砂糖 砂糖分野の各種業務の情報、情報誌「砂糖類情報」の記事、統計資料など

ホーム > 砂糖 > 調査報告 > てん菜 > 令和7年産てん菜の生産状況について

令和7年産てん菜の生産状況について

印刷ページ

最終更新日:2026年8月10日

令和7年産てん菜の生産状況について

2026年8月

北海道農政部生産振興局農産振興課

【要約】

 令和7年産てん菜の作付面積は、4万7965ヘクタール(前年比1.8%減)と前年から882ヘクタール減少した。10アール当たり収量は、過去最高であった前年と比較すると減少したが、おおむね平年並みの6660キログラム(同6.6%減)となり、生産量は319万4633トンとなった。糖分は、高温や褐斑病(かっ ぱん びょう)の影響などにより平年を下回る15.6%、歩留まりは15.4%となり、てん菜糖生産量は49万907トン(同9.1%減)となった。

はじめに

 てん菜は、北海道の畑作経営の輪作体系を維持する上で基幹的な作物の一つであるとともに、てん菜糖を製造する製糖工場は地域経済の維持・発展に重要な役割を担っている。

 一方、てん菜は他の輪作作物の小麦や豆類と比べ、単位面積当たりの労働時間が長く、近年、農業従事者の減少や高齢化の進行、経営規模の拡大に伴う労働力不足などにより、作付面積は減少傾向で推移してきた。また、砂糖の消費量の減少や糖価調整制度の調整金収支の累積赤字が増大していることを踏まえ、令和4年12月に農林水産省が、てん菜糖の国内産糖交付金の交付対象数量を令和8砂糖年度(令和8年10月〜翌年9月)までに段階的に削減する方針を決定したことなどを背景として、他品目への転換が加速し、令和7年産の作付面積は、前年から882ヘクタール減少し、4万7965ヘクタール(前年比1.8%減)となった(図1)。
 
1

1 令和7年産てん菜の生育概況

 春先は気温が低く降水量が多かったため、移植作業や直播(ちょく は)栽培の播種(は しゅ)作業は平年より遅れた。5月中旬以降は高温傾向で推移し降水量も十分であったため、7月初旬までには作業の遅れは解消した。平年を上回る高温傾向は、9月上旬まで続き、褐斑病の初発も前年並みに早かったが、防除を徹底したことや、平年と比べ少雨傾向であったことにより、発病の進展は抑えられた。なお、収穫期直前の生育は、直播栽培は少雨の影響もあり、平年よりわずかに遅れたが、根周は移植栽培・直播栽培ともに平年並みだった(表1)。

 その他の病害虫については、根腐病(ね ぐされ びょう)やそう根病、黄化病(おう か びょう)の発生は少なかったが、ヨトウガの発生は平年より早く、シロオビノメイガやシロイチモジヨトウの発生も確認され、被害面積は平年より多かった。
 
2

2 令和7年産てん菜の生産状況

 10アール当たり収量は、夏季の高温と周期的な降雨によりおおむね平年並みに根部の肥大を確保できたが、過去最高であった前年からは474キログラム減少し6660キログラム(前年比6.6%減)となり、てん菜の生産量は、作付面積の減少も影響し、前年より29万194トン減少し319万4633トン(同8.3%減)となった。

 根中糖分については、9月上旬まで高温傾向が続いたことなどにより15.6%と平年(16.2%)を下回り、前年産よりも0.1ポイント低下した(表2、図2)。

 品種別の作付け構成は、「カーベ2K314」(24.6%)、「パピリカ」(20.1%)、「プロテウス」(18.4%)の順となっている(表3)。

 「カーベ2K314」は、褐斑病やそう根病の抵抗性が優れており、「パピリカ」は、そう根病抵抗性に優れ、根重が多く、令和5年に優良品種に認定された「プロテウス」は、褐斑病と根腐病抵抗性に優れていることから、作付け割合が高くなっている。

 てん菜の作付け戸数は全道的に減少傾向が続いており、令和7年は5797戸(前年比2.9%減)と、前年より176戸減少し、10年前(7351戸)と比較して1554戸減少した(平成17年比21.1%減)。1戸当たりの作付面積は8.3ヘクタールと、令和5年以降、横ばいで推移している(図3)。

 労働力不足の中で作付け規模の維持・拡大に対応するため、春の育苗や移植作業に要する労働力を大幅に削減できる直播栽培に取り組む地域が増加しており、令和7年産の直播栽培の面積は、前年より3201ヘクタール増加(前年比13.0%増)の2万7788ヘクタール(作付面積の57.9%、同7.6ポイント増)となった(図4)。












 
3

3 てん菜糖の生産状況

 北海道内の製糖工場は、令和5年3月に北海道糖業株式会社本別製糖所が製糖を終了し、現在、3社7工場で操業している。なお、本別製糖所は製糖終了後、本別事業所としててん菜の買い入れを継続し、近隣の2工場で製糖されている。

 令和7年産原料処理量は319万4633トンで、歩留まりは15.4%(前年比0.1ポイント減)となり、てん菜糖生産量は49万907トン(同9.1%減)となった(表4)。
 
4

おわりに

 令和7年産のてん菜については、10アール当たり収量はおおむね平年並みであったものの、作付面積の減少や低糖分傾向などの影響により、生産量、産糖量ともに前年を下回る結果となった。令和7年は、道内の7月の平均気温が観測史上最高を記録するなど、夏場の高温がてん菜生産に影響を及ぼしており、温暖化を前提とした対策が必要となっている。

 てん菜は、小麦や豆類、ばれいしょとともに、北海道の畑作農業における基幹作物であり、てん菜を原料とする製糖工場は、地域経済や雇用を支える上で重要な役割を果たしている。今後とも、てん菜を安定的に生産していくためには、関係者が連携し、直播栽培の拡大に向けた機械の導入や、基幹作業の共同化など省力・低コスト生産を進めるほか、気候変動に対応した品種の開発や選抜、技術の普及、さらには、砂糖の需要拡大などに取り組んでいくことが重要である。
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8678