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砂糖類の国内需給

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最終更新日:2025年11月10日

砂糖類の国内需給

2025年11月

調査情報部

1 需給見通し

 農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、四半期ごとに砂糖および異性化糖の需給見通しを公表している。令和7年9月に公表した「令和7砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第1回)」の概要は、次の通り。
 
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(1)砂糖の消費量

 令和7砂糖年度(10月〜翌9月)の砂糖の消費量は、178万7000トン(前年度比0.2%減)と見通している(表1)。内訳を見ると、増加の要因として引き続き好調なインバウンド需要による増加などが見込まれる一方で、減少の要因として物価高、低甘味嗜好(しこう)や人口減少などの影響が想定されることや直近の消費動向を勘案し、分蜜糖の消費量は175万トン(同0.1%減)と見通している。含蜜糖の消費量は近年の消費動向などを勘案し、3万7000トン(同2.6%減)と見通している。

(2)砂糖の供給量

 令和7砂糖年度の砂糖の供給量は、178万2000トン(前年度比1.6%減)と見通している。内訳を見ると、分蜜糖の供給量は176万6000トン(同1.6%減)、含蜜糖は1万6000トン(同5.9%減)と見通している。



 

 国内産糖(分蜜糖)の供給量は、てん菜糖については、令和7年産のてん菜の作付面積は4万7965ヘクタールと見込んでおり、前年産と比較して1.8%(881ヘクタール)減少した。作柄については、4月下旬の天候不良で春作業が遅れたため、初期生育に遅れが生じたものの、その後の生育期間の気温が平年より高く推移し、生育は平年並みに進んでいる。一方で、褐斑病(かっぱんびょう)の初発が例年より早く確認されており、今後も気温が高いことが予想されることから、糖分低下への影響が懸念されている。以上のことから、産糖量は50万8000トン(前年産比6.0%減)、供給量は50万7000トン(精製糖換算〈以下同じ〉。同6.0%減)と見通している。

 甘しゃ糖については、7年産のサトウキビの収穫面積は、2万3101ヘクタールと見込んでおり、前年産に比べ0.2%(51ヘクタール)増加した。作柄については、6月まで少雨傾向であったことや沖縄県の一部の島において台風8号の被害の影響が懸念されていることから、平年を下回る生育と見込んでいる。産糖量は14万2000トン(前年産比5.5%減)、供給量は13万6000トン(同5.5%減)と見通している。

(3)加糖調製品の需給

 令和7砂糖年度の加糖調製品の消費量は、急騰していた輸入価格が下落に転じたものの、依然として高い水準であることから、36万7000トン(前年度比0.8%増)と見通している(表2)。また、供給量は、消費量に見合った量が供給されると見通している。
 
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(4)異性化糖の需給

 令和7砂糖年度の異性化糖の消費量は、近年の消費動向を踏まえ、78万トン(前年度比2.1%増)と見通している(表3)。また、供給量は、消費量に見合った量が供給されると見通している。
 
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2 輸入動向

【粗糖の輸入動向】
8月の輸入量は前年同月から大幅に減少
 
財務省「貿易統計」によると、2025年8月の甘しゃ糖・分蜜糖(HSコード 1701.14-110)および甘しゃ糖・その他(同1701.14-200の豪州。以下同じ)の輸入量は、5万507トン(前年同月比31.9%減、前月比48.6%減)であった(図1)。

 輸入先は甘しゃ糖・分蜜糖についてはタイ、甘しゃ糖・その他については豪州で、国・地域別の輸入量は次の通りであった(図2)。

 タイ
 1万4351トン(前年同月比10.8%増、前月比24.9%増)

 豪州
 3万6156トン(同41.0%減、同58.3%減)




 

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 2025年8月における甘しゃ糖・分蜜糖の1トン当たりの輸入価格は8万731円(前年同月比16.5%安、前月比5.7%安)(図3)で、甘しゃ糖・その他の1トン当たりの輸入価格は7万6649円(同14.8%安、同4.4%高)であった(図4)。

 国・地域別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

 タイ
 8万731円(前年同月比16.5%安、前月比5.7%安)



 
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【含蜜糖の輸入動向】
8月の輸入量は前年同月から大幅に増加
 
財務省「貿易統計」によると、2025年8月の含蜜糖(HSコード 1701.13-000、1701.14-190)の輸入量は、178トン(前年同月比3.0倍、前月比43.1%減)であった(図5)。

 輸入先はタイ、中国およびフィリピンで、国・地域別の輸入量は次の通りであった(図6)。

 タイ
 126トン(前年同月輸入実績なし、前月比6.0倍)

 中国
 36トン(前年同月同、同86.7%減)

 フィリピン
 16トン(同30.4%減、同23.8%減)




 

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 2025年8月の1トン当たりの輸入価格は、15万3719円(前年同月比42.6%安、前月比8.4%安)であった(図7)。

 国・地域別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

 タイ
 11万460円(前年同月輸入実績なし、前月比2.1%高)

 中国
 21万3611円(前年同月比0.3%安、同25.5%高)

 フィリピン
 33万63円(同2.9%安、同68.3%高)
 
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【加糖調製品の輸入動向】
8月の加糖調製品の輸入量は前年同月からかなりの程度減少
 
財務省「貿易統計」によると、2025年8月の加糖調製品の輸入量は、2万9234トン(前年同月比6.7%減、前月比16.4%減)であった(図8)。

 品目別の輸入量は、表4の通りであった。




 

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3 異性化糖の移出動向

9月の移出量は前年同月からわずかに増加
 
2025年9月の異性化糖の移出量は、6万2747トン(前年同月比2.7%増、前月比10.4%減)であった(図9)。

 同月の種類別の移出量は、次の通りであった(図10)。

 果糖含有率40%未満
 268トン(前年同月比11.6%増、前月比1.7%増)

 同40%以上50%未満
 1万5366トン(同3.3%減、同4.3%減)

 同50%以上60%未満
 4万6346トン(同5.5%増、同12.3%減)

 同60%以上
 766トン(同25.5%減、同17.0%減)




 

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4 価格動向

【市場価格】
異性化糖は前月から5円程度値下がり
 
9月の糖種別・地域別の砂糖価格(日経相場)は、次の通りであった。

 上白糖(大袋)
 東京
 1キログラム当たり249〜251円

 大阪
 同249〜251円

 名古屋
 同252円

 関門
 同254円

 上白糖(小袋)
 東京
 1キログラム当たり261〜265円

 大阪
 同264〜265円

 本グラニュー糖(大袋)
 東京
 1キログラム当たり254〜256円

 大阪
 同254〜256円

 名古屋
 同257円

 ビート・グラニュー糖(大袋)
 東京
  1キログラム当たり249〜251円

 大阪
 同249〜251円

 名古屋
 同250円

 9月の異性化糖の価格(日経相場、大口需要家向け価格、東京、タンクローリーもの、JAS規格品、水分25%)は、次の通りであった。

 果糖分42%もの
 1キログラム当たり167〜173円

 果糖分55%もの
 同173〜179円
 

【小売価格】
9月の上白糖小袋の平均小売価格は267.8円
 
マーチャンダイジング・オンRDSPOS(〈全国3800店舗〉、以下同じ)によると、スーパーにおける9月の上白糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、267.8円(前年同月差4.3円高、前月差0.4円安)であった。最も高かったのは北海道で、最も安かったのは関東などであった。

 同月の地域別(注)の平均小売価格は、次の通りであった(表5)。

 (注)地域の内訳は、次の通りである(以下同じ)。
    
関東など:茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県
    
首都圏:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県
    
中部:新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、三重県、愛知県
    
関西:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、和歌山県、奈良県
 

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9月のグラニュー糖小袋の平均小売価格は331.4円
 
スーパーにおける9月のグラニュー糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、331.4円(前年同月差10.9円高、前月差2.5円高)であった。最も高かったのは東北で、最も安かったのは関西であった。

 同月の地域別の平均小売価格は、次の通りであった(表6)。
 

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9月の三温糖小袋の平均小売価格は310.9円
 
スーパーにおける9月の三温糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、310.9円(前年同月差9.0円高、前月差4.0円高)であった。最も高かったのは北海道で、最も安かったのは首都圏であった。

 同月の地域別の平均小売価格は、次の通りであった(表7)。
 

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【支出金額および購入数量】
8月の砂糖の支出金額は前年同月からわずかに上昇
 
総務省「家計調査」によると、2025年8月における1世帯(二人以上)当たりの支出金額は81円(前年同月比1.3%高、前月比15.6%安)であった(図11)。また、同月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は、256グラム(同4.8%減、同13.8%減)であった(図12)。




 

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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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