ホーム > 砂糖 > 砂糖の国際価格の動き > 2 国際価格の動向
最終更新日:2024年8月9日
ニューヨーク粗糖先物相場の動き(6/3〜7/10)
〜18セント台でスタートするも、需給ひっ迫の見通しにより20セント台まで上昇〜
2024年6月のニューヨーク粗糖先物相場(7月限)の推移を見ると、3日はドル安(注1)により1ポンド当たり18.78セント(注2)をつけた。4日以降は、ブラジルやインドなどの主要生産国をはじめとする世界的な天候不順の懸念から、6日には同19.22セントまで上昇した。7日以降はブラジルレアルが対ドルで17カ月ぶりの安値となったことなどから、10日には同18.63セントまで値を下げたものの、11日以降は原油高(注3)に加え、インドの輸出量減少への懸念から、13日には同19.59セントまで上昇した。14日以降はブラジルの増産により下落に転じ、20日には同18.89セントをつけたが、21日以降はインドでモンスーン期初期の降水量が平年を下回ったことや政府による輸出制限維持の発表などから上昇し、24日は同19.41セントをつけた。25日はドル高で一時的に下落に転じたものの、26日以降はインドの主産地であるウッタル・プラデーシュ州で赤腐病(red rot)(注4)の拡大が報告されたことから、約2カ月ぶりに20セント台まで押し上げられ、28日は同20.31セントで納会した。
10月限に切り替わった7月1日は、レアル安により下落したが、2日はインドやブラジルでの平年を下回る降水量がサトウキビ減収への懸念材料となり、同20.61セントと上昇した。3日以降はインド砂糖・バイオエネルギー製造業者協会(ISMA)が2023/24年度産砂糖の余剰分について、政府に対し輸出許可を要請したことなどから、9日には同19.62セントまで下落したものの、10日はレアル高により同19.81セントと上昇した。
(注1)粗糖は米ドル建てで取引されるため、米ドルに対してレアルが上昇すると、相対的にブラジル産粗糖の価格競争力が弱まる。世界最大の砂糖輸出国ブラジルの輸出意欲が低下すると、需給のひっ迫につながることから、価格を押し上げる方向に作用する。
(注2)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
(注3)一般に、原油価格が上昇すると、石油の代替燃料であるバイオエタノールの需要も増加する。バイオエタノールの需要増加により、その原料作物(サトウキビ、てん菜など)のバイオエタノール生産への仕向けが増える一方、それらから生産される食品(サトウキビの場合は砂糖)の生産・供給が減ると想定される。食品用途仕向けの度合いが小さくなるほど需給がひっ迫し、当該食品の価格を押し上げる方向に作用する。
(注4)真菌の感染によって引き起こされる病気で、茎の内部が腐り、赤色に変色する。サトウキビの単収や砂糖の回収率に深刻な影響を及ぼすとされている。