.3%減)、供給量は12万9000トン(前年度比2.3%減)と見通している。
 

(3)加糖調製品の需給

 令和5砂糖年度の加糖調製品の消費量は、輸入価格の上昇などにより昨年の大幅減少からの回復は限定的となり、40万1000トン(前年度比0.3%増)と見通している(表2)。また、供給量は、消費量に見合った量が供給されると見通している。
 
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(4)異性化糖の需給

 令和5砂糖年度の異性化糖の消費量は、外出機会の増加による需要の回復が見込まれることから、近年の消費動向を踏まえ、78万5000トン(前年度比2.4%増)と見通している(表3)。また、供給量は、消費量に見合った量が供給されると見通している。
 
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2 輸入動向

【粗糖の輸入動向】
2月の輸入量は前年同月から大幅に減少
 
財務省「貿易統計」によると、2024年2月の甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード 1701.14-110)および甘しゃ糖・その他(同1701.14-200の豪州)の輸入量は、4万41トン(前年同月比49.2%減、前月比44.0%増)であった(図1)。

 輸入先は甘しゃ糖・分みつ糖についてはタイ、甘しゃ糖・その他については豪州で、国・地域別の輸入量は次の通りであった(図2)。

 タイ 
 6490トン (前年同月および前月輸入実績なし)

 豪州 
 3万3551トン (前年同月比57.4%減、前月比20.8%増)
 





 

 
 2024年2月の甘しゃ糖・分みつ糖の1トン当たりの輸入価格は、10万4716円(前年同月比50.6%安、前月比74.3%安)であった(図3)。

 国・地域別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

 タイ
 10万4716円 (前年同月および前月輸入実績なし)




 
 また、同月における甘しゃ糖・その他の豪州からの高糖度原料糖の1トン当たりの輸入価格は、8万6516円(前年同月比16.2%高、前月比22.7%安)であった(図4)。
 

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【含みつ糖の輸入動向】
2月の輸入量は前年同月から大幅に増加
 
財務省「貿易統計」によると、2024年2月の含みつ糖(HSコード 1701.13-000、1701.14-190)の輸入量は、1280トン(前年同月比95.7%増、前月比2.7倍)であった(図5)。

 輸入先はタイ、中国およびコスタリカで、国・地域別の輸入量は次の通りであった(図6)。

 タイ
 1005トン (前年同月比2.6倍、前月比3.7倍)

 中国
 274トン (同59.3%増、同3.7倍)

 コスタリカ
 1トン (前年同月および前月輸入実績なし)




 


 


 2024年2月の1トン当たりの輸入価格は、17万195円(前年同月比12.0%高、前月比23.4%安)であった(図7)。

 国・地域別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

 タイ
 16万9614円 (前年同月比22.8%高、前月比1.0%高)
 
 中国
 17万2015円 (同11.6%高、同11.4%安)
 
 コスタリカ
 25万5000円 (前年同月および前月輸入実績なし)
 

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【加糖調製品の輸入動向】
2月の加糖調製品の輸入量は前年同月から大幅に減少
 
財務省「貿易統計」によると、2024年2月の加糖調製品の輸入量は、2万5260トン(前年同月比19.1%減、前月比23.9%減)であった(図8)。

 品目別の輸入量は、表4の通りであった。


 


 

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3 異性化糖の移出動向

3月の移出量は前年同月からやや減少
 
2024年3月の異性化糖の移出量は、7万1045トン(前年同月比4.3%減、前月比17.6%増)であった(図9)。

 同月の規格別の移出量は、次の通りであった(図10)。

 果糖含有率40%未満
 384トン (前年同月比18.0%減、前月比6.9%減)

 同40%以上50%未満
 1万8594トン (同2.3%減、同13.8%増)

 同50%以上60%未満
 5万1063トン (同5.0%減、同18.7%増)

 同60%以上
 1003トン (同1.2%減、同56.5%増)
 



 

 

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4 価格動向

【市場価格】
砂糖・異性化糖ともに前月と同水準で推移

 3月の糖種別・地域別の砂糖価格(日経相場)は、次の通りであった。

 上白糖(大袋)
 東京
 1キログラム当たり 249〜251円

 大阪
 同 249〜251円

 名古屋
 同 252円

 関門
 同 254円

 上白糖(小袋)
 東京
 1キログラム当たり 261〜265円

 大阪
 同 264〜265円

 本グラニュー糖(大袋)
 東京
 1キログラム当たり 254〜256円

 大阪
 同 254〜256円

 名古屋
 同 257円
 
 ビート・グラニュー糖(大袋)
 東京
 1キログラム当たり 249〜251円

 大阪
 同 249〜251円

 名古屋
 同 250円

 3月の異性化糖の価格(日経相場、大口需要家向け価格、東京、タンクローリーもの、JAS規格品、水分25%)は、次の通りであった。

 果糖分42%もの
 1キログラム当たり 166〜167円

 果糖分55%もの
 同 172〜173円
 

【小売価格】
3月の上白糖小袋の地域間の価格差は最大で54.6円
 
KSP-POSデータ(全国501店舗)によると、スーパーにおける3月の上白糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、252.3円(前年同月差31.1円高、前月差0.9円高)であった。最も高かったのは中国・四国で、最も安かった関東などとの価格差は54.6円であった。

 同月の地域別(注)の平均小売価格は、次の通りであった(表5)。

(注)地域の内訳は、次の通りである(以下同じ)。
   
関東など:茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県
   
首都圏:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県
   
中部:新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、三重県、愛知県
   
関西:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、和歌山県、奈良県
 

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3月のグラニュー糖小袋の地域間の価格差は最大で69.4円
 
KSP−POSデータ(全国501店舗)によると、スーパーにおける3月のグラニュー糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、308.0円(前年同月差36.4円高、前月差2.1円高)であった。最も高かったのは中国・四国で、最も安かった関西との価格差は69.4円であった。

 同月の地域別の平均小売価格は、次の通りであった(表6)。
 

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3月の三温糖小袋の地域間の価格差は最大で71.6円
 
KSP−POSデータ(全国501店舗)によると、スーパーにおける3月の三温糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、292.7円(前年同月差34.6円高、前月差2.2円高)であった。最も高かったのは中国・四国で、最も安かった関西との価格差は71.6円であった。

 同月の地域別の平均小売価格は、次の通りであった(表7)。

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【支出金額および購入数量】
2月の砂糖の支出金額は前年同月からかなりの程度上昇
 
総務省「家計調査」によると、2024年2月における100世帯当たりの砂糖の購入頻度は31回、1世帯(二人以上)当たりの支出金額は88円(前年同月比7.3%高、前月比8.6%高)であった(図11)。また、同月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は、264グラム(同11.1%減、同7.8%増)であった(図12)。

 


 

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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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