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お菓子の祭典、あさひかわ菓子博2025を楽しもう!〜お菓子の可能性を旭川から発信!「第28回全国菓子大博覧会・北海道」〜

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最終更新日:2025年4月10日

お菓子の祭典、あさひかわ菓子博2025を楽しもう!
〜お菓子の可能性を旭川から発信!「第28回全国菓子大博覧会・北海道」〜

2025年4月

全国菓子工業組合連合会 事務局長 渡辺 嘉一郎

はじめに

 全国各地のお菓子が一堂に集う菓子業界最大のイベント、「全国菓子大博覧会」(以下「菓子博」という)をご存知でしょうか?

 この菓子博は、お菓子の祭典としてほぼ4年に一度、全国各地を回って開催されています。その地域のお菓子屋さんで組織された菓子工業組合が中心となって行われているものですが、現在は地方自治体もバックアップする大きなイベントとなっています。

 第28回目となる今年は、「全国菓子大博覧会・北海道(愛称:あさひかわ菓子博2025)」として、2025年5月30日から6月15日まで北海道旭川市で開催されます。新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、2017年(平成29年)に三重県で開催された「お伊勢さん菓子博」から、8年ぶりの開催となります。なお、北海道での開催は1968年(昭和43年)に札幌で開催された第17大会以来、57年ぶりとなっています。

 そんな菓子博の歴史や、いよいよ開催が迫るあさひかわ菓子博2025の見どころ、楽しみ方をご紹介します。

1 菓子博の歴史

 菓子博の始まりは古く、1911年(明治44年)に当時の東京市で開催された「第1回帝国菓子飴大品評会」にさかのぼります。第1回に出品されたお菓子は2506点で、棹物(さお もの)(ようかんなど)が多くを占め、次いで焼き物(ビスケット、ボーロなど)、あめ菓子、落雁(らく がん)や金平糖、カステラなどが出品されたと記録されています。1919年(大正8年)に大阪府で開催された第3回から名称が「全国菓子飴大品評会」に変わり、1935年(昭和10年)の第10回(開催地:宮城県)から現在の名称である「全国菓子大博覧会」となっています。

 戦争による一時中断はありましたが、全国のお菓子屋さんの熱意で復活し、1世紀以上にわたり、これまで27回の開催を重ねてきました(写真1)。一つの業種で100年以上続いている博覧会は菓子博だけです。また、菓子博の名誉総裁にはこれまで高松宮宣仁親王殿下、ェ仁親王殿下、今大会では彬子女王殿下が務められており、大変、権威のある行事となっています。



 

 会場では、全国から集められたお菓子が展示・販売され、さらに菓匠(か しょう)により作られた和洋の工芸菓子が披露されます(写真2)。優秀な作品には名誉総裁賞、内閣総理大臣賞、農林水産大臣賞などが授与されますが、菓子博での受賞は菓子業界の中でも最高の栄誉とされ、受賞を目指して全国のお菓子屋さんが日々研鑽(けん さん)を続けています。
 
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2 あさひかわ菓子博2025のテーマ「SMILE SWEETS HOKKAIDO」

 今大会の根底には、三つのキーワードが存在しています。一つ目は「国産“原材料基地”」です。北海道は、牛乳、小麦、もち米、砂糖の原料であるてん菜、小豆など、お菓子の原材料の一大生産地です。生産者の努力により品種改良を重ね、道内だけでなく日本全国で使用されています。

 二つ目は「“地産地消”へのこだわり」です。北海道の広大で肥沃(ひ よく)な田畑は、われわれに豊かな恵みをもたらします。顔の見える生産者が育てた原材料を用い、地産地消の菓子づくりで地域活性化を目指すお菓子屋さんもたくさんあります。

 三つ目は「いまも息づく“開拓精神”」で、明治以降の北海道開拓の歴史とともに、道内の地域ごとに独創的なお菓子づくりが進んできたことにちなんでいます。開拓時代のあくなき探求心旺盛なチャレンジ精神が、今も菓子業界に息づいています。

 この三つのキーワードに加え、時代が日々変化しても、お菓子は国や既成概念にとらわれることなく、多様な世界観を共有し人々に笑顔や幸せを届けることができるという点から、「SMILE SWEETS HOKKAIDO」を今大会のテーマとして決定しました(図1)。
 
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3 お菓子を楽しもう!〜菓子博の見どころ〜

 あさひかわ菓子博2025では、開催100日前となる2月19日、札幌市で「開催100日前記者発表会」を開催しました。あさひかわ菓子博2025の長沼昭夫大会長(全国菓子工業組合連合会理事長)が主催者挨拶を行い、開催地である北海道の鈴木直道知事、旭川市の今津寛介市長のビデオメッセージが公開され、公式キャラクター「シマエ大福」も紹介されました(図2)。ここでの発表内容を基に、菓子博の見どころをご紹介します。
 
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(1)会場の見どころ

 メイン会場(旭川大雪アリーナ)で行われる「工芸菓子展示」(図3)では、全国の菓匠たちが伝統の技を駆使して制作した迫力ある約90点の工芸菓子を、目の前で見ることができます。お菓子の持つ高い文化性や芸術性を通じて、人々に感動を与える菓匠の技を紹介し、菓子文化と技術の継承・発展に寄与します。
 


 

 さらに、大人も子どもも楽しめる「スイーツファミリーランド北海道」ブースでは、大手菓子メーカー7社(出展予定メーカーはカルビー株式会社、株式会社不二家、株式会社ブルボン、株式会社明治、森永製菓株式会社、山崎製パン株式会社、株式会社ロッテ)によるゲームや、珍しいお菓子のサンプリングなどを体験できます。

 また、シンボル展示では大雪アリーナ内に大小二つのホワイトロックドームを設置します(図4)。大きなメインドームへ入ると、ドーム内面の壁いっぱいに展開される和洋さまざまなお菓子と北海道の広大な牧場や畑、農産物がデザインされた美しく迫力あるプロジェクションマッピングが来場者を包み込みます。小さなドームへ入ると、災害や紛争がなくなり、誰もが安心して笑顔でお菓子を食べることが出来るという平和への思いを込めて、全国のお菓子の包み紙で折られた10万羽の「折り鶴」が美しく配置されています。

 記者会見では、ホワイトロックドームのデモ映像を放映し、映像に込めたお菓子・北海道の魅力を伝えました。
※デモ映像はあさひかわ菓子博2025公式YouTube(https://youtu.be/v3kMJy5GzJc)にてご覧いただけます。
 
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(2)あさひかわ菓子博2025 記念スイーツプロジェクト

 オフィシャルスポンサーであるホクレン農業協同組合連合会が、あさひかわ菓子博2025を通じて、北海道スイーツを盛り上げるプロジェクト「あさひかわ菓子博2025 記念スイーツプロジェクト」を実施することを発表しました。牛乳、砂糖、小麦、小豆など“お菓子の原材料の宝庫”である北海道産農産物を使った記念スイーツを、道内菓子メーカー15社が腕によりをかけて開発します。開発した商品は、5月からプロジェクト参加15社の店舗で販売する予定のほか、販売店舗を回ってから菓子博開催期間中に会場内ホクレンブースを訪問すると、抽選で素敵な商品が当たるスタンプラリーも実施します。さらに、1000品以上の全国その地域でしか買えないお菓子を販売する「全国スイーツマーケット」でも販売予定です。

 こちらは、メイン会場隣の道の駅あさひかわ(旭川地場産業振興センター)にて開催されます。

おわりに

 あさひかわ菓子博2025の開催地域である旭川市は、北海道第二の都市であり、大雪山からの伏流水と盆地特有の昼夜寒暖差の大きな気候が育む「米どころ」です。周囲には雄大な大雪山・十勝岳連峰を臨み、そこを源流とする忠別川、石狩川などから、四季折々の表情を感じることができます。

 旭川近郊は豊富な水源を生かした農業も盛んで、米や地酒はもちろん、お菓子の原材料も豊かなことから、有名な地元銘菓も数多くあります。さらに、北海道内だけではなく全国へお菓子の原材料を供給しています。

 あさひかわ菓子博2025は、「食の未来を担う日本の食料生産基地」「和菓子と洋菓子というジャンルを超えて愛される地域性」の文化が育まれている北海道の旭川市から、お菓子の持つ「人を笑顔に、街を元気にする」力を広く発信します。皆さまには、新しい時代にお菓子文化が担う役割と可能性を感じていただきつつ、全国のお菓子が集まるめったにない機会を大いに楽しんでいただければと思います。旭川から多くの皆さまのご来場をお待ちしています。
 
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【引用文献】
・全国菓子工業組合連合会「お菓子何でも情報館」「お菓子の博覧会」〈https://zenkaren.info/_10〉(2025年3月6日閲覧)
・第28回全国菓子大博覧会・北海道公式ホームページ〈https://kashihaku-hokkaido.jp/〉(2025年3月6日閲覧)
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272