表2に示したように、細菌、糸状菌、微細藻類まで多岐にわたる微生物を用いることで、工業製品としてはバイオ燃料、各種バイオプラスチック、セルロースナノファイバー、工業用油脂や有機酸を砂糖から製造できる。食品としては、オリゴ糖類、マイコプロテイン、アミノ酸類、機能性油脂、核酸系調味料などまで、三大栄養素ほかのさまざまなものが砂糖から製造できる
9)10)。
2017年に砂糖の生産割当と輸出制限が撤廃されたEUは、現在、主要7社(Südzucker社、Nordzucker社、Pfeifer & Langen社、Cristal Union社、Tereos社、Cosun Beet社、Krajowa Grupa Spo

ywcza社)で域内27カ国全体の8割以上の砂糖を製造する体制となっている。100%に近い自給率を達成しているが、いずれの会社もバイオエタノール製造設備を有することは興味深い
11)。また、PLA(ポリ乳酸)などのバイオプラスチック生産も行われている。
日本では、糖類から一時エタノール製造が行われたものの、現在は他の工業製品製造の検討が進められている。このうち、当社も協力し本誌でも紹介された製品として、SAF(持続可能な航空燃料)とCNF(セルロースナノファイバー)の製造がある。田口らによれば、糖類を基質に用いてトレボウクシア藻Parachlorella kessleriを従属栄養培養する方法により、トリグリセリドが得られ、搾油精製してSAFを製造できることが示された。
しかし価格面を考慮すると、得られる脂質を食用に供した後、廃食油として回収して精製する方が有利とされた
12)。CNFについては、芹沢・田島が酢酸菌Gluconacetobacter intermediusを用いた製造法とその特長・用途について紹介している。培養時の分散剤を工夫することで、親水性、両親媒性(水と油脂の両方になじむ性質)の異なるCNFが得られ、用途の拡大が図られた。商業生産が開始され、樹脂補強材のほか、食品や医療品素材としての用途開発も進められている。さらに、繊維材料の作製にも成功し、今後の用途拡大が期待される
13)14)。
1960年に国際連合の諮問グループにより、1980年代までに発展途上国を中心に世界規模の
飢饉を招く予測が出され、プロテインクライシスとして注目を浴びるようになった。一時下火になったものの、近年の世界的人口増加、食肉需要の増大から再び危機が叫ばれるようになり、代替タンパク質の開発が進んできた。これらは、植物由来(原材料:大豆など)、昆虫由来(原材料:コオロギなど)、微生物由来(糸状菌、藻類など)、細胞培養(培養タンパク質)の四つに大別される。
微生物由来のマイコプロテインの開発は1980年代に開始され、Fusarium venenatumの培養菌体を用いた「クォーンTM」が商品化されている
15)。現在は麹菌(Aspergillus oryzae)によるマイコプロテイン開発が複数行われており、当社もノルウェーのノーミー社(NoMy; Norwegian Mycelium AS)と連携し、ノーミ―社が独自開発した技術をベースに国内製造の検討を進めている。また、ノーミー社はカゴメ株式会社と共同で、本マイコプロテインを原料として活用した食品の開発可能性についても検証を開始している。