鹿児島県における令和7年産さとうきびの生産実績について
最終更新日:2026年10月9日
鹿児島県における令和7年産さとうきびの生産実績について
2026年10月
【要約】
鹿児島県の令和7年産さとうきびは、一部の地域において干ばつやイナゴ類の被害があったものの、台風の接近がなく、10月は気温が高く推移し、県全体としておおむね順調に生育が進んだことから、生産量は61万1千トン(平年比117%)、収穫面積は9624ヘクタール(同101%)、10アール当たりの収量は6353キログラム(同115%)となった。生産量は、すべての島で平年並みまたは平年を上回り、県全体の生産量が9年ぶりに60万トンを超えた。
また、県平均の買入糖度は、平年並みの14.14度(平年14.17度)であった。
はじめに ―さとうきびの位置付け―
さとうきびは、鹿児島県南西諸島の約6割の農家が生産している基幹作物であり、製糖業などの関連産業も含め、地域経済を支える重要な役割を担っている。
当県のさとうきびの令和6年農業産出額は約137億円(前年同)であり、耕種部門の中では第4位となっている(1位:米、2位:さつまいも、3位:茶〈生葉〉、5位:ばれいしょ)。
鹿児島県では、さとうきび生産農家の経営安定とさとうきび産業の維持・発展を図るため、令和7年産を目標年とする「鹿児島県さとうきび増産計画(第2期)」(以下「増産計画」という)を策定し、生産者、製糖会社、関係機関・団体と連携して、作業受委託組織の育成、堆肥投入などの地力増進対策や病害虫防除対策、地域の条件に適した優良品種の普及などによる単収・品質向上などの取り組みを推進してきた。
近年、農家戸数の減少、1戸当たりの収穫面積の拡大、機械による収穫の増加、株出割合の増加など、生産環境が変化している(表1)。令和7年度に第2期の増産計画が終期を迎えるため、これまでの取り組みの評価と課題を整理し、令和17年産を目標年とする第3期計画を策定した。
1 令和7年産さとうきびの生育状況
(1)種子島地域
ア 生育初期〜分げつ
株出し萌芽性に優れる「はるのおうぎ」の栽培面積が増えたこともあり、春植えや株出しの萌芽はおおむね良好であった。平年よりも梅雨時期の降雨が少なかったが、生育は平年並みだった。
イ 伸長期
7月以降は、高温期に適度な降雨があり、台風の襲来もなかったことから順調に生育した。
ウ 登熟期
10月下旬に大雨・強風による被害が一部地域で発生したが、期間を通して気象条件に恵まれ、生育は良好であり、10アール当たりの収量は15年ぶりに7トンを超えた。最終的な平均買入糖度は、13.3度となった。
(2)奄美地域
ア 生育初期〜分げつ
気温は平年並みであり、降水量は少なかったが、平年並みの生育であった。
一部の地域で、夏植えの植え付け時期の多雨により植え付けができず、面積が減少した。
イ 伸長期
6月は、平年よりも降雨が少なく、干ばつやイナゴ類の被害の影響が懸念されたが、7月中旬以降は平年より気温が高く、適度の降雨があり、生育はおおむね順調であった。
ウ 登熟期
10月から11月にかけて多雨・高温で推移し、気象条件に恵まれたことから、生育は良好であり、10アール当たりの収量は9年ぶりに6トンを超えた。最終的な買入糖度は、14.5度となった。
2 令和7年産さとうきびの生産実績
(1)県全体
収穫面積は9624ヘクタール(平年比101%)、生産量は61万1387千トン(同117%)、10アール当たり収量は6353キログラム(同115%)となり、収穫面積と生産量は増産計画の目標(注)を下回ったが、10アール当たり収量は目標を上回った。(図1、2)。
なお、生産量の99.3%(60万7080トン)は、分みつ糖原料用として6社7工場に搬入・製糖されている。
(注)増産計画目標(令和7年産)は以下の通り。
収穫面積:1万300ヘクタール
生産量:63万700トン
収量:10アール当たり6120キログラム
栽培型別の収穫面積は、株出しが7444ヘクタール(構成比77.3%)、春植えが1372ヘクタール(同14.3%)、夏植えが808ヘクタール(同8.4%)であった(図2)。
品種別の収穫面積の割合は、農林27号が26.0%を占め、次いで農林23号の21.7%、はるのおうぎの17.5%、農林8号の10.5%の順であった。平成18年産で62.3%を占めていた農林8号の比率が年々減少し、各地域の気象条件などに適した品種への移行が進みつつある。(表2、図3)
(2)各島の状況
各島別の生産実績は以下の通り(表3)。
ア 種子島(西之表市、中種子町、南種子町)
収穫面積は2382ヘクタール(平年比106%)、生産量は17万6576トン(同125%)で、10アール当たり収量は7412キログラム(同118%)であった。
株出し比率は79%で、品種別では、令和4年産より一般栽培が始まったはるのおうぎが68.5%を占め、次いで農林18号が17.5%、農林8号が9.3%であった。
イ 奄美大島(奄美市、宇検村、瀬戸内町、龍郷町)
収穫面積は537ヘクタール(平年比96%)、生産量は3万1151トン(同119%)で、10アール当たり収量は5802キログラム(同123%)であった。
株出し比率は76%で、品種別では、農林27号が31.2%、農林23号が23.6%、はるのおうぎが4.0%を占めた。
ウ 喜界島(喜界町)
収穫面積は1305ヘクタール(平年比98%)、生産量は7万9261トン(同110%)で、10アール当たり収量は6073キログラム(同114%)であった。
株出し比率は76%で、品種別では、農林27号が45.7%、農林23号が25.6%、農林8号が8.9%を占めた。
エ 徳之島(徳之島町、天城町、伊仙町)
収穫面積は3198ヘクタール(平年比98%)で県全体の33.2%を占め、島別では最も大きい。生産量は19万6275トン(同117%)となり、10アール当たり収量は6137キログラム(同118%)であった。
株出し比率は75%で、品種別では、農林23号が34.9%、農林27号が29.7%、農林8号が12.5%を占めた。
オ 沖永良部島(和泊町、知名町)
収穫面積は1795ヘクタール(平年比107%)、生産量は10万4601トン(同119%)で、10アール当たり収量は5829キログラム(同109%)であった。
株出し比率は78%で、品種別では、農林27号が42.8%、農林8号が14.2%、農林22号が13.8%を占めた。
カ 与論島(与論町)
収穫面積は407ヘクタール(平年比102%)、生産量は2万3523トン(同98%)で、10アール当たり収量は5780キログラム(同96%)であった。
株出し比率は83%を占め、島別では最も高い。品種別では、農林23号が86.2%を占めた。
(3)ハーベスタによる収穫の状況
さとうきびの労働時間の大半を占める収穫作業の省力化を図るため、国庫補助事業などを活用したハーベスタの導入が進められている。
また、県では平成23年度から、低コストで持続的な生産体制の確立を図るため、耐用年数を経過したハーベスタなどの長寿命化(機能向上)のための事業を実施しており、令和7年度までに89台の機能向上を支援した。
この結果、令和7年産では、収穫面積全体の97.8%、約9400ヘクタールでハーベスタ収穫が行われており、島別に見ると、沖永良部島が最も高い99.8%となった。
3 製糖工場の操業状況
分みつ糖工場は、1島1社の体制となっており、6島6社(7工場)が操業している。
分みつ糖工場における令和7/8年期の原料処理量は60万7080トン(前年同期比110%)で、前年より5万3226トン増加した。平均買入糖度は14.14度で、前年より0.29度高くなり、産糖量は7万2191トン(同114%)と前年を8671トン上回った(表4)。
おわりに
鹿児島県では、関係機関・団体と一体となり、収穫面積の確保や収量向上に向けて、基本技術の励行はもとより、各種補助事業などを活用した、農業機械の導入や製糖関連施設の整備などの取り組みを積極的に支援しているところである。
また、新たな増産計画は、各島において、関係機関・団体が一丸となって取り組むための「指針」であり、持続的なさとうきび産業に必要な生産量56万トンの確保に向けて策定したものである。それぞれの関係者が、自分たちの目標として、その実現を図ることが重要である。
第3期さとうきび増産計画目標(令和17年産)
収穫面積:9596ヘクタール
生産量:56万1762トン
収量:10アール当たり5854キログラム
今後とも、さとうきび生産農家の経営安定と、製糖会社など関連産業を含めた地域経済の維持発展を図るため、新たな増産計画で定めた令和17年産の目標達成に向け、大規模経営体の育成による担い手を中心とした「生産構造の確立」、農作業受委託組織の育成と島内外からの労働力確保による「作業体制の整備」、スマート農業による「省力化・効率化」、優良品種の普及や株出し管理、病害虫防除など適期作業の実施等の推進による「収量及び品質の向上」などに取り組むこととしている。
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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