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最終更新日:2024年7月10日
ニューヨーク粗糖先物相場の動き(5/1〜6/10)
〜ブラジルの増産やインドでのモンスーンの早期到来から18セント台まで下落〜
2024年5月のニューヨーク粗糖先物相場(7月限)の推移を見ると、1日は原油価格の下落(注1)により、1ポンド当たり19.22セントをつけた(注2)。2日以降はブラジルのレアル高(注3)のほか、インドの減産による世界的な砂糖供給量の減少見通しにより、7日には同19.95セントまで上昇したが、8日以降はドル高やブラジルの増産予測に伴う砂糖供給の懸念緩和により下落し、13日は同18.63セントと1年半ぶりの安値を記録した。14日はドル安により一時的に上昇に転じたものの、15日以降はブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)が、ブラジルの増産を発表したことで再び下落に転じ、17日には同18.13セントをつけた。20日はレアル高で一時的に上昇に転じたものの、21日以降はブラジルの増産の影響を引き続き受け、22日には同18.23セントまで下落した。23日以降はブラジルの増産による砂糖価格の下落が需要増加の呼び水となり、中国などの砂糖消費国の輸入量が増加したことなどから、28日には同18.73セントまで回復した。29日以降は、インドでのモンスーンの早期到来が砂糖生産の見通し改善の材料となったことや、レアル安から再び下落したものの、ショートポジション(注4)をカバーするための買い戻しにより上昇に転じ、31日は同18.30セントをつけた。
6月に入ると、ドル安やブラジルやインドなどの主要生産国を含めた世界的な天候不順の懸念から上昇を続け、6日には同19.22セントまで回復したものの、7日以降はレアルが対ドルで17カ月ぶりの安値まで下落したことなどから、10日には同18.63セントまで下落した。
(注1)一般に、原油価格が下落すると、石油の代替燃料であるバイオエタノールの需要も減少する。バイオエタノールの需要減少により、その原料作物(サトウキビ、てん菜など)のバイオエタノール生産への仕向けが減る一方、それらから生産される食品(サトウキビの場合は砂糖)の生産・供給が増えると想定される。食品用途仕向けの度合いが大きくなるほど需給が緩和し、当該食品の価格を押し下げる方向に作用する。
(注2)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
(注3)粗糖は米ドル建てで取引されるため、米ドルに対してレアルが上昇すると、相対的にブラジル産粗糖の価格競争力が弱まる。世界最大の砂糖輸出国ブラジルの輸出意欲が低下すると、需給のひっ迫につながることから、価格を押し上げる方向に作用する。
(注4)将来の値下がりを期待して売りの持ち高を取っている状態。