2025年3月のニューヨーク粗糖先物相場(5
月限)の推移を見ると、3日は、砂糖トレーダーが3月限の期限に大規模な原料糖の引き渡しを行ったことから、1ポンド当たり18.22セント
(注1)と前取引日からさらに下落した。4日以降はほぼ横ばいで推移し、10日はショートポジション
(注2)をカバーするための買い戻しにより上昇し、同18.85セントをつけた。11日以降は、ブラジル中南部やインドの砂糖生産量の減産予測などから上昇を続け、20日は同20.00セントをつけた。21日以降は、ドル高
(注3)やブラジルでの降雨などにより下落に転じ、31日は同18.86セントをつけた。
4月に入ると、1日以降はレアル高などにより上昇し、2日は同19.59セントをつけた。3日以降は、米国の相互関税導入の発表に伴う景気後退懸念からの原油安
(注4)などにより下落し、9日は同17.91セントをつけた。
(注1)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
(注2)将来の値下がりを期待して売りの持ち高を取っている状態。
(注3)粗糖は米ドル建てで取引されるため、米ドルに対してレアルが下落すると、相対的にブラジル産粗糖の価格競争力が高まる。世界最大の砂糖輸出国ブラジルの輸出意欲が高まると、需給の緩和につながることから、価格を押し下げる方向に作用する。
(注4)一般に、原油価格が下落すると、石油の代替燃料であるバイオエタノールの需要は減少する。バイオエタノールの需要減少により、その原料作物(サトウキビ、てん菜など)のバイオエタノール生産への仕向けが減る一方、それらから生産される食品(サトウキビの場合は砂糖)の生産・供給が増えると想定される。食品用途仕向けの度合いが大きくなるほど需給が緩和し、当該食品の価格を押し下げる方向に作用する。