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【この人に聞く】夏でも焼き芋の時代 〜さつまいも(かんしょ)の可能性を探る〜(カルビーかいつかスイートポテト株式会社)

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最終更新日:2024年11月5日
広報webマガジン「alic」2024年11月号
<カルビーかいつかスイートポテト株式会社 代表取締役社長 安藤國行氏>
 「平成焼き芋ブーム」と言われて早20年、令和に入ってもなおその人気は続き、もはや「ブーム」ではなく食生活の中に定着したともいわれている焼き芋、そしてさつまいも(かんしょ)の商品たち。この先もまだまだ発展の余地ありといわれるさつまいもに迫るため、焼き芋ブームをけん引してきたカルビーかいつかスイートポテト株式会社、「ブームというよりは、焼き芋を日常的に食べる機会が増え、すそ野が広がっているのではないか。」と話す安藤國行社長を訪ねし、お話を聞いてきました。

Q1 長きにわたる「焼き芋ブーム」についてどう思われますか?

<べにはるか>
 「ブーム」というと一過性のものを指すと思いますが、ここまで長期にわたり消費者の方に支持されたことを踏まえると、ブームというよりは日常的に食べる機会が増え、すそ野が広がっているのではないかと感じています。平成から始まった今回のブームは、ねっとり系の焼き芋、特に「べにはるか」の登場が大きいと思います。また、当社だけでなく、多種多様なさつまいもに関わる業者の方が展開をしてきたことも、長きにわたり人気を維持している要因となっているのではないでしょうか。

 「べにはるか」は、当社でも『紅天使』としてブランド化して販売していますが、冷やし焼き芋は冷めても美味しく、しっとり感があり、むしろ冷やした方が好きという方もいるくらい美味しいさつまいもです。
 冷めても美味しいこの「べにはるか」が出たことで、デザートとして、スイーツとして食べられ始めたことが、食のシーンを増やしたのではないでしょうか。
 最高糖度が47度となるオリジナルブランド芋『紅天使』の焼き芋は、貝塚みゆき前社長が、まだ試験段階であった品種「べにはるか」と出会い、ねっとりとした食感と甘味の高さに「これは今までのさつまいもと違う。女性に好まれるスイーツとして受け入れられるさつまいもになる。」と惚れ込み、『紅天使』と名前をつけて力を注いだところから始まりました。

Q2 冷めても美味しい焼き芋ですが、御社の商品「冷凍焼き芋」について教えてください。

 冷凍焼き芋の歴史は古く、長きにわたり愛されている品種「ベニアズマ」の時から商品としてありました。やはり長期保存が可能であることのメリットが高く、商品として扱いやすかったことがあります。
 
 また、冷凍庫にストックしておけば、食べたい時に解凍してすぐに本格焼き芋を楽しめるので、焼き芋好きにはたまらないのではないでしょうか。実は、私も今は冷凍焼き芋のほうが好きなくらいです。
 昨今注目されているのは、冷やし焼き芋は、低GIで血糖値が上がりにくいという特徴です。でんぷんは冷えることで食物繊維と同じような機能を持つ「レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)」に変化するため、消化・吸収が緩やかになり血糖値が急激に上昇するのを防ぐと言われています。
 そのため、さつまいもダイエット(韓国では「コグマダイエット」)として注目されたり、さつまいもがトレーニング中の食事に取り入れられたりなど、スイーツとしてのみではなく美容面や健康面でもさつまいもを有効活用する動きもみられています。
 
※グリセミック・インデックス(glycemic index:GI)は、血糖上昇という消化性炭水化物の生理機能の違いに着目して消化・吸収される炭水化物の質的評価を行うための指標である。(厚生労働省)
 
<冷やし焼き芋、もはやスイーツです!>

Q3 今では一年を通して店頭に焼き芋機が置かれ、夏でも焼き芋が販売されていますが、これはどのように広がったのでしょうか?

<焼き芋機「ほくほく山」>
 当社では、量販店向けに2006年からレンタルによる焼き芋機とそれと合わせて、焼き芋機に適した品質のさつまいもの提供を行っています。スーパーマーケットなど店頭での展開には、焼き芋機だけでなく、1年を通してその機械で美味しく焼けるさつまいも原料が安定的に手に入ること、この2つが揃うことが必要です。
 当社の焼き芋機「ほくほく山」は、テスト販売から始め、お客様から多くの反響をいただき拡大していきました。
 当社の強みは、大変多くさつまいもを仕入れているところにあります。安定した品質を安定して出荷できることは、スーパーマーケットにおかれては、安心して一年を通して販売ができることに繋がります。また、ボタン一つで美味しい焼き芋が焼けるという点もメリットとなるのではないでしょうか。
 日々、一番おいしい状態で提供できるよう、当社の各部署が原料である芋に問題ないか、貯蔵・保管に問題ないかなど全力で取り組んでいます。
 一年を通して販売されている焼き芋ですが、実は、季節によって風味や食感が変わってきます。『紅天使』の収穫は、この9月半ばごろから開始しますが、収穫後すぐは甘みが少なく、肉質は固めです。貯蔵により熟成させることで糖度が上がり、より美味しくなります。ぜひ、季節によって変化するさつまいもの風味や食感を感じてみてください!

Q4 今後、御社ではどのような展開を考えていらっしゃいますか?

 じゃがいもが原料であるポテトチップスでお馴染みのカルビーグループと合併した強みを活かしていきたいと思っています。
 じゃがいもと比べて、さつまいもはまだまだ人の力でする作業が多い作物です。例えば、収穫作業一つとっても、収穫機で上がって来たさつまいもを、一つ一つ丁寧に人の目と手で選別しています。農業分野における高齢化の問題は長く問われていますが、この労力を補う提案が、じゃがいもで培った技術から出来ればと思っています。
 また、当社は全量買取(畑で育ったさつまいもをいいものだけ買うのではなく、大きすぎ、小さすぎなどであっても全て買い取ること)を通して、生産者の皆様に安心して当社とお取引いただくことも重要なことと認識しています。しかし、ご存じの通り、さつまいもは農作物ですから、色々な大きさ、形、そして、傷がついてしまう場合があります。そのような焼き芋に向かない大きさや傷がついてしまった規格外のさつまいもを加工して商品化する点でも、カルビーグループとの連携で展開が進められるのではないかと思っています。
 さらに、海外市場にも注目しています。日本のさつまいも、そして焼き芋は、品質の高さが世界でも認められており、輸出が増加している分野です。当社では、現地で焼き立てが食べられるよう焼き芋機と合わせて、展開していきたいと思っています!
<収穫作業の様子:茨城県>

Q5 最後に一言お願いします!

 2020年の4月から、当社はカルビーグループの仲間入りをし、さらにさつまいもの可能性を広げていく、出口を広げていく、もっと焼き芋や干し芋以外の用途を広げていく、これをカルビーグループとして進めていきたいと考えております。
 この出口を広げていくことが、生産者の皆様にとっても持続可能な経営につながりますので、共に発展していきたいと思っています。
 カルビーグループはスナック菓子を中心に食品に加工していく会社ですが、グループの加工技術を使って、まだ世の中にないさつまいもの新しい価値を生み出していきたい、また本グループは、国内外問わず協力会社がありますので、そういった機能を活かして海外にもどんどん日本のさつまいもを広げていきたいと思います。
 このような活動によって、日本の農業に少しでも貢献していきたいと思っています。これからも頑張ってまいりますので、皆さん、ぜひ応援してください!

<美しく広がるさつまいものほ場>
<会社概要>
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196