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今月の野菜:かぶ

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最終更新日:2025年1月6日
広報webマガジン「alic」2025年1月号

文化の中にあるかぶ

 1月7日に食べる「七草粥」、これは、旧暦の「人日の節句」(1月7日)の朝に食べる風習からきています。邪気を払い万病を防ぐと古くから言い伝えられています。

 春の七草はすべて言えるでしょうか?
「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ、これぞ七草」とうたわれる春の七草、この「すずな」は、かぶのことです。
 
資料:農畜産業振興機構「野菜ブック」
 日本には、弥生時代に到来したといわれ、栽培の歴史は古く、奈良時代の史書「日本書紀」に栽培の記録が残っています。持統天皇(西暦693年)が、五穀を補う食物として奨励するおふれを出したと記されています。

 栽培の歴史が古いことから、日本全国で生産され、地域特産の在来品種も多いのが特徴です。分類としては、ヨーロッパを経由して伝わった西洋型と中国を経由して伝わった日本型に大きく分けられ、愛知〜岐阜〜福井を結ぶ通称「かぶらライン」から西は日本型、東は西洋型の品種が多くなっています。

 冷蔵庫がなく、また、温室栽培も一般的でなかった時代、傷みやすい野菜は、現在のように一年中出回ってはおらず、また、生鮮の状態で食べられるのは旬の時だけでした。冬季などその他の時期は、漬物や乾燥といった長期保存を可能とするかたちで貯蔵されていたものを利用し食卓に上がっていました。
 日本に古くからあるかぶは、各地で漬物の材料として発展し、現在も各地の伝統食として特色のある漬物が残っています。山形県では、山間部の焼畑農法により作られる赤かぶを漬けた「あつみかぶ漬け」、京都府では、日本最大のかぶである聖護院かぶによって作られる「千枚漬け」、石川県は金沢の冬の味覚「かぶら寿司」の材料となる「金沢青かぶ」などがあります。

最近の生産状況

 令和5年の全国の作付面積は、3,720ha、収穫量9万9千t、出荷量8万2千tとなっています。主要産地は、千葉県、埼玉県、青森県と続いています。食文化の欧風化等の影響により作付面積は、減少傾向となっています。
(参考:農林水産省「作物統計調査(第1報)」)

 栽培期間は短く、播種から収穫までおよそ1カ月半から2カ月です。また、秋から冬が従来の旬であるかぶですが、千葉県では、周年で栽培・出荷がされています。
 
<出典:農畜産業振興機構 ベジ探「野菜マップ」、原資料:令和5年東京都中央卸売市場年報及び令和5年大阪市、大阪府中央卸売市場年報>
〇まめ知識

 野沢菜もかぶです!
 長野県の野沢温泉を中心に信越地方で栽培されている野沢菜、主に葉っぱを食べますが、これもかぶの一種です。
 寒さが厳しく葉っぱが伸びてしまったとか。

 
<収穫時は、まだ根元に小さなかぶがついています。>

かぶの栄養

 かぶは、根も葉も食べられます。

 根は淡色野菜、葉は緑黄色野菜で、それぞれの栄養が変わります。
 根には、皮膚や血管の老化を防ぐビタミンCや、高血圧の予防効果があるカリウムが含まれます。また、だいこんと同様に消化酵素のジアスターゼが含まれており、胃もたれ、胸やけに効果があります。
 葉には、ビタミンCのほか、皮膚や粘膜を健康に保つビタミンAに転換されるβ-カロテン、生体膜を正常に保つビタミンEが含まれ、いずれも強い抗酸化力を持ち、有害な活性酸素から細胞を守る働きがあるといわれています。また、骨や歯を形成し、筋肉や神経の働きを調整するカルシウムなど、ミネラルも含みます。


◆かぶの世界をもっと知りたい方はこちらへ
 ・野菜情報 2025年1月号 今月の野菜「かぶ」
 ・野菜情報 2023年2月号 山形県鶴岡市温海(あつみ)地域の在来作物「焼畑あつみかぶ」の生産体制とブランド化戦略

 
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