改正物流効率化法では複数の主体が行うべき義務が示されているが、その結果として問題がどのように解決へと導かれるのか、その全体像をつかむために、より具体的に説明を試みたい。
ドライバー不足を根本的に解消するために賃金と労働時間の削減などの工夫が行われているが、このような時間のかかる抜本的な改善のほかに、短期的に現状の無駄を解消することもまた必要である。
これまで、ドライバーは輸送先の倉庫などに到着後、荷待ち・荷役で平均約3時間を要しているとのアンケート結果が示されているが、改正物流効率化法では荷待ち・荷役の時間を原則として2時間以内とすることが示されている
(注7)。すなわち、ドライバーが商習慣として長い荷待ち時間の後に、手荷役による荷下ろしや検品業務を行ってきた時間を、運転業務に振り向けることで、不足する労働力を補おうというものである。
(注7)荷待ち・荷役の時間については業種の特性を反映することとされている。
この商慣習の見直しのために、このような付帯業務を輸送サービスから分離し、すでに述べた通り、提供する役務の内容や対価を書面で交付することによって、ドライバーの無償のサービスを減らすことができる。着荷主は長時間の荷待ちを発生させないために、予約システムなどを導入することで当該施設へのトラックの集中を分散し、荷役については荷積みの際に標準パレットを活用することにより、到着後はフォークリフトによる機械荷役を行うことで省力化とともに時間短縮を図ることになる。
なお、国土交通省ではこのパレットの標準的活用について集中的に議論された。これまで日本におけるパレットは複数の規格が存在するほか、荷主の希望に応じたミリ単位で調整された規格外パレットが無数に存在するなど、物流現場における非効率の一因となってきたと言える。そこで2024年問題を機に標準パレットをT11型(縦横1.1メートル四方のパレット)に定め、荷役機器やその他の物流資材についてもこの規格に合わせることで、効率的な荷役を実現しようという意図がある。すなわち、複数の施設間をパレットのまま一貫して輸送することで効率化を図り、機械荷役で省力化を図ることが可能である。使用パレットにICタグなどが搭載されれば、搭載されている商品の内容や数量などが情報化され、検品が不要となるだけではなく、位置情報、トラックの積載率なども明示されることから、将来的にはトラックの空きスペースの有効利用も可能となることが期待されている
(注8)。
(注8)「フィジカル・インターネット」の議論を参照のこと。
さらに令和8年4月からは特定事業者のうち荷主に物流統括管理者(CLO)の専任の義務が課された。このCLOは企業における物流やロジスティクスの責任者であり、荷主企業において物流改善を現場任せにすることなく、責任を負うことになる。また、このような地位を設定することにより、企業内における物流担当者の地位向上を図ることも目的とされている。
以上の通り、持続可能な物流を実現するための諸政策が6(2024)年に向けて徹底的に行われ、引き続き追加的な措置が導入されている状況にある。荷主にとって特に留意すべきは、物流コストの上昇であろう。特にトラックの1台当たりの運賃については、現状に比して上昇傾向になるように誘導しているため、今後も上昇するものと考えるべきであり、物流コストの上昇を抑制するためには積載率の向上、または連携による輸送の共同化、などの工夫が必要になる。