北海道におけるばれいしょ栽培も近年、高温による悪影響が現れている
5)6)。特に、春の植え付けが低温や多雨により遅れ、夏の高温条件が重なった場合は生育期間が短縮され、収量が低下しやすい
7)。また、高温多湿条件では疫病(軟腐病、夏疫病など)の病害も増加する(写真2)。一方で、ばれいしょはてん菜と異なり、作物の生育期間が3〜4カ月と短い。この特徴により、同じ年でも作期の違いで、異常気象から受ける影響は異なる
8)。このように考えると、近年の春季の高温を生かした早植えに加えて、畑輪作では、秋の高温化に伴い小麦の
播種時期を10月に遅らせることができれば、作期の調整がより柔軟になり、減収リスクを分散させることができる。
一方で、気候変動への対応として、加工用ばれいしょでは、主産地の北海道・道東地方の大規模畑作地帯での2016年の台風被害による供給不足(いわゆるポテチショック)をきっかけに、生産地の分散が図られている。現在でもばれいしょの主産地は北海道・道東・畑作地帯であることに変わりはないが、さらに東北から九州へ収穫時期の分散と併せて、リスクの低減が図られている9)。そして、加工用ばれいしょの生産地の分散では、水田を活用した栽培も取り組まれている。水田での生産は、単収が低い傾向にあるものの、水稲との輪作により、水を張り、農地が滞水する期間ができるため、結果として畑作のばれいしょ栽培地帯で大きな問題となる野良イモ(収穫後に畑に残った小イモが翌年雑草化する現象)の発生を防ぐことができる利点を有する10)。水田を活用したばれいしょ栽培は、単収だけでは評価できないリスク低減効果を持つ。
このように、加工用ばれいしょの事例ではあるが、「作る場所」だけでなく「作る農地や栽培のやりかた」を変えることで、栽培リスク低減となる適応につながることがある。