令和6年度さとうきび・甘蔗糖関係検討会の概要
最終更新日:2024年12月10日
令和6年度さとうきび・甘蔗糖関係検討会の概要
2024年12月
はじめに
当機構では、沖縄・鹿児島両県のサトウキビ生産・糖業関係者が一堂に会し、サトウキビおよび甘蔗糖をめぐる最近の話題や情報を共有するとともに、それぞれの現場で抱える諸課題を一丸となって解決していくことを目的に、「さとうきび・甘蔗糖関係検討会」(以下「検討会」という)を開催している。
今年度のトピックとしては、時間外労働の上限規制などに代表される働き方改革関連法の適用が猶予されていた沖縄・鹿児島両県の製糖業でも、令和6年4月から上限規制の適用が開始されたことが挙げられる。24時間操業を主とする製造現場では、地域の人口減少と高齢化により人材確保の難易度は同法が施行された当時に比べ、格段に厳しい状況下にある。
そこで、今回の検討会は「人手不足時代をいかに乗り越えていくか〜地域とさとうきび生産を守るためにできること〜」をテーマに掲げ、令和6年9月26日、那覇文化芸術劇場なはーと(沖縄県那覇市)にて開催した。沖縄県および鹿児島県を中心に、生産者、生産者団体、製糖事業者、行政機関、試験研究機関など200人余りが参加して行われた今回の検討会の概要は、以下の通り。
1 基調講演
まず、農林水産省より「砂糖をめぐる現状と課題について」の報告が行われた。続く基調講演では、東京農工大学大学院農学研究院の新井祥穂教授から、「働く側から見た『働き方改革』〜労働者から選ばれる仕事場になるために〜」と題し、農作業の現場や製糖工場で働く季節工と呼ばれる日本人労働者と外国人技能実習生へのヒアリング調査を基に、それぞれの就労の目的や仕事に対する考え方の違いなどについて表1の通り報告が行われた(写真1)。
2 テーマに関する取り組み報告
第一線で活躍する企業および生産者から、今回の検討会のテーマに沿って、より多くの働き手を国内外からいかに呼び込むかという視点のみならず、優れた技術の伝承や農作業におけるムリ・ムダ・ムラを解消することによる生産性向上など、人材確保以外の方策・視点も交えながら、具体的で実現可能性のある解決策や、そのヒントについて講演いただいた(表2、写真2)
3 話題提供
サトウキビや甘蔗糖、砂糖に関する最近の話題やトレンドについて、以下の通り講演をいただいた。
(1)一般財団法人肥料経済研究所 専務理事
春日 健二
「肥料をめぐる内外の情勢と国内資源の活用について」
(2)スイーツジャーナリスト®平岩 理緒
「世代を超えて愛される沖縄・鹿児島の郷土菓子の魅力と今注目のスイーツ〜未来と世界に伝えたい、ご当地&日本発スイーツ〜」
4 現地視察
検討会の翌日(9月27日)には、検討会の参加者を対象に、サトウキビ生産に対する理解をより一層深めていただくため、以下の通り現地視察を実施した(写真3)。
視察時間は、およそ3時間とやや短めであったが、参加者からは「とても有意義だった」「リアルな現場を知ることができて勉強になった」など好意的な意見・声が数多く寄せられた。
(1)参加人数 約100人
(2)視察先
ア サトウキビ生産圃場(沖縄県南城市)
イ 地下ダム(同八重瀬町)
ウ 沖縄県農業研究センター(同糸満市)
おわりに
検討会終了後、アンケートを行った結果、講演内容について「とても参考になった」「ある程度参考になった」を合わせると、98%の回答者が参考になったと回答した。
これもひとえに、ご登壇いただいた講演者の皆さまをはじめ、今回の検討会の開催に当たり、ご協力いただいた沖縄県、鹿児島県の関係者の皆さまのご支援とお力添えのたまものであり、心より感謝申し上げます。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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