

ホーム > 砂糖 > 砂糖の国際需給・需給レポート > 3 世界の砂糖需給に影響する各国の動向(2025年10月時点予測)
最終更新日:2025年11月10日

2025/26年度のサトウキビ生産量はやや、砂糖生産量はわずかな減少を見込む
2025/26年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は、1〜3月の降水量が平均を下回ったことや圃場の更新により、872万ヘクタール(前年度比1.4%減)とわずかな減少が見込まれている(表)。サトウキビ生産量は、前年度の火災の影響のほか、年初からの干ばつ傾向に加え、6月と7月に中南部で局所的に発生した霜害などにより、単収が前年度を下回るとの見通しから、6億4350万トン(同5.2%減)とやや減少が見込まれている。
砂糖生産量は、サトウキビの減産およびサトウキビの歩留まり指標となるATR(注)の減少が見込まれる中、引き続き製糖企業によるサトウキビの砂糖仕向け割合は高い状態にあるものの、4644万トン(同1.6%減)とわずかな減少が見込まれている。世界の砂糖相場が下落傾向にある中、同国では8月1日よりガソリンのエタノール30%混合(E30)が義務付けられており、今後のエタノール生産動向が注目される。砂糖輸出量は、3569万トン(同1.3%減)とわずかな減少が見込まれているが、引き続き国際市場でのブラジル産砂糖に対する堅調な需要が見込まれている。
(注)1トン当たりの平均回収糖分。ポルトガル語でAçúcar Total Recuperável(総回収可能糖量)の略。



2025/26年度の砂糖生産量および輸出量は大幅に増加する見込み
2025/26年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、前年のモンスーンによる降雨がサトウキビの作付けに有利に働いたことから、527万ヘクタール(前年度比0.5%増)とわずかに増加が見込まれている(表)。サトウキビ生産量は、1)今年のモンスーンが収量向上に寄与したこと、2)マハラシュトラ州など一部地域で発生した洪水の影響が長期的なものではない−との推測から、4億3607万トン(同11.9%増)とかなり大きく増加が見込まれている。
砂糖生産量は、サトウキビの増産で3341万トン(同18.7%増)と大幅な増加が見込まれている。25年9月に同国政府は、25/26年度に国内の製糖工場などがサトウキビジュースや糖蜜からエタノールを無制限に生産することを許可する通知を発出しており、今後の動向が注目されている。砂糖輸出量は、砂糖の増産により、513万トン(同29.7%増)と大幅な増加が見込まれている。インド砂糖・バイオエネルギー製造業者協会(ISMA)は、砂糖の推定在庫を考慮して25/26年度に200万トンの砂糖輸出を許可すべきと同国政府に働きかけている。



2025/26年度の砂糖輸入量は大幅な減少見込み
2025/26年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、123万ヘクタール(前年度比4.2%増)とやや増加が見込まれている(表)。サトウキビ生産量は、主産地で多雨が懸念されているものの、サトウキビの生育は良好とされ、7949万トン(同8.1%増)とかなりの程度増加が見込まれている。
てん菜収穫面積は、昨年の記録的増加からやや落ち着きを見せ、21万ヘクタール(同2.8%減)とわずかな減少が見込まれている。てん菜生産量は、内モンゴル自治区での収穫遅れが糖分低下につながる恐れがあるとされ、1100万トン(同18.3%減)と大幅な減少が見込まれている。
砂糖生産量は、サトウキビ増産を背景に1209万トン(同0.2%増)とわずかな増加が見込まれている。砂糖輸入量は、引き続き国内の需給ギャップを埋めるために一定の輸入が予想されるが、国内生産の改善見通しから、500万トン(同23.6%減)と大幅な減少が見込まれている。



2025/26年度の砂糖生産量はやや、輸入量はかなりの程度減少する見込み
2025/26年度(10月〜翌9月)のてん菜収穫面積は、生産量上位国であるフランス、ドイツ、ポーランドを中心に各国で減少が見込まれることから、141万ヘクタール(前年度比10.3%減)とかなりの程度減少が見込まれている(表)。てん菜生産量は、フランスでは単収の向上、ドイツでは糖度の改善がそれぞれ見込まれているものの、作付面積の減少により、1億1076万トン(同4.9%減)とやや減少が見込まれている。
砂糖生産量は、てん菜生産量の減少を背景に1680万トン(同2.9%減)とわずかに減少が見込まれている。砂糖輸入量は、EU圏内での砂糖相場の下落で輸入が抑制され、127万トン(同6.7%減)とかなりの程度減少が見込まれている。

