容器包装に入った加工食品には、食品に含まれる栄養成分に関する情報を明らかにするため、表1の内容とは別に「栄養成分表示」が表示されている。消費者の健全な食生活の実践には不可欠なものであり、健康維持に欠かせないエネルギー(熱量)および4栄養成分(たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム〈食塩相当量〉)の表示が義務付けられている。また、義務表示以外に推奨表示と任意表示がある。
【栄養成分表示の具体例】
◆砂糖の場合は、通常は「熱量」と「炭水化物」の欄に記載がある。
◆異性化糖、加糖調製品を含んだ食品は、その他の原材料に応じて、「熱量」と「炭水化物」の欄のほか、該当欄に数値が記載されている。
◆砂糖や異性化糖、加糖調製品に含まれる砂糖は、「炭水化物」のうち「糖質」や「糖類」に該当するが、この表示は任意表示の扱いになっており、必ず表示されているわけではない。
◆高甘味度甘味料は、甘味度が高いため使用量が少なく、「熱量」はゼロキロカロリーなどと記載されることが多い。
さらに、食品が一定の基準を満たした場合に「栄養強調表示」が認められており、糖質系甘味料である糖類に関しては、表5のようにさまざまな表示が使用されている。これらの表示のある食品には、非糖質系甘味料である高甘味度甘味料が使用されていることが多い。
なお、「ノンシュガー」、「シュガーレス」のような表示は、糖類に関する「含まない旨」の表示基準が適用になるので、砂糖以外の糖類(異性化糖など)を含めて基準を満たしていない場合には表示することができない。
また、「含まない旨の表示」と類似した「糖類無添加」や「砂糖不使用」の表示については、「無添加強調表示」として、以下の条件をすべて満たさなければ表示できない。(詳細は『砂糖類・でん粉情報』2025年10月号「
糖に関する食品表示について〜新たな食品表示基準の下で〜」をご参照ください。)
【無添加強調表示に係る4つの条件】
◆いかなる糖類も添加されていないこと。(ここでいう「添加」は「使用」と同義)
◆糖類(添加されたものに限る。)に代わる原材料(複合原材料を含む。)または添加物を使用していないこと。
◆酵素分解その他何らかの方法により、糖類の含有量が原材料および添加物の量を超えないこと。
◆糖類の含有量を表示すること。
しかし、「栄養強調表示」や「無添加強調表示」には、代替品である高甘味度甘味料の使用制限は条件になっていないため、実際にはこのような表示がされている多くの食品で使用されている。
一方、2023年5月には、世界保健機関(WHO)が、最近の健康影響に関する研究成果をまとめ、(高甘味度甘味料などの)「非糖質系甘味料の使用に関するガイドライン」を公表し、「体重コントロールの達成や非感染症疾患(生活習慣、環境、遺伝などが原因で発症する病気)のリスク低減の手段としては使用しないこと」(糖尿病で治療中の者を除く)を提案している。
消費者が商品選択を行うに当たっては、食品表示の確認や関連情報の把握が必要であると考えられる。
以上、甘味料を例として、現行の食品表示基準に基づくルールの概略を示した。
加工食品の食品表示基準に基づく義務表示事項は、1)全ての食品に表示が必要な事項(「名称」、「保存の方法」など)、2)一定の食品(対象食品)に表示が必要な事項(「アレルゲン」、「機能性表示食品である旨」など)、3)個別の食品に表示が必要な事項(食酢に対する「酸度」、「希釈倍率」など)−に区分して規定されている。すなわち、個々の食品の特性などを踏まえて表示義務が課せられている。上記の甘味料の基準も、検討を踏まえた根拠に基づいたものであり、こうした表示ルールを知ることを通じ、個々の食品の特性などに関する理解を深めることができる。