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【まめ知識】食料・農業・農村基本法が四半世紀ぶりに改正されました

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最終更新日:2024年10月7日
広報webマガジン「alic」2024年10月号
「食料・農業・農村基本法」の改正法が令和6年5月29日に成立し、同年6月5日に施行されました。1999年の制定から四半世紀を経て、初めての改正となり、日本の農業は大きな転換期を迎えています。

1 食料・農業・農村基本法とは?

 食料・農業・農村基本法(以下「基本法」という)は、農政の基本理念や政策の方向性を示すもので、1999年に制定されました。
 この基本法では、(1)国全体として食料の確保(食料の安定供給)、(2)農業の有する多面的機能の発揮、(3)農業の持続的な発展、(4)農村振興を基本理念に掲げ、国民生活の安定向上および国民経済の健全な発展を図ることを目的としています。

 日本の農業の舵取りをするための基本の法律であり、様々な農業政策がこの基本法に基づいて実施されることになります。
食卓

2 農業をめぐる情勢の変化

 しかし、基本法の制定から四半世紀が経過する中で、農業を取り巻く情勢は制定時には想定されなかったレベルで大きく変化してきました。国内では、少子高齢化による担い手不足、気候変動による自然災害の多発や栽培適地の変化、農地面積の減少による生産基盤の脆弱化など様々な課題に直面しています。
災害
 また、国外に目を向けると、ロシアによるウクライナ侵攻、新興国の市場拡大、地球温暖化による各国の異常気象などを背景に、世界の食料情勢もまた大きく変化しています。国際的に食料需給が不安定化する中で、日本に輸入される食材や家畜の飼料の価格は高騰しており、食料安全保障上のリスクは高まっています。
海外
 このように、世界及び日本を「変動性」、「不確実性」、「複雑性」が取り巻く時代の中で、情勢の変化に対応するための課題を解決していくためには、これまでの経験や既存の方法では対応するのが難しくなりました。あらゆる事態を想定し、食料を安定的に供給し続けられるよう、基本法のあり方を見直す必要が生じました。こうした中で、令和4年9月以降、基本法の検証・見直しに向けた検討が約1年半かけて行われ、改正基本法が令和6年5月29日に成立、同年6月5日に施行されました。

3 改正のポイント

 改正基本法では、食料安全保障を基本理念の柱として位置づけ、これまでの“食料の確保(食料の安定供給)”に加えて、“ 良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ、国民一人一人がこれを入手できるようにする”ことを含むものへと再整理されるなど、食料安全保障についての考え方が抜本的に強化されました。
 また、農業生産基盤などの確保のための農産物の輸出促進といった新たな視点も追加されました。さらに、担い手不足を解消するため、デジタル技術を生かした「スマート農業」を促進することなどが盛り込まれました。
また、改正基本法による新たな農政の実現に向けた施策を具体化させるため、今年度中に「食料・農業・農村基本計画(注)」が策定されることとなっています。
 当機構は引き続き農林水産省や関係機関と連携し、より実効性の高い支援の実施とともに、日本の生産基盤を維持する取り組みを継続してまいります。

 (注)食料・農業・農村基本計画は、食料・農業・農村基本法に基づき策定される、10年程度先までの農政のビジョンであり、食料の安定供給、多面的機能の発揮、農業の持続的発展、農村の振興を実現するための具体的な施策展開のプログラムです。基本計画はおおむね5年ごとに変更されます
 
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このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196