ホーム > 砂糖 > 砂糖の国際需給・需給レポート > 3 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2024年7月時点予測)
最終更新日:2024年8月9日
2024/25年度の砂糖生産量はわずかに減少するも生産は順調
2024/25年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は、874万ヘクタール(前年度比4.0%増)とやや増加が見込まれている(表)。一方、サトウキビ生産量は、中南部地域での干ばつ傾向により、サトウキビの変色や枯死など作柄の悪化が懸念されることで、6億6216万トン(同7.1%減)とかなりの程度減少が見込まれている。
砂糖生産量は、4792万トン(同2.8%減)とわずかに減少が見込まれている。ブラジルの砂糖生産量の9割を占める中南部では、24/25年度4月〜6月の生産実績が前年度同期比15.7%増と順調であるが、サトウキビの作柄悪化による減産などから、ブラジル全体の生産量は記録的な生産量となった23/24年度には及ばないと予測されている。砂糖輸出量は、インド産やタイ産の輸出が振るわず、引き続き国際市場でのブラジル産砂糖の堅調な需要が期待されることで、3766万トン(同0.2%減)と前年度並みが見込まれている。
2023/24年度の砂糖輸出量は減産と国内供給の確保により大幅に減少する見込み
2023/24年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、すでに収穫期を終えていることから、6月予測と同じく522万ヘクタール(前年度比4.1%減)とやや減少が見込まれている(表)。サトウキビ生産量は、主産地であるマハラシュトラ州では前年を上回るものの、ウッタル・プラデーシュ州では冬季の降雨が少なかったことや赤腐病(red rot)の発生で不作傾向となったことなどから、4億3694万トン(同4.2%減)とやや減少が見込まれている。
砂糖生産量は、3468万トン(同2.0%減)とわずかな減少が見込まれている。同国政府がサトウキビ由来のエタノール生産を制限し、引き続き砂糖への仕向けを優先させている中で、ウッタル・プラデーシュ州ではサトウキビがジャグリー(注)生産に大量に仕向けられ、製糖工場での破砕量が減少したことが影響した。砂糖輸出量は、ISMAが同国政府に対して余剰分の砂糖輸出を許可するよう要請しているものの、政府は輸出制限を継続する意思を示しているため、412万トン(同52.3%減)と大幅な減少が見込まれている。
(注)アジアや米国の一部地域で伝統的に製造される含蜜糖。
2023/24年度の砂糖輸出量は砂糖の増産を背景に大幅に増加するの見込み
2023/24年度(10月〜翌9月)のてん菜収穫面積は、EU最大の主産地であるフランスでの減少が見込まれる一方、ポーランドなどではてん菜がトウモロコシや小麦よりも収益性が高いことから栽培面積の増加が見込まれるため、145万ヘクタール(前年度比3.5%増)とやや増加すると予測されている(表)。てん菜生産量は、栽培面積の増加に加え、イタリアやドイツなどで前年度よりも生産量が増加したことなどから、1億977万トン(同9.8%増)とかなりの程度増加が見込まれている。
砂糖生産量は、てん菜の増産を背景に1637万トン(同5.5%増)とやや増加が見込まれている。砂糖輸入量は、22/23年度から増加していたウクライナ産砂糖に対しセーフガード措置が発動(注)されたことや23/24年度の砂糖の増産により、232万トン(同29.5%減)と大幅な減少が見込まれている。一方、砂糖輸出量は、砂糖の増産により208万トン(同92.9%増)と大幅な増加が見込まれている。
(注)詳細については、2024年7月5日付け海外情報「ウクライナ産砂糖および卵へのセーフガード措置発動(EU)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003869.html)をご参照ください。